「土と内臓」のガイドライン

2021年6月3日 


「土と内臓」微生物がつくる世界
原書「The Hidden Half of Nature」
著者:David R. Montgomery and Anne Bille
築地書館、2016年11月発行

目次
はじめに
第1章 庭から見えた、生命の車輪を回す小宇宙
第2章 高層大気から胃の中まで
   - どこにでもいる微生物
第3章 生命の探求
   - 生物のほとんどは微生物
第4章 協力しあう微生物
   - なぜ「種」という概念が疑わしくなるのか
第5章 土との戦争
第6章 地下の協力者の複雑なはたらき
第7章 ヒトの大腸
   - 微生物と免疫系の中心地
第8章 体内の自然
第9章 見えない敵
   - 細菌、ウィルス、原生生物と伝病
第10章 反目する救世主
   - コッホとパスツール
第11章 大腸の微生物相を変える実験
第12章 体内の庭
第13章 人の消化管をひっくりかえすと、
   植物の根と同じ働き
第14章 土壌の健康と人間の健康
   - おわりにかえて





第1章から第5章まで (p1 - 108)

とりあえず読み飛ばすことにして、
この部分の主要ポイントだけをまとめておきます。

第1章 この本を書いたきっかけなど。
第2章 微生物の分類、遺伝子の水平伝播、窒素循環、牛力発電(補足)、など
第3章 近代の細菌学こ起こり。細菌の分類、など
第4章 シンピオジェネス、古代からの共生関係、など
第5章 光合成、窒素固定、化学肥料、還元原則、ミミズ、など
補足「牛力発電」

牛には胃が4つある。 第1胃では、セルロース(繊維質)を食べて糖に分解する微生物が約1000兆個もいる。 第2胃では、その糖を食べて酪酸などの短鎖脂肪酸に分解する微生物がいる。牛はこの短鎖脂肪酸を吸収している。第3胃では、水分を吸収する。 そして第4胃が凄い!第1胃で繁殖して、増えた微生物が流れてきて、これを牛が主食としてエネルギーを獲得する。

つまり、牛は胃の中に微生物を養殖していて、その微生物のエサとして草やわらを噛み砕いて微生物に与えている。その微生物が作り出す栄養素をいただき、挙げ句の果てには繁殖した微生物をごちそうとして、日々を暮らしている。

では、人間はどうやって微生物と一緒に共生し暮らしているか? この本を読むとそれが分ってきます。




第6章 (p109 - 134)

第6章 地下の協力者の複雑なはたらき
「根圏」には共生細菌が住んでいて、根と細菌がいろいろな取引をしている。
栄養を交換したり、共生細菌が病原菌を防ぐ薬局や衛兵隊の役目もしてくれる。

ページ121 図

歴史的には、 1800年代から1900年代に農業化学が発達して、化学肥料が生産され、戦前戦後の時代にピークをむかえた。短期的には収穫量は増大したが、長期的には農薬などの過剰使用により植物自体の防衛能力が無力化したり、土地自体も有益や微生物が激減して、収穫量にも影響がでている。
地上の生き物を活性化することは、地下の生き物を活性化することでもある。 これが第6章の結論。




第7章 (p135 - 164)

第7章 ヒトの大腸 - 微生物と免疫系の中心地

前半のポイントは、筆者の体験報告で、HPV ガン手術と、今後の予防のための食生活の見直しについて、ハイジの皿など。

ページ148 図 ハイジの皿

一日三食きちんと食べることが重要。不規則な食事時間は血糖値が急激に上下して、内臓や細菌にストレスがかかる。
(理由:体内のブドウ唐濃度を一定につために余計に内臓が働くのと、血糖値が上昇下降を繰り返すと炎症がおこるから)
後半のポイントは、「ヒトマイクロバイオーム」筆者が腸内細菌について関心をもつようになった。
地球上の細菌の種類は大分類すると約50門があるが、人の腸には12門が棲息する。中でも優位を占める二つが、「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」です。

「GALT」は専門用語で、腸管関連リンパ組織:人の体の免疫系は、80%が腸(特に大腸)にあって、腸内の細菌や微生物を監視し防衛している。
なお、GALT は腸内ですが、同じようなのが体には幾もあり、気管支にあるのは「BALT」気管関連リンパ組織です。
補足「GALT」と「BALT」の参考イメージ図


「GALT」拡大

「BALT」拡大








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