○山田錦に関する基本的事項のメモ
昭和11年に兵庫県が育成した晩生品種で,阪神北部地域や北播磨地域で栽培され,兵庫県の酒米栽培面積の8割以上を占めている.ちなみに平成17年産栽培面積 3,773ha.
- 歴史
- 明治の中頃から大正にかけて兵庫県にて30以上の品種の酒米が栽培されていた.その後昭和11年に「山田穂」「短桿渡船」を品種改良して「山田錦」が誕生した.
- 栽培面積
- 全国の「山田錦」の栽培面積は 4,959ha(平成16年産)で,酒造好適米の中でも最も多く,酒造好適米全体の栽培面積(15,172ha)の約3割を占めている.
- 出荷量は18,738t(平成16年産)で,酒造好適米全体の出荷量(72,271t)の約26%を占めている.
- 兵庫県における山田錦の主産地は,南東部の平坦から中山間地域
- 三木市,東条町,社町,西脇市,小野市,神戸市,多可町,三田市,加西市,滝野町
- 山田錦の産地は標高50〜150mの山麓や谷間にあり,登熟期間の夜温が低く,日較差が10℃と大きい.
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- 特徴
- 食用のうるち米と比較して,茎や穂が長い.そのため倒れやすく,栽培が非常に難しいと言われている.
- 粒は大きく,粒の中央に「心白」という白い部分があることが特徴で,これが品質のよいお酒を造るための条件となっている.
- 生育期
- 播種期: 5月14日
- 移植期: 6月 5日
- 出穂期: 8月26日
- 成熟期:10月 5日
- 収量
- 棹長: 105cm
- 穂長: 19.7cm
- 穂数: 393本/m2
- 収量: 451kg/10a
- 品種特性
- 千粒重: 27.4g
- 粒 形: やや長
- 心白発現率: 68.7%
- 心白の大小: 中
- 心白形状: 線状
- 精玄米粒厚: 2.0mm
- 腹白米率: 59.8%(小中)
- 玄米タンパク質含有率: 6.6%
- 品質: 1(中)
- 酒造適性
- 等級: 特
- 酒造りが安心してでき使いやすい
- 酒質は味の幅が広く,最高の評価を得ている.
- 酒米について
- 酒米とは,広義には酒造りに使用される米全体をさすが,通常は,酒造用に利用される心白の発現する米粒を良い,農産物検査法でいう醸造用玄米と同義である.
- 酒米は,製造工程の利用区分によって麹米(20〜30%),酒母米(7%),掛米(70〜73%)に分けられる.
- 酒米は全量使われる場合も多いが,主に麹米に使用される.
- 生産規模の変遷
- 村米制度
- 兵庫県の酒米主産地と酒造業者との間において,明治20年代頃から実施されてきた酒米の取引制度.
- 明治7年の地租改正で農家が納める税金がお米からお金に変わったため,農家は収量を重視するようになり,米の品質が落ちた.一方で,酒造業者はお酒の需要が増加する中で,品質の良い酒米を確保しようとした.
- このように品質の良い酒米を求める酒造業者と安定した販売先を求める農家の思いが一致して,村米制度が始まったとされる.
- 酒米に要望される酒造適性
- 粒大
- 心白
- タンパク質含有率
- 精米特性
- アミロース含有率および胚乳細胞壁のグルコマンナン
- 無機物(灰分)
- 関連書籍や情報源
- 兵庫県の酒米 山田錦生誕70周年記念,兵庫県・兵庫県酒米振興会,平成18年3月
- 山田錦倶楽部
- 2004年以降更新されていないWebですが,山田錦の基礎知識がうまくまとまっています.
- 山田錦物語
- 山田錦の郷
- 山田錦物語
- 兵庫県吉川町が提供するWeb.村米制度についても書いてあります.
- 兵庫県酒米試験地
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