人材育成の専門家として有名なグローバルインパクト代表の船川淳志氏による講演でした.
パラダイムシフトしつつある現在,もっとも必要なことはスキルシフトである.
と断言するところから船川氏の語りが始まった.
ひとえにスキルといってもさまざま.
ベースとなるのがテクニカルスキル.いわゆる技術というもの.
そして,ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルといった,基本的コミュニケーションからはじまって,グローバル・リーダーシップにまで至る,より高度なスキルが必要とされているという.なかでもとくに“思考力”.
自ら考える習慣を持っている人と,そうでない人の差が今まで以上に明確に成りつつあるという.
キーとなるのは,ロジカルシンキング.ちょっと前に流行った言葉だ.
ロジカルシンキングで大切なのは,しらみつぶしに論理的に考えるクリティカルシンキングと,自由な組み合わせを楽しむクリエイティブシンキング.
これらを意識的に自由に切り替えられる力.
しかし,世代間のスキルギャップが生じつつある今,このロジカルシンキングだけでは,社会の中でうまく活かされないという.
世代間スキルギャップが顕著と成りつつあるいままさしく必要とされるのが,すなわち“対人力”なのだと.
論理的にわかりやすく伝える技術・すなわち,ロジカルスピーキング.
これは,よくいわれるスキルであるが,この上位に位置するものが,実は一番大切なもの.それは,相手の言葉を正確に聞き取る技術,ロジカルリスニングである.
予測の難しい他者の論理を聞き取れる力.
わかりにくいけど,もっとも難しいスキルである.
くしくも私は最近「聞く技術」に注目していました.
「聞く」というのはとても難しく,高度な技術です.
でも,教員として,また研究者として,是非とも身につけたいと思っていただけに,船川氏が訴える“対人力”の必要性がすんなりと私の中に入ってくる感じがしました.
講演では,さまざまな問いかけを会場に行って,聴衆に手を挙げさせたり,
ホワイトボードを使って図解で説明をくわえたり,
また,クイズのような論理思考問題を出して,ちょっとしたグループ討論をさせたりとこれまでの講演の中でもっともインタラクティブで,聞きながら積極的に私たちに考えることを要求する実践型の講演会でした.
今回の講演会の質疑の時間でも,私の質問に答えて頂く機会をいただきました.
質問したのはこんなことでした.
「教育の場で思考力の強化を実践しようとする場合,コツのようなものがあれば教えてください」
船川氏の答えはこんな感じでした.
「知識を教えるのは簡単.でも,考えることを教えるのは非常に難しいことです.もうこれはやりとりをするしかないんです.考えることの習慣化を目
指す.手間を惜しまずインタラクションすること.かの吉田松陰も盛んに生徒とやりとりをしたそうです.共に,松陰に学びましょう」と.
少しでもインタラクティブな授業・ゼミができるよう.私も意識改革・スキル改革をしていかないといけないなっと感じた講演会でありました.
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