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   高橋俊介:スローキャリアのすすめ [2005年4月]
                              -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

「スローキャリア」って知ってますか?
よく知られる「スローフード」と同じ意味合いの造語なのですが.
といっても,スローフードを誤解している人も多いようですけども.
スローフードは,決してゆっくり食べるとか,粗食ということではなく,食事そのものにこだわりを持つということ.本物志向とか,究極のグルメといった意味合い.

スローキャリアとは,今の取り組んでいる日々の仕事にこだわりを持って取り組むこと.そして,その結果として,キャリアが形成されていくということ.
キャリアを目標化してしまうと,“今”が通過点でしかなくなってしまうことにたいするアンチテーゼ.

本日の講演では,
変化の激しい,先行き不透明なこの時代において,重視されるべきキャリア形成の一つの形として,この「スローキャリア」というものを一度考えてみてはどうですか?というものだった.
ただ,万人がこうあるべき必要は無いということも,きちんと言及されている.

仕事をしていく上で,人間には4つの大切な能力があり,その中でもとくに“動機”が大切であると説く.ここでいう動機とは,意志や努力がなくとも,しぜ〜んと体が動いてしまう,気がついたら何時間でもやっちゃってしまえるそういう性質のもの.

自分の中の動機をうまく活用して,“思考・行動特性”をつくり,たえず新しいものに取り組み,奥深さを味わいながら,学習し続けることが大切であるという.

慶應義塾大の教授である彼の研究によると,今の仕事に充実感ややりがいを感じている人は,いわゆる勝ち組というわけではない という.
主体的に日々の行動デザインができていて,ネットワークが充実していて,スキル開発行動を日頃から取っている人.そういう人が,仕事に充実感をもっていて,そしてキャリアができているのだと.

国鉄・マッキンゼー・ワイアットカンパニー・そして大学教授と,さまざまな分野で見てきたものを例に挙げ,とてもわかりやすく,面白く構成された講演だった.

講演を聴きながら,自分自身の仕事に対する取り組み方を振り返りつつも,同じ職場の人たちはどうなんだろうかと思いめぐらせることがしばしばだった.
そして,こういう考え方もあるということを,学生達に教えてあげたい.
そんなことを考えさせられたとても有意義な2時間でした.


関連書:スローキャリア 2004/PHP研究所 高橋俊介



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