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   心得集・・・ [2004年2月]

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●有馬朗人(2000):研究者,東京図書

  • 研究者として成功するための必須条件は,なんといっても大学生・大学院生のうちに徹底的に勉強すること.
  • 研究者として成功したいと思うなら,少しぐらい食えなくたって基礎学力を身につけるべき.
  • 誰にでもアイデアはあるはずです.問題はそのアイデアを徹底的に追求する力なのです.若い人のみならず,われわれにとっても徹底的に追求する力が必要です.
  • 研究の本質的なところはほとんどの場合,ごくわずかな情報さえあれば結果が出せます.最近の若い研究者の不幸なところは,あまりにも情報省が多いことです.むしろ情報を切り捨てていく覚悟をこれからはしなくてはいけない.どういうものが本質的なものかと見破ることが独創性につながり,その人の研究者としての資質にもなる重要なようその一つです.
  • 榊 佳之
    • 自分の見つけたものを大事にしろ!
    • 他人が見つけたものを後から追いかけるな.研究者は自分が見つけたもので貢献するのであって,他人が見つけたものを後追いするようなことはするな.
    • 使える技術はたえずどん欲に取り入れて,発展させることが重要です.いままで見えなかったものが本当に見えてくるわけですから.
  • 野依良治
    • 大事なことは事実の発見ではなく,価値の発見なのです.若い人は一生懸命実験して,毎日新しいことが見つかっているに違いないのです.しかし,それがどういうように新しいのか,どんな意味があるのかが見極められない.多くの貴重な知見を捨ててしまっているのが残念です.
  • 小林 誠
    • 要は,それぞれの問題をどれだけ深く考えているか,ということなのです.
    • どこかにブレークスルーがあったとき,その考えを自分の問題に適用したらどうなるかと考えてみることでしょう.
    • どんなに有名な研究でも,実際の作業としてはそれほど高度なものではないことがよくあります.良い研究かどうかは,テーマ自体の重要さにかかっているわけです.
  • 北澤宏一
    • 突き詰めて考えていることと研究のスピードは,成功する研究者の二大必須条件かも知れません.
    • セレンディピティも重要です.

●廣田勇(1996):優れた論文とは何か−文献引用から見た評価あれこれ−,天気,43.8,pp.47-51.

  • 目先のテーマを追従しないこと
  • 「評価を軽視する人は学問的レベルも低い」
  • 文献引用リストはその論文の正確を端的に示しているものであるから,もし完全に独創的な研究というものがあったとしたら,引用文献など不要なはずである.
  • 研究者の活動力を年令別に見ると,そのピークは30代後半にあって以後減少してくる.
  • 研究成果は論文としてどしどし発表し,その内容評価を世に問うべきである.
  • 先を見据えた永続性のあるテーマに取り組むこと

●松野太郎(1995):最も実用的な研究は最も基礎的な研究?,天気,42.1,pp.3-4.

  • 個人の興味を中心とした科学から社会の必要に応える科学への転換には,研究者層の大幅な拡大や組織的研究を可能にする体制の整備から始まって,研究者のタイプの変化まで多くのなすべきことがある.
  • 基礎の深化,物ごとをもっと深く考え,基本原理に立った学問にすること
  • 経験的に決めた”係数”で説明をすませる態度を問題にすることが重要
  • 学問は,もともと人間が日常生活で困難の原因となるものを取り除こうとする努力の中から生まれてきた.
  • 札束の研究をロマンに変えることができるのが本当の研究者ではないか・・・.

●シンポジウム「21世紀の大学・研究所の将来像」の報告(その3),天気,51.1,pp.47-53.

  • 大学は完全に大衆化しており,希少価値などかけらも残っていない.それに伴い,大学の教員,研究者の社会的地位が転落したことは言うまでもない.学生が沢山いれば,教員も沢山いるわけで,小学校の先生より,「偉い」理由は何もない.
  • 学識を所有していることが学者たる所以であり,学者は何もしなくても学者である.それに対して,研究者は研究しなければ,研究者ではない.
  • 自分自身で価値基準を打ち出せ,それに基づいて動けるのが,学者である.
  • 今日,論文がモデルや観測装置などによって2次的,3次的に生成される面が強くなっているにもかかわらず,研究者の評価というよりも,論文製造業者の評価となっている.
  • 教育が学生の視野を拡大することであるとすれば,断片的研究者が教育者として少なくともそのままでは通用しないことは自明である.
  • 大衆社会では,行為の価値しか認められない.
  • 高緯度な教育の場において,断片的研究成果を総合していく教育者が学者だといってもよい.

●福沢諭吉:学問のすすめ.

  • 学問の真の本質は,ただ読書だけにあるのではなく,精神の働きにあるのである.
  • すなわち,観察・推論・読書は知識を蓄積する手段,議論は知識交換の,そして著作・演説は知識を広まる手段なのである.
  • 人間の行為・活動は内と外と,二つの方向に向かうものだから,そのどちらにも努めねばならない.現代の多くの学者は,自分の内部にのみ活動を限定して,外の世界に向けた努力を怠っている.反省を促したい.自分の内部に思いをこらし,学識が深いこと,底知れぬ淵のようであると共に,外に,人と接して知的活動が自由自在なこと,天を翔る鳥のようであってこそ,はじめて,真の学者というべきであろう.
  • 自分の理想に照らして,他人の行動を見れば,そこに自然ひそかな軽蔑の念がわくのを禁じ得ない.
  • もし他人の仕事に不満だったら,自分でその仕事を試みてみたまえ.他人の商売のやり方がまずいと思ったら,自分でその商売をやってみたまえ.隣家の生活がずさんに思えたら,自分の家で試してみたまえ.また,他人の著書を批評したいと思うなら,まず自分で筆を執って書物を著してみることだ.学者を批評したければ学者になることだ.医者を批評したければ医者になることだ.
  • 世の重大事から,ごくささいなことまで,たといどんなことでも,他人の行動に口出ししようと思うなら,試しに自分をその立場において,みずからを振り返ってみるべきである.まったく性格の違う職業だったら,その仕事の難易や意味の軽重をよくよくおしはかってみるべきである.たとい種類の違う仕事でも,その仕事の内容にまで立ち入って,仕事の中身を基準にし,自分と他者との立場を比較すれば,そこに大きな誤りは生じないはずなのである.




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