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   Memo - ため池 [2005年01月]
- ため池とは
  • ため池は,水田を潅漑するための水を確保することを目的として作られた池で,必要に応じて貯水と取水のできる施設を備えたもの
  • 自然を成因とした池ものちに取水施設を設け,ため池としての機能を果たすものもある.
  • 渇水期の水不足を解消する目的で作られたフィルダム型の小規模貯水池をため池という.
  • 特徴として
    • 貯水は農業用水や集落用水として使われる
    • 貯水容量は小さく,数百m3から数十万m3程度のものが多い.
    • 受益面積に対する池敷面積の比が大きい.
    • 自己流域をもつものや,流域を持たずに河川や他のため池から水を引くものなどがある.
    • 水路によって多くのため池が有機的に連結されている.
    • 立地場所から人間活動の影響をうけやすい
- ため池の実態
 ため池の総数は,昭和53年の調査では25万箇所.全国の分布状況を見ると,ため池の多い地域は,古くから開発されてきた近畿地方,降雨量の少ない瀬戸内地方,九州地方となっている.県別では,兵庫県,香川,山口,広島,奈良,大阪が多い.

ため池の特徴として
  • 古い時代に築造されたものが多く,ため池の約75%が100年以上を経過している.
  • ため池の規模は,堤高30〜10mのものがほとんどで,1カ所当たりの平均貯水量は約1万m3
  • 灌漑面積が5ha以上の灌漑面積を有するため池の場合,平均貯水量は約2万m3
ため池数
大規模 中規模 小規模 合計
全国 4,967 12,714 79,883 97,564
近畿 903 3,052 19,952 23,907
滋  賀
京  都
大  阪
兵  庫
奈  良
和歌山
77
46
117
506
91
66
225
219
280
1,395
433
500
1,066
1,453
4,347
8,526
2,034
2,526
1,368
1,718
4,744
10,427
2,558
3,092
受益面積(単位:ha)
実面積 延面積
大規模 中規模 小規模 合 計 大規模 中規模 小規模 合 計
全 国 627,603 211,179 298,082 1,137,064 737,379 255,153 348,938 1,341,470
近 畿 60,206 42,445 61,444 164,095 93,738 59,879 83,322 263,939
滋  賀
京  都
大  阪
兵  庫
奈  良
和歌山
17,352
2,810
8,902
22,642
5,489
3,011
4,159
3,723
4,331
16,819
7,079
6,334
5,127
6,230
9,578
25,901
8,470
6,138
26,638
12,763
22,811
65,362
21,038
15,483
18,362
3,022
11,237
49,455
7,062
4,600
4,805
4,372
5,880
28,894
8,079
7,849
5,496
7,433
12,606
41,332
9,229
7,226
28,663
14,827
29,723
119,681
24,370
19,675
有効貯水量(単位:千m3)
大規模 中規模 小規模 合計
全 国 2,030,877 601,070 770,489 3,402,436
近 畿 160,464 112,544 170,429 443,437
滋  賀
京  都
大  阪
兵  庫
奈  良
和歌山
41,619
4,981
26,805
63,930
12,804
10,325
7,077
5,801
16,062
51,395
13,951
18,258
8,141
10,373
32,867
84,817
16,533
17,698
56,837
21,155
75,734
200,142
43,288
46,281
実面積:親子池等の場合,親池の受益面積のみを集計したもの
延面積:子池の受益面積も加算したもの
- ため池の役割
  • 用水源
    • 受益面積1ha以上のため池・・・約10万箇所
    • 約10万箇所の有効貯水量・・・34億トン
    • これらによって灌漑されている農地面積・・・134万ha
    • 水田総面積の約44%がため池によって灌漑されている.
  • 一般的効果
    • 一時貯留効果による洪水の一時緩衝
    • 温水効果
    • 自然環境の提供
  • 置かれている状況
    • ため池は,利水者自身によって水位の監視が行われ,常に貯水量に制約を受けたかたちの水供給が利水者間の合意のもとで行われているため,水利用は節水的かつ非枯渇的なものとなり,必然的に過剰灌漑が抑制される.
    • 農地の減少と共に,ため池本来の意義が薄弱化し,同時に個々のため池の管理主体の構成員が減少して,一つのため池に対する農家の負担が大きくなっている.
    • 近年の地域開発の進展は,農地を含めた地域全体の治水機能を低下させており,洪水到達時間が短縮化し洪水ピークが増大する傾向を強めている.
- ため池の歴史
  • ため池は,本来,水稲耕作の灌漑を目的としたものであるので,その歴史は稲作との関連で始まる.日本における稲作は現在では,縄文時代晩期にまでさかのぼるとされている.稲作の普及発展に応じて,ため池という人工的な灌漑施設を要するようになるのは,弥生時代から古墳時代への過渡期もしくは古墳時代初期で,現在から1,800〜2,000年以前とされている.
  • 記録上(日本書紀)では,崇神天皇の勅命により作らせた狭山池が最古とされている.
  • 3〜4世紀の古墳時代:古墳の構築技術が同時にため池の築造に使われた.また古墳の周濠は事実上のため池として水田灌漑に利用されたと考えられている.
  • 5〜6世紀ごろには,ため池による灌漑農業が定着しはじめたと考えられている.
  • 大規模なため池の築造の記事は日本書紀,古事記,風土記等に見られる.
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