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   Memo - 温暖化と水文・水資源 [2003年05月]
- 温暖化してるのか?
  • 世界:過去900年にわたって年平均気温が下がる傾向にあったが,20世紀になってから急激に上昇してきた.
  • 日本:1940年代まで低温で推移してきたが,60年代および90年代に急激な上昇を示し,20世紀を通しての気温上昇は約1.0℃となっている.
  • 過去20年間の世界における降水量は,減少傾向あるいは大きな増減は示されていない.
  • 長期の大気中における二酸化炭素の増加は,人間活動の結果生じている.人間活動によって生じた二酸化炭素の内約6割が大気中に蓄積されている.
  • これまで確認されている気候変化事例
    • 氷河の後退
      • アルプス・・・1850年以降氷河の体積が50%減少
      • ネパール・・・ヒマラヤの氷河が急速に溶け出している.
      • アラスカ・・・アラスカの氷河が融解
    • 棚氷の崩壊
      • 南極半島・・・ラーセン棚氷が分離,崩壊
    • 海氷の減少
      • 北極海・・・1950年以降,夏の海氷厚さが40%減少.春〜夏の面積が10〜15%減
    • 河川や湖沼の結氷の遅れや融解の早まり
      • 北半球中・高緯度・・・河川,湖沼の結氷期間が約2週間減少
      • 北・中央カリフォルニヤ・・・1940年代後半以降,融雪と流出が徐々に早まる
    • 植物の生長期間の長期化
      • 欧州・・・12種の樹木と灌木の生長期間が長くなった
    • 動植物の極方向や高々度方向への移動
      • アルプス・・・高山植物が10年に1〜4m上方へ移動.山頂付近の植物が消失
      • 北米・・・エディタヒョウモンモドキの生息域が北にシフト
      • オーストリア・・・1961〜1990年にノルウェートウヒの直径が増加
    • 動植物群落の縮小や復元
      • 北太平洋・北大西洋・・・夏のプランクトン量が北太平洋で30%以上,北大西洋で40%減少
      • 米国北東部・・・アカトウヒが減少
      • アリゾナ・・・冬季の降水が増加したため木本灌木が増大し,半乾燥生態系が復元
      • 西アフリカサヘル・・・長期の降水量減少により中湿性種が,より雨の降る低温地域へ縮小
      • コロラド・・・春の最低気温が上昇したため短茎草本ステップ生態系が復元
    • 樹木の開花・昆虫の出現・鳥類の孵化の早期化
      • ウィスコンシン南部・・・1936〜1947,1976〜1998に10種の多年草・樹木種で開花時期が早まった.他の26種は変化なし
      • 欧米・・・1950〜2000年に葉の展開が1〜4週間早まり,落葉が1〜2週間遅くなり,開花が1週間,昆虫,カエル,鳥などの動物の出現時期が1〜2週間早まった
      • 英国・・・植物の開花が1954年に比べて,1990年代は平均して4.5日早まった
- 気候システム
  • 気候システムとは,五つの主要素(大気圏,水圏,雪氷圏,陸面,生物圏)と,これらの要素同士の相互作用から構成される高度に複雑なシステムである.このシステムは,自らの力学の影響をうけたり,あるいは火山噴火,太陽放射の変動などの外部からの力や,大気組成,土地利用の変化などの人為的な力によって,時間と共に変わっていく. byIPCC第3次報告書
  • 地球の気候システムは,熱バランスを維持することを目的とした熱輸送システム.
  • 気候システムの主要な構成要素,要素間の相互作用の状態と時間による発展を数値的に計算できるように表現したものが気候モデル.
  • 気候モデルによる温暖化
    • 対流圏では,温室効果のメカニズムによって気温が上昇.
    • 成層圏では,太陽放射の加熱と赤外放射冷却のバランスによって気温が下降.
    • 海氷の減少,雪氷の減少によるフィードバック効果により,北極域の対流圏下層で大きく温度が上昇する.
    • 高緯度の地上気温の昇温に南北半球間で違いが著しい.
    • 北半球高緯度で大きく気温が上昇.
    • 低中緯度の同じ緯度帯では大陸の方が海洋より気温が上昇する.
    • 降水は高緯度で増加する.
  • 気候モデル開発に関して
    • WCRP:世界気候研究計画
    • GEWEX:全球エネルギー・水循環研究計画
    • CLIVAR:気候変動性・予測可能性研究計画
    • CLiC:気候と寒冷圏
    • SPARC:成層圏プロセスとその気候における役割研究計画
- 水資源への影響
  • 3〜4℃の温暖化で年間降水量は約10%増える.
  • 温暖化が進むと,シトシトと降る地雨型の降雨が減り,シャワー型の集中的な降雨が増えるとよそうされている.
  • 温暖化が進むと,飽和水蒸気密度(g/m3)が増加し,大粒の雨が降りやすくなる.
  • 1℃の気温上昇で,水蒸気量は約6%増えるとされている.
  • 高緯度地域と東南アジアでの降水量が増加し,中央アジア・地中海沿岸地域・南アフリカ・オーストラリアなどでは減少する.
  • 気温上昇がもたらす蒸発散量の変化が水資源に及ぼす影響がおおきい.
  • 気温上昇により降雪が降雨形態にシフトし,積雪・融雪期の流量が増加するとともに,春から夏にかけて土壌水分不足ひいては流量の減少を促す.
  • 温暖化により,日本では渇水期の延長及び短期の集中豪雨が起こる.
  • 水管理システムを大きく圧迫する.
  • 乾燥・半乾燥地域の流域において,1〜2℃の気温上昇と10%の降水量減少が同時に起こると,年間の流出量が40〜70%減少すると考えられる.
  • 水文量の極値の変化は,平均値の変化よりも重要性が高い
  • 霞ヶ浦などの浅い湖沼では,水温の上昇と降水量の増加によって,CODや窒素・リンといった栄養塩濃度が上昇し,透明度が低下するなど水質汚濁が進む.
  • 海面の上昇によって,海水の侵入が進めば,中海・宍道湖のような汽水湖の塩分濃度が高まり,生態系が大きく変わる.
- 森林と植生への影響
  • 冷温帯の代表的な森林であるブナ林は,温暖化によって南限の地域では照葉樹林などに移行する.
  • 日本の森林の40%をしめる人工林は,温暖化するとスギ・ヒノキ造林地の環境がブナ帯からシイ・カシ帯に移り,造林地で競争する樹種が常緑樹となる.

- インターネット情報源

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