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   堀義人:人生の座標軸 [2005年5月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

今日の演者は,グロービス・ネットワーク社長の堀義人氏.

グロービス・ネットワークは,業界第3位の実績を誇るビジネススクール.

一見,スーパーマンのクリストファーリーブみたいな顔立ち.
がっしりした体格,綺麗な歯.なんとも清涼感のある方でした.

話しぶりもとても謙虚で,さわやか.あんまりガツガツしてない.
こんな起業家もいるんだなーっとちょっと感心しました.


スクールでは,いまでも講師として教壇に立っているらしく,さすがに話慣れている.
きちんと今日の講演の流れを概観して,それにそってほぼ時間通りに話をすすめるテクニックはさすがです.今までの人は,結構話に夢中になっちゃって,時間オーバー気味だったんですけども.

MBA取得のために,ハーバード大学に留学をしたときに,さまざまな刺激を受けて起業家になろうと決心したらしい.
ときはバブル前の旧体制の日本社会.日本の経済成長ぶりに世界が愕然としていたころ.そのときの資本集約型企業組織から,いずれアメリカ型の知識集約型へと移って行くであろうことを予見し,それにともなうインフラを提供する事業を展開.

たった80万円の資本金で始めた会社のねらいを的中させた彼の信念は,可能性をとことん信じること.
そしてそれには,心・頭・体のバランスこそ大切であると説く.


とくに,心の平静を保つこと.
欲にとらわれず,心に正直であることは,一見起業家には不向きなように見えるが,じつは感情を素直にあらわせる心の平穏さがもっとも大事であるという.

そのためには,自分の座標軸をしっかり認識すること.
つまり,個人としての自分,家族の中の夫としての自分・親としての自分,組織の中の自分,日本人としての自分,アジア人としての自分,地球に生きる人間としての自分.
それぞれが自分であり,それぞれをバランス良く受け止めらえる心を育てること.

「吾人の任務」すなわち,パーソナルミッションを意識せよ と.


ディスカッションすることを望んだ堀氏は,質疑応答の時間をたくさんとってくれた.
おかげで今回も,またまた私の質問に答えて頂くことができた.


今回投げかけた質問は・・・
「ビジネススクールという形で,教育というものの一端を担っている堀さんから見て,いまの日本の大学はどのように映っていますか?とくに大学の役割といった観点について意見をきかせてください」というもの.

彼の答えはこんな感じでした.
「大学は,入学試験の偏差値のせいで序列が完成してしまっていて,ほとんど崩れることがない.これは良い競争が生まれないことを示している.しか し,私たちからみれば良い競争相手であり,ともに日本社会にいい人材を提供するという任務を負ったパートナーであると受け止めている.使命感を持って,良 い人材を育成し,新たな理論を構築するということに専念して欲しい.」


分野は違えど同じ教育という観点から,すんなりと心に響いてくる言葉が数多くあった.
今日は,そんな講演会でした.


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