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   Memo - 天候デリバティブ [2004年05月]
- 天候デリバティブとは
  • 「天候」にかかわる様々なリスクをヘッジ(回避)するために,市場においてあらかじめそのリスクを取引すること..
  • デリバティブ(derivative)とは
    • 「金融派生商品・派生商品」と訳され,株式,債券,預貯金,ローン,外国為替などの金融商品のリスクを低下させたり,リスクを覚悟して高い収益性を追求する手法として考えられたもの(商品)である.
    • 具体的には,将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引(先物取引)や,将来売買する権利をあらかじめ売買する取引(オプション取引)などがある.
    • 対象となる商品によって,気温や降雨に関係する天候デリバティブのほか,債券の価格と関係がある債券デリバティブ,金利の水準と関係がある金利デリバティブなどの金融デリバティブがある.
  • 天候デリバティブが世界で始めて取引されたのは,1997年9月に総合エネルギー会社であるENRON社(2001年に破綻)とKoch社がミルウォーキー(ウィスコンシン州)地域の冬季気温を対象として行われた取引である.日本では1999年に三井海上火災保険(現・三井住友海上)がスキー・ゴルフなどのスポーツ用品販売大手企業ヒマラヤ向けに降雪量が少ない場合に備えた天候デリバティブを売り出したのが初めとされている.
-天候デリバティブの仕組み
  • 先物取引とは
    • 将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のことである.現時点では売買の価格や数量などを約束だけしておき,将来の約束の日が来た時点で,売買を行う.前もって売買の価格を決めておくことができるため,価格変動する商品の売買につきものの価格変動リスクを回避できるという利点がある.
  • オプション取引とは
    • 海外旅行ツアーのオプション・ツアーは,参加するかしないかどちらでも好きなほうを選択できるし,携帯電話のメールやインターネットサービスのオプションは利用しても利用しなくてもいいものである.
    • つまりオプションとは,自分の都合に合わせて使うか使わないか決められる選択権のことである.
  • デリバティブのオプションも同じように,選択権を示す.何を選ぶ権利かというと,ある金融商品をあらかじめ決めておいた価格で売買するかしないかを選べる権利である.ただし,旅行やインターネット等のオプションが,無料サービスやおまけではなく,利用するには追加料金が必要になるのと同じように,このデリバティブのオプションもタダではなく,権利を手に入れるためには代金を支払わなければならない.
  • 先の先物取引とオプション取引は将来の売買に関する取引という点で類似している.しかし,先物取引が将来売買する「約束」なので約束の価格と売買時の価格の関係によって利益とも損失ともなりうるのに対し,オプション取引は売買できる「権利」を購入することなので,その「権利行使」による売買で得するときだけ権利を行使し,損をするときは権利を破棄すればよい点が異なる.
-天候デリバティブに用いられる指標
  • CDD(Cooling Degree Day)
    • 日平均気温から基準温度(たとえば18℃)を差し引いたものをいう.なお日平均気温が基準温度を下回った場合には0と見なす.また,観測期間中にわたってCDDを累積したものをCDDsという.
  • HDD(Heating Degree Day)
    • 基準温度(たとえば18℃)から日平均気温を差し引いたものをいう.なお日平均気温が基準温度を上回った場合には0とみなす.また,観測期間中にわたってHDDを累積したものをHDDsという.
  • 気温デイカウント
    • ある一定の気温(たとえば30℃)を上回った(あるいは下回った)日数をカウントしたもの.
    • たとえば,日中の平均気温が30℃以上となった日数を1としてカウントし,日平均気温が30℃未満の場合には0とする,など.
  • 風速デイカウント
    •  風をインデックスとするオプションの場合,最大風速をインデックスとする場合がおおい.
-関連メモ
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