ペンタトニック

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ちり紙交換「しゃ」でございます

 会社づとめをしていないと、曜日の観念が無くなる。

 今日はいやにチリ紙交換が多いなあと思うと土曜の午後であった。
 どの車も一様に、ひどい音質のスピーカーから例の「毎度おなじみの〜」
 を妙なイントネーションで流しながらやって来る。
 あの「車」を4度ばかり上げるのは何とも気持ちが悪い。
 昔はいろいろな物売りが、職種によって、様々に工夫をこらした売り声を
 持っていたのを落語などで知ることが出来るが、皆古来のペンタトニックを
 用いた心地良いものだったようだ。
 近ごろは、街に音が氾濫して…(略)

 たまにチリ紙交換ではない、古来ペンタトニックの売り声が回ってくることもある。
 石焼きいもと物干竿売りである。
 しかし、これも目立とう精神で、いろいろと工夫をこらしているのが涙ぐましい
 限りだが、耳ざわりなことこの上ない。
 石焼きいもは、あの…(略)

これは、ジャズ・ピアニスト、佐藤允彦「いつもライブは気分よく」('89年)からの引用です。

 ♪ 石焼きいも〜焼きたて〜
 ♪ 竹や〜さお竹〜

そういえば、屋台ラーメンのチャルメラなんかもペンタトニックですね。

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ペンタトニックとは

ピタゴラス音階の説明のところで書きましたが、
ド音から始めて完全5度の関係にある音を連続すると、このようになります。



この5音を並べ換えると、「ド、レ、ミ、ソ、ラ」、これがペンタトニックの構成音。



ランダムハウスの辞書で 引くと、 
 "Pentatonic scale"
  ペンタトニック。1オクターブに五音を持つ音階。

5音であればよいので、「ド、レ、ミ、ソ、ラ」に限定されるわけではないのだが。


さて「学典」では、
 平均律において、Pentatonic scale は12種類存在しうる。

とあるが、実際には「ド、レ、ミ、ソ、ラ」これを C Pentatonic と呼び、
あと単に転調しただけのものです。

 C  Pentatonic
 Db Pentatonic
 D  Pentatonic
 Eb Pentatonic
 E  Pentatonic
 F Pentatonic
 Gb Pentatonic
 G  Pentatonic
 Ab Pentatonic
 A  Pentatonic
 Bb Pentatonic
 B  Pentatonic

例えば、Gb Pentatonic に転調すると次のようになる。



これは「b記号」だけですが、ピアノ鍵盤でいえば、オクターブ12個の鍵盤のうち
5つの黒鍵だけに対応している。
つまりペンタトニックの曲は、転調すれば、黒鍵だけで演奏できるるわけだ。

例えば、
日本の童謡「ゆうやけ」とかスコットランド民謡「ほたるの光」など、
典型的ペンタトニックの曲は黒鍵だけで演奏できることがわかる。
ピアノ習いたての子が弾く「猫ふんじゃった」、これもほとんどペンタトニック。

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Jazzにおけるペンタトニック

「楽典」によると、

 Jazzの基本となる「単一Mode」から離脱するための技法として、Pentatonic Scale 
 が使われる。
 平均律において、Pentatonic Scale は12種類あるが、基本的には、
 例えば Bb Mixo Lydian Mode に於いて、Bb Pentatonic、Ab Pentatonic を
 使用するというように、Modeの構成音から成る Pentatonic を使用する。

何のことかよく分からないでしょうが、
ともかくも Jazzパターンがマンネリ化して単調になりそうな時に、
緊張感を与える、そんな薬味と思えばよさそうです。

それでは、まず例題:

(MIDI=0.3kbyte)
お馴染みの Cycle of 5th 進行のコード展開、A7→Dm7→G7→C です。 裏コードという「わざ」を使ってペンタトニックを対応させる例があったので紹介します。 裏コードとは、Cycle of 5th で対角線にあるコード(増4度上)です。  Aの裏コード=Eb  Dの裏コード=Ab  Gの裏コード=Db このようにしてペンタトニックに対応した例題です。 意図した緊張感が伝わってくるでしょうか、聴いてみて下さい! (MIDI=0.4kbyte)
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世界は広い

ペンタトニックのルーツは、ピタゴラスの時代にさかのぼるわけですが、
東洋などの民族音楽にも深く浸透している。

(1) 中国の「呂旋法」と「律旋法」

 

このように、「呂旋法」= C Pentatonic、「律旋法」= F Pentatonic展開形でした。


(2) 日本の宮廷で使う「雅楽」

  これは中国の「呂旋法」と「律旋法」と同じです。


(3) 一方、日本の庶民が使っていたのは「俗楽」で、「陽旋法」と「陰旋法」がある。

 

このように、「陽旋法」では、上行= C Pentatonic展開形、下行= G Pentatonic展開形。
ところが

 

このように、「陰旋法」では、上行も下行も平均律のどの Pentatonic とも違っている。
つまりペンタトニックは 12種類だけではない、ということが分かりました。
「陰旋法」はとてもマイナーな感じです、聴いてみて下さい♪(MIDI=0.3kbyte)


(4) 琉球音楽

 

これも平均律のどの Pentatonic とも違っている。
このペンタトニックは、そのまま聴いても沖縄民謡の感じがします♪(MIDI=0.3kbyte)


(5) 世界は広い!
インドネシアの代表的な音階には、オクターブをほぼ五等分するペンタトニックがある、
ということがある本に書かれていました。


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ペンタトニック(G pentatonic展開形)の日本民謡が jazzy にアレンジされています♪

(MIDI=2.0kbyte, 1分19秒)

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magic


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