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   加護野忠男:変貌するビジネスシステム [2005年4月]
                               -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

本日は,神戸大学大学院経営学 教授・加護野氏のお話でした.

今,とても見えにくいけどビジネスの世界に革命が起きている ということから話が始まった.多くの企業がいま.見えない競争相手との戦いを強いられているという.
それは商品による戦いではなく,旧商品をあつかった新事業の仕組みによる戦い.

たとえば,多くの家具屋の経営が悪化している.その理由として,多くの場合,不景気と生活スタイルの変化という形でとらえる.しかし,よくよく調 べている見ると,どうもそうではないらしい.通常,家具が売れるのは,結婚と引越のとき.じゃぁ,新しく引越してきた人にターゲットを絞れば,売れるので はと営業に力を入れるが,それでも業績は伸びない.何故か?
実は浮かび上がってきたのが,引っ越し業者.
引っ越しと同時に新しい部屋にあった家具を入れれるようにカタログ販売を行っているのだという.
それは負けるに決まっている.引っ越し業者は引っ越しする人たちを把握しているのだから・・・.

これこそが,ビジネスシステムの変化による敗北なのだという.

発想を変えていかねばならない.
スピード,組み合わせ,そしてアウトソーシング・・・この3つをうまく取り入れたビジネスシステムの変化を生み出していかねばならないという.

しかし,これらの組み合わせ.
今までにない全く新しいものではないのだという.
古くから受け継がれている日本古来のさまざま仕組みの中に,ヒントがうまっているのだと.たとえば京都の麦踏・すみわけの仕組み,灘の杜氏制度,東大阪の細胞分裂システム,宮大工の分家システム,相撲部屋制度,祇園の制度・・・.

これらの多くは,ある程度小さな集団の中で,うまく競争原理を使い,技術の伝承・進歩を行っていく仕組みをもっているのだという.

キーワードは,曖昧契約による継続取引とアウトソーシング.

良い仕事をし続ける限り,取引し続けるという暗黙の契約.
その裏返しの同業他社との競争原理.
競争に勝ち抜くためのアウトソーシング.


こういうものをうまく,先人達から学ぶことが大切なのだという.
我々は限られた知識の中で,合理的に判断しがちである.
しかし,われわれの知識は限られている.
学び続けなければならない.とくに,普段仕事で学べないことを積極的に吸収していくことの必要性を説いていた.


笑みを絶やさず,ほほえみかけるように,ゆっくりと語りかける加護野氏の話は,心地よいものだった.


今回,話の本筋ではないが,印象に残ったのが知性についてのお話.
知性とはインテリジェンスである.
そのインテリジェンスの語源は,行間を読む力のこと.
知性がつくと,本を読んでいると,書かれていないことも読んでしまうのだという.

“知性”私も,ぜひ身につけたいものである.


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