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大阪府立大学 小柳 祐子
 サマーセミナー感想文  ―1998.7.24−26 於:鳥取 ―



 回初めてサマーセミナーに参加するにあたり私は,テーマのことも余りわかっていないまま,「サマーセミナーってどんなことをするのかな…」程度の考えで,鳥取へ向かいました.しかし,そんな私にとっても,鳥取での3日間は,想像以上に充実した時間になりました.事前に勉強して行けば,より多くのことをを得られたかとも思います.

 ず,テーマの「農業土木と開発―人と自然との新しい関係を求めてー」について――――――講演・発表・討論会をとおして,いままで自分自身の頭の中にモヤモヤとあった考えを,はっきりさせて行くことができました.そして,いろんな意見を聞くことで,理想ばかり追いがちな自分の考えの偏りに気付き,より多くの知識を得ること・現状をしっかり把握しておくこと・そして視野を広く持つこと,が必要だなと感じました.
 日,与えられた1度のチャンスで発言しただけなので(→今回1番心残りなこと),ここで具体的なテーマに対する今の自分の考えを書いてみたいと思います.

 は,開発に賛成派です.開発は「常に発展を目指す」という姿勢の元に行っていかなければならない物だと考えます.
前に,「自然が破壊されることなくサイクルすることが可能な人の数の限界は,ほんの数万人だ.」「人が,本当に食べていい物は,人が身体ひとつで立ち向かって得られる物だけだ(歯を診たら分かる)」と聞いたことがあります.しかし今,そのどちらも打ち破られ,日本を含む世界中で歪みが生じています.日本の中だけで見ると,今までの農業土木分野の開発は,より安定した食料供給・よりやりやすい農業を目指して行われ,圃場整備事業はほぼ終わりつつあると言われますが,それでこれ以上開発の余地はないかというと,そうではないと思います.今はまた,社会の変化に連動して新たな問題が生じ,新たな要求が生じてきており,私たちに必要とされることは,その要求が何か見極め,これからの開発を考えていくことだと思います・今盛んに,環境保全・自然の保護が訴えられていますが,それは生じてきた人間の要求のひとつであり,必然的に開発を考える際に組み込んでいくべきことのひとつなのではないでしょうか.
――開発は対象とされる地域に住む人のために――というだけでなく,もっと広く――そこでできたものを食べて生きる社会全体の将来・子供の未来を考えておこなう――という視点を大切にしたいです.
これでは,まだまだ単なる理想論でしょうか....

 後に,今回のサマーセミナーで得られた一番嬉しかったことはやはり,同じ分野のことを研究・勉強しておられる皆さんに出会えたことです.テーマについてだけではなく,日頃の研究のことからほんの些細なことまでのいろいろな話に刺激を受け,それらは今の私の活力源になっています.このサマーセミナーのような集まりが,これからもずっと続けられるといいなと思います.


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