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   Memo - 稲の高温障害に関するメモ [2008年01月]
○稲の高温障害に関する基本的事項のメモ

- 高温障害
  • 登熟期に27℃以上の高温が続くと,乳白米など白未熟粒が生じ,籾の充実度が落ちる現象.
  • 受精障害: 開花期の高温による不稔の発生
  • 登熟障害: 登熟期間中の高温による未熟粒および白濁粒の発生
  • 白未熟粒: 乳白粒,心白粒,基白粒,背白粒,腹白粒の総称
  • 要因
    • 登熟期気温の上昇
    • 出穂期の前進と盛夏との重なり
    • 分げつ期高温による籾数過剰
    • 少肥化傾向による登熟期の窒素栄養不足
    • 地力低下や作土層浅耕化など土壌管理の影響
    • 登熟期の早期落水傾向
    • 作付け品種,経営規模など営農的要因
    • 圃場の気象・用水環境の変化
- 発生
  • 登熟初期の高温:
    • 胚乳のデンプン合成酵素の活性を低下させ,でんぷん合成機能に直接障害をもたらす可能性がある.
    • 開花後9〜13日の間に昼温35℃,夜温30℃の高温処理するとでんぷん合成酵素の活性が低下する.
  • 高夜温に伴う呼吸の増大,日射不足,窒素含量の低下,水不足,倒伏等は養分需給の不均衡を生じさせるため高温障害の発生を助長させるとされている.
    • 高温下での玄米の急激な成長に伴う強い養分要求に対し,栄養器官から養分の供給量の不足が生じる.
    • 胚乳の一部にでんぷん集積の不良な箇所ができ,不透明化する.
    • 高温を受ける時期,もみの穂上位置,成熟順序,品種特性等によってその種類が変化する.
  • 白未熟粒は登熟初中期(出穂5〜15日後)の高温により発生しやすい
    • 最終粒重の約25%まで登熟が進んだ時期の感受性が高い.
    • 出穂後20日間の平均で最高気温32℃,平均気温27−28℃,最低気温23−24℃を超える高温条件となると1等米比率の著しい低下がおきる.
    • 一般的に夜温(最低気温)の影響が大きいと見られている.
  • 移植時期が早いと白未熟粒が発生しやすい生育ステージに高温に遭遇する確率が高い.
  • 高温下での白未熟粒の発生には品種間差がある.
  • 一般に面積当たりのもみ数が多いほど白未熟粒が発生しやすい.
  • 登熟の早期に落水すると白未熟粒発生程度が増大する.


- 対策
  • 移植時期の遅延
  • 適正籾数への制御・誘導
  • 疎植栽培
  • 肥効調節型肥料の利用
  • 早期落水の防止
  • 地力向上と作土層確保による根系生育促進
  • 高温登熟性の高い品種導入
  • 作期分散や圃場地力の均一化,圃場環境・用水環境の改善
- 関連書籍や情報源

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