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   松井道夫:革命時代の経営哲学 [2005年5月]
                           -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

成長著しいオンライントレードの急先鋒:松井証券の社長:松井道夫氏が今回の演者でした.
さすがに知名度抜群なので,ほぼ満席でした.

ほとんど無名に近かった小さな証券会社をたった150名ほどの従業員で,経常利益220億(2005:単純に従業員一人あたりの利益率:1億4千万)にまで,成長させているだけあって,その語り口はかなりくせ者感がただよっていた.

“コスト”

今回のキーワードはこれに限る.
11年間,日本郵船で世界の船舶会社との競争の中で生き残るために,徹底したコスト管理を行ってきた下積み時代.
そこから見えてきたビジネスの本質とは,“虚業と実業を区分けする作業”

虚業とは,客に認めてもらえないコスト.
実業とは,客も納得するコスト.

身内の中に潜む虚業をいかに嗅ぎつけ切り捨てることができるか?
これこそが生き残りの鍵であるという.

約10年にわたる社長経験の中で,成功した決断のほとんどは,捨てる決断であったという.禅でいう“座忘”.座して忘れる.
その果てに見えてきた,切り捨てるべき最大のコストとは,“時代とのギャップ”であるといいきる.


組織から個の時代へと変わりゆく今を見失っている事自体が,捨てるべきコスト.

客のニーズに合わせた商品開発・・・これは組織から“個”を見ている証拠.

真に“個”を意識するということは・・・ポリシーを持って開発した商品が,それを好む客に選ばれること.


産業革命以来の抜本的な意識革命を行うときがいまきている.
その時代感覚を持てないところが,淘汰されていくのだ. そう言い切っていた.


ストーリーの整った講演でない分,話の要所がわかりにくくて聴衆泣かせな話しぶりであったものの,時折姿を現すキーポイントはさすがに重みが違い,我々を圧倒する.



昨今の温暖化云々といった,時代の潮流にあわせた研究をするのではなく,ポリシーをもってじっくりと取り組み,それがいずれ社会に選ばれるという研究スタイル・・・.

最近,いろいろと思うところがあって悩んでいたけれども,今回の講演を聴いて,こういう意識を持っていかねばいけないと,あらためて感じたひとときでした.


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