BONO's page -> マイ・研究室 -> 保管ページ ->

   和田裕美:営業テクニックなんていらない [2005年6月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

今回の演者は,和田裕美氏.
英語教材や児童書などで有名なブリタニカへ入社1年目にして,営業成績世界No.2を達成した凄腕.早々と支社長へと昇格し,現在は株式会社 ペリエの社長.若干32歳.

しかし,その風貌は,どこかOLさん風で,社長には見えない物腰の柔らかさ.
にこやかな笑顔を崩すことなく,聴衆に盛んに話題をフリながら彼女は語り始める.

人を動かす力とは,黙っていても相手が動いてしまうようなもの.
結局,人に愛される魅力なのだという.

愛される人は,「陽転思考」「単純思考」「プロ意識」の3つをもっているものだという.
陽転思考・・・とにかく前向きで,切り替えが早いこと.
単純思考・・・素直で,感情移入しやすく,相手を思いやれること.
プロ意識・・・確かな知識と,向上心をもっていること.

これらの土台をしっかり持った人が,言葉遣いなどのテクニックを身につけたとき,
営業としての成績は確実に向上するという.

とくに単純思考であることが大切であると説き,情緒を育てることが大切なのだと彼女はいう.
素直に感じることのできる力.付け焼き刃の技巧では決して身につけることのできないモノ.これを時間をかけてゆっくりと育て,持ち続けることが大切なのだという.

まず大切なのは,“あいさつ”.
当たり前だけど,私たちは実際にきちんとあいさつしているだろうか?

そして“ありがとう”が,つい口に出ちゃえるかどうか.
気をつけてみると,日常には,“ありがとう”っといえる場面が沢山潜んでいるけども
1週間に私たちは,何回“ありがとう”を言っているだろうか?

これらができる人の顔は,いつも笑顔なのであると.

人は結局自分自信でいろんなものを決断する.
多くの場合決断とは,1つを捨てて,1つを拾うこと.
決断という1歩は,案外勇気のいるものだが,
この笑顔を持った人には,人の背中を押せる力があるのだと.

今回の講演で,私がもっとも印象に残ったのは,
“人は多くの場合,一生懸命自分の思いを伝えたがるが,
 大切なのは,自分の伝えたいことを伝えるのではなく,
 相手が聞きたい・知りたいことを伝えることなのだ”という言葉.

昨今,プレゼンの技法とか流行っていますね.でも,結局は聴衆が何を求めているかを
しっかり把握して,それを伝えないとダメだということ.多くの場面で活かせる含蓄のある言葉ですね.


今回も質疑の時間に,直接質問する機会を得ることができました.
今回はこういうことをきいてみました.
「もし,多くの入社試験に落ちて,落ち込んでいる学生が目の前にいるとしたら和田さんならどういう風に声をかけますか?
 また,和田さんが欲しくなる新入社員像のようなものがあれば教えてください.」

答えはこんな感じ.
「まずは,“落ちてよかったね”と.なぜなら,1発で受かった人よりも,数倍自分を見つめ直す機会を得ているハズだから.悪い点を修正する機会を 多く得て,そして最終的にどこかに受かったらならば,その学生には,人の話を聞き入れ,自分を修正することができる能力が身に付いたはずだから.
 私なら,こういう素直な学生を採りたい.前向きで素直な人は,吸収するものが多く,なによりも延びる可能性を秘めているから」

終始,営業という仕事の中で観てきた多くの事例・人たち・そして彼女自身の経験から
見えた大切なことを,楽しげに語っていたが,人にものを売るという営業という仕事の枠を超えて,人に影響を与える力の源泉のようなものを随所に感じさせる講演でした.


[前画面に戻る]

▲ページトップへ

Copyright(C)1998 Shinichi Takeshita(竹下伸一).All Rights Reserved.