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京都大学 坂田 賢




 回このサマーセミナーへ参加しようと思ったのは,6月に行われた準備会の書記係を頼まれ,特に断る理由もなかったことから心の準備もしないまま準備会に参加したことがきっかけでした.そこで出会った人たちとなら楽しく過ごせるだろうと感じました.さらにセミナーに参加するためには,自分から積極的に意見を持つことの必要性を強調されていました.これは僕の中で欠けているものであり,補っていきたいと考えていたのでセミナーへの参加を決めました.
 の日からセミナーが終了するまでの2ヶ月間,セミナーのテーマである「開発とは?」について深く考える日々が続きました.参加者に配られるプロフィールの中で,僕は開発とは「作物生産の可能な土地およびそれに付随する施設を増やすこと」であると定義し,農業土木が果たせる役割は,開発より整備に重点を置くことと開発する際に開発に携わる人・開発の影響を受けると思われる人全てに理解できるよう説明することであると書きました.
 ミナーの始まる数日前にその資料が届き,プロフィールに目を通して驚きました.みんな自分よりも大きな視点で開発というものを考え,定義し,それに対する意見が建設的に述べられていました.「こんなにしっかりと考えを持っている人たちと話ができるのだ.」という期待と「議論に取り残されるのでは」という不安を抱きつつ鳥取へ向けて出発しました.
 待と不安は両方とも的中したといえるでしょう.期待通り講演+学生発表の時には真剣に議論し,これからの農業土木や我々の位置づけについて自分なりの軸を持つきっかけになったと思います.また夜には学年を問わず世間話も含め,ときにはまじめに,ときにはふざけていろいろな話題で盛り上がれたことは以上に有意義であったと感じています.その反面,議論に加わり意見を言おうとして手を挙げ,マイクをもらうとその瞬間に考えがごちゃごちゃになり,まとまりのない発言をしてしまい,結局言いたいことの半分も伝わったかどうかわからない状態でした.このセミナーを通じて一番反省し今後の課題とすべき点は,人に自分の意志を正確に伝えられるようにすることであると強く感じました.
 終日の討論で,僕は開発賛成派のグループに加わり議論をしました.だからといって賛成派の人は「とにかく開発!」と主張をするのではなく,全員が開発は目的ではなく生きていくための手段であるという認識を強く持っていました.そのような認識のもとで「開発によって得られる利益と,被る損失,特に後者を意識して必要な開発は進めるべきである.」という結論に達しました.また課題としては,「必要な開発とはどこまでを指すのか.その線引きをどこでするのか.」ということです."ある程度賛成派"・"反対派"の意見を全て包括して自分なりの結論を出すことは困難なので,賛成派の意見を自分の開発に対する今回の結論としたいと考えています.しかし農業土木に携わる以上,開発の在り方は常に自分に問いかけて行かねばならないものであるので,得られた結論に固執することなく,機会があればもっと議論を深めていきたいと考えています.
 後に現地で雑用をこなしてくれた鳥取大学の皆さんと,セミナーで僕と話をしてくれた皆さんにこのような素晴らしい時間を与えてくれたことを感謝いたします.




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