- 都市気候
- 都市が存在することにより,大気に関係するさまざまな要因が周辺の郊外地域や農地などとは異なるため,その影響をうけた大気の状態を一括して都市気候という.
- 都市が存在することによる様々な要因とは・・・
- 地表面の状態が周囲と異なる
- 建物があるために空気の流れが阻害される.
- コンクリートやアスファルトが多いため,保水力のない土地となり水分条件が悪い
- 人間の活動による物質や熱の排出がある.
- など
- ビルの谷間では最高気温が下がり,最低気温が上昇する.
- 地球温暖化や大気汚染などとの総合効果により,夏季に暑い日が多くなる.
- ヒートアイランド
- 都市域で気温が上昇している様子を等温線で表すと,ちょうど海洋中の島を等高線で表したような図がえられるため,都市の高温化をヒートアイランドという.
- 西欧諸国では,都市の緑辺部の等温線が密で,中心部での温度変化は緩やかになるが,日本では都市緑辺部の等温線は密にならないことが多い.これは都市のスプロール的な拡大によるもの.
- 都市と郊外では,日没後の気温の低下率に著しい差異がある.
- 日本では,冬季にヒートアイランドが最も顕著になり,夏季に小さくなる.
-都市内緑地
- 都市の中に存在する自然.つまり,公園,樹林地,墓地,運動場,広場,ゴルフ場,農地,芝地,各種公共施設付属緑地,河川・湖沼など
- 気温の調節や防風などの気候環境の緩和,大気の浄化,浮遊砂塵の補足,防音などの環境悪化の防止などの効果がある.
- 樹冠=地表面に到達する太陽放射量を減少させる
- 葉面の蒸散=水蒸気を大気中に放出し,太陽エネルギーを消費.葉面温度を下げ,周囲の大気の温度も下げる.=クールスポット・クールアイランド
- 都市内部に小規模な循環気流を発生させる.
-その他雑記
- 1901〜1984年(80年間)における北米大陸における都市化による昇温は,全米平均で0.06〜0.09℃程度であり,この期間で0.1℃以上になることはない.
byKarl et al.,1988;Karl and Jones,1989
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-関連メモ
- インターネット情報源
- 関連書籍
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- ヒートアイランド by尾島俊雄
- 日本における最近のヒートアイランド研究の成果を,わかりやすく一般向けに書いてある解説書
- ヒートアイランド 灼熱化する巨大都市 by齋藤武雄
- 熱の研究者である筆者が,現地観測や数値モデルなどの結果を基に比較的詳細に都市気候について記述した入門書
- 気候学入門 by水越充治・山下脩二
- 約10年前に書かれてはいるが,当時得られている都市気候学の知見を豊富に盛り込んでおり,人間活動による地域気候の改変の基礎を知ることができる入門書.
- 人間空間の気象学 応用気象シリーズ by近藤裕昭
- 数値モデルで都市気候の影響を考えようとするとき,非常に役に立ちます.境界層の基礎から周辺地形の影響についても記述されています.
- 大気圏の環境 by有田正光
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