このデモは、典型的なイントロの左手奏法で、G7−F7−C7−Ab7/G7という4小節分のコード進行を演出します。
これに効果的なメロディを右手でつけたものがこちら ♪ MIDI=0.7kbyteどうですか!Ragtime Piano奏法から発展したとみられる、Boogie Piano奏法を勉強し練習してみましょう。
もくじ
まえがき
Ragtime Piano奏法の特徴
Boogie Piano奏法の特徴
フォービート奏法
演習曲「ブルーモンク」
アレンジ曲「スワニー河」など
参考曲の一覧
ragtime
[音楽用語]1 ラグタイム:黒人音楽に見られる即興の装飾音を持つシンコペーションの メロディーで4分の2拍子の伴奏を伴う.
2 ラグタイム曲:1のようなリズムを持つ米国の音楽形式. 1896年ごろから1918年に流行した. 第一次世界大戦後ジャズに移行した.
boogie
= boogie-woogie [ジャズ用語]ブギウギ:20世紀初頭に起こったブルースの一種.
be-bop
= bop [ジャズ用語]バップ:1940年代の初期のモダンジャズ.cool jazz
= West Coast jazz [ジャズ用語]クールジャズ:1950年代に現われたモダンジャズの一種、 感情を抑制し、込み入った和声や繊細なリズムを重視する.
hard bop
[ジャズ用語]ハードバップ:攻撃的で激しいモダンジャズのスタイル、 1950年代後期に西海岸のよりくつろいだ感じのクールジャズの反動として東海岸で起こった.progressive jazz
= bop [ジャズ用語]プログレッシブジャズ:実験的・進歩的で自由なモダンジャズのスタイル、 特にクラシックの近代音楽的要素を採り入れたもの.
[音楽用語]1 ラグタイム:黒人音楽に見られる即興の装飾音を持つシンコペーションの メロディーで4分の2拍子の伴奏を伴う.これはとてもよく特徴を表わしています。
2 ラグタイム曲:1のようなリズムを持つ米国の音楽形式. 1896年ごろから1918年に流行した. 第一次世界大戦後ジャズに移行した.
ツービート奏法
「ブンチャ ブンチャ」という行進曲風のリズムで、コード音から構成される音を使って、 このように左手で演奏する。では、The Entertainer の曲から...
シンコペーション
同じ曲 The Entertainer のメロディーですが、矢印の部分はシンコペーションですね。
では、この曲 The Entertainerの一部を聞いて見ましょう。 前半の16小節は左手の伴奏のみ、後半の16小節は右手のメロディーも一緒です。
"The Entertainer" by Scott Joplin (1902) ♪ MIDI=3.8kbyte
ラグタイム曲の音楽形式
一般的なパターンはこうです:イントロ(4小節)合計148小節あり、だいたい3分程度の演奏となります。
第1テーマ(16小節を反復=32小節)
第2テーマ(16小節を反復=32小節)
第1テーマ(16小節を1回=16小節)
第3テーマ(16小節を反復=32小節)
第4テーマ(16小節を反復=32小節)
そして各テーマはどこかで転調をするのが普通です。
まとめ
では、「仮面コンサート」コーナーからのラグタイム一曲を鑑賞して終わりにします。 第1テーマから第4テーマまでを聞き分けて、どこで転調したかチェックできましたか。"Sun Flower Slow Drag" by Scott Joplin (1901) ♪ MIDI=24.4kbyte (3'27")
ランダムハウス辞書からの引用
[ジャズ用語]ブギウギ:20世紀初頭に起こったブルースの一種.
Scott Joplinに代表される正当なRagtime音楽形式が確立されて、 街や酒場でRagtime Pianoが演奏されたそんなラグタイムの時代。。。 もう一方では黒人が歌うブルースを取り入れて、単純な音楽形式でのPianoスタイルが 酒場を中心に発展していった。 これはラグタイムと違って、何度も繰り返して同じコードパターンをつかうので、 その度に少しづつ違う即興(インプロヴィゼーション)あるいはアドリブが生まれる ようになり、ジャズ音楽の発展の元になったと言われている。
何はともあれ、この曲を聞いてみて下さい。 ラグタイムと違って、ブルージーな音(Blue note)が多用されているのがわかります。
"Mr. Bell Boogie" ♪ MIDI=3.8kbyte
Blues形式
Blue note とか Blues形式については、「BeBop-studyコーナー」で説明してあるので、 ここでは補足するだけにします。
Blues形式の基本的なパターンはこのような12小節の繰り返しです。 実際には、バリエーションがたくさんありますが、 特に、第2小節目が IV でなくて、I のケースは一般的です。
I IV I I IV IV I I V IV I V キーがCのBlues形式では、I=C、IV=F、V=G
キーがFのBlues形式では、I=F、IV=Bb、V=C
キーがBbのBlues形式では、I=Bb、IV=Eb、V=F
など
Boogie Piano奏法での左手の伴奏は、 ラグタイムのツービート奏法から始まって、次第にフォービート奏法に変化していった。
初期のツービート奏法
12小節の伴奏だけ ♪ MIDI=0.8kbyte
この伴奏で一曲、"Peetie Wheatstraw Stomp" ♪ MIDI=3.2kbyte (0'39")
ちょっと伴奏は違いますがもう一曲、"Jelly Roll Blues" ♪ MIDI=9.5kbyte (1'50")
フォービート奏法:スタイルその1
12小節の伴奏だけ ♪ MIDI=1.2kbyte
フォービート奏法:スタイルその2
12小節の伴奏だけ ♪ MIDI=1.2kbyte
フォービート奏法:スタイルその3
12小節の伴奏だけ ♪ MIDI=2.6kbyte
この伴奏で一曲、"Honky Tonk Train" ♪ MIDI=12.1kbyte (1'16")
イントロから、ターンアラウンド、エンディングまで含めた
ブルース・ピアノの初歩的な演習です。
ブルース曲として有名な「ブルーモンク」をテーマとして使います。キーはCです。
イントロ部分
このページの冒頭で紹介した典型的な4小節のイントロです。 ♪ MIDI=0.7kbyte
ブルーモンクのテーマ部分(ターンアラウンドを含む)
エンディング部分
まとめ
では、イントロ、ブルーモンクのテーマ、エンディングまで28小節(4+12+12)を通して演奏してみて下さい。なお、ブルーモンクのテーマの後半12小節は、前半12小節と同じメロデーで適当にオクターブ奏法しているだけです。
"Blue Monk" by Thelonious Monk ♪ MIDI=4.3kbyte (1'06")
「スワニー河」をテーマとして、面白くジャズ風にアレンジした曲をいくつか見つけましたので、 ここに紹介しておきます。
Ragtime Piano風のアレンジ曲 Boobie Piano風のアレンジ曲 Cool Jazz風のアレンジ曲
Ragtime Piano風のアレンジ曲
ラグタイム風のアレンジですが、形式はラグタイム音楽形式ではなく「スワニー河」原曲のままとなっています。イントロの部分は次の8小節ですが、これはエンディングにも使われています。
イントロ、テーマ、エンディングまで44小節(8+8*4+4)を通して聞いてみましょう。
"Swanee River Rag" arranged by Masanobu Ikemiya ♪ MIDI=6.4kbyte (1'05")
Boobie Piano風のアレンジ曲
これから紹介する曲なんですが、その作者・編曲者はよく分かっていません。
まず聞いてもらいましょう。
イントロを含めて68小節(4+32+32)あります。
"Margie" played by Albert Ammons ♪ MIDI=11.5kbyte (1'41")
どうです、良く知られたフレーズが幾つか聞こえてきませんか。
「いつくしみ深き」 「スワニー河」 「線路は続くよどこまでも」
これは誰でも知っている有名な讃美歌「いつくしみ深き」 ♪ MIDI=2.1kbyte (0'53")
これはアメリカ民謡「線路は続くよどこまでも」 ♪ MIDI=2.5kbyte (0'35")
Cool Jazz風のアレンジ曲
ランダムハウス辞書からの引用
[ジャズ用語]クールジャズ:1950年代に現われたモダンジャズの一種、 感情を抑制し、込み入った和声や繊細なリズムを重視する.では最後に、「スワニー河」をCool Jazz風にアレンジした曲を紹介します。
イントロ、テーマ、エンディングまで48小節(4+40+4)あります。
"Swanee River" arranged by Yoshinori Kaketa ♪ MIDI=7.8kbyte (1'43")
"Sun Flower Slow Drag" by Scott Joplin (1901) ♪ MIDI=24.4kbyte (3'27")"Mr. Bell Boogie" ♪ MIDI=3.8kbyte
"Peetie Wheatstraw Stomp" ♪ MIDI=3.2kbyte (0'39")
"Jelly Roll Blues" ♪ MIDI=9.5kbyte (1'50")
"Honky Tonk Train" ♪ MIDI=12.1kbyte (1'16")
"Blue Monk" by Thelonious Monk ♪ MIDI=4.3kbyte (1'06")
"Swanee River Rag" arranged by M. Ikemiya ♪ MIDI=6.4kbyte (1'05")
"Margie" played by Albert Ammons ♪ MIDI=11.5kbyte (1'41") →参考譜面
讃美歌「いつくしみ深き」 ♪ MIDI=2.1kbyte (0'53") →参考譜面
「線路は続くよどこまでも」 ♪ MIDI=2.5kbyte (0'35")
"Swanee River" arranged by Yoshinori Kaketa ♪ MIDI=7.8kbyte (1'43")
参考文献など
Book "SCOTT JOPLIN Complete Piano Works" The New York Publick Library(1971)
Scott Joplin が作曲したラグタイムの全曲(54曲)の楽譜を集めた市販本Book&CD "Barrelhouse & Boogie Piano" Nichion Publication,INC.(1974)
"Peetie Wheatstraw Stomp", "Jelly Roll Blues", "Honky Tonk Train" ,etc.Book "American Ragtime" 池宮正信 Toa Music International Co. (1996)
"Swanee River Rag", etc.(全12曲)Book&CD "Jazz Ballad: Piano Sketch" 欠田芳憲 kmp(1997)
"Swanee River", etc.(全15曲)Book&CD "Intro to Blues for keyboard" ATN,INC.(1999)
CD "Best of Boogie & Bop" J-Music(1998) VD-508
"Margie", "Mr. Bell Boogie", etc.(全14曲)CD "Piano letter" 国府弘子(1999/12) VICJ-60420
"GO GO Godzilla" 巨人の松井選手応援曲、国府さん作曲のBOOGIE-piano演奏です!