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   星野佳路:リゾート再生 [2005年6月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講

今回の演者は,関東の方はよくご存じかもしれませんが,軽井沢で100年の歴史を誇る星野温泉のオーナーで,現在は星野リゾートの代表取締役社長である星野佳路氏.

日本の観光産業のゆく末をはやばやと予見した星野氏は,1991年に現在の星野リゾート社長に就任し,リゾート管理・運営の専門会社として陣頭指揮をとってきた.

昨今はとくに,リゾート法制定時&バブル時代に登場し,その後破綻して産業再生機構の手が入ったリゾート地の再生事業でその手腕をふるっている.

観光,とくに“リゾート”でもっとも重視されるべきものは

“顧客満足度”であるという.

なにを今更・・・・という感じであるが,実は日本の観光産業,とくに温泉地がもっともその改善を怠ってきたものなのだという.

温泉旅館の問題点は大きく3点.
1.時間の拘束
 思い出して欲しい.温泉旅館に着くと,夕食の時間は何時.お風呂の時間は何時.朝食は何時まで.明日の出発は何時・・・,
 ゆっくりと時を過ごしにきたはずなのに・・・.
 普段の生活以上に時間の制約を受けさせられるのだ.

2.食の制約
 温泉旅館にはいると,みんな同じ場所で同じような食事を強要される.
 数泊してもそれは同じ.朝食に関してもそう.
 私たちは,朝食を食べない人もいれば,パン一枚でいい人もいるし,ガツガツ食べたい人もいて,普段の生活ではそうしているはずなのに,温泉旅館にはいるとみんな同じ食形態を強要されているのだ.

3.時代とのギャップ
 温泉地はどこか古い.
 私たちは普段の生活で,ケイタイ,ネット環境などを巧みに利用しながら,生活しているにもかかわらず,温泉地にはいるとこういう時代の流れから隔離させる.
 もちろんその古さを求める人もいるはずだが,もっと多様な温泉文化があっていいはずなのであると.


各地の温泉旅行者の顧客満足度は,高くない.

世界の観光地の満足度基準から,あまりにもかけ離れているという.

 日本人は温泉が好きだ.あらゆる世代の約7割の人々が常に休日には温泉に行きたいと願っている.サービスの充実度を世界レベルに上げさえすれば,かならず利益は上がるのだと力説する.

そのためには,徹底した市場調査により,各観光地に客がもとめるものをきちんと把握し,コンセプトを明確にすること.
そして,満足度を測る指標を導入し,常にサービスを改善させていくこと.
その過程を,仕組みとして蓄積していくこと.

そうすれば,リピート客が確実に増え,収益は確実にあがる.
新規旅行者開拓コストは,非常に高い.
2度目,3度目の客を満足させること.
それが本当のリゾートなのだと.

星野氏がこれまでにかかわった軽井沢をはじめとする観光地:山梨県のリゾナーレ小渕沢,福島県のアルツ磐梯,北海道のトマムリゾートの再生事業は ほとんど増収に転じているという.そういう事例から,それぞれの場所で何が問題で,どこを改善すればいいのかをわかりやすく説明しながら熱弁をふるってい た.


斜陽と呼ばれる分野で,生き残るだけでなく,収益を増加させ続けるための思考には,学ぶべきものが多い.

話を聴いていると,私たちが享受させられていた観光・リゾートというものの考え方を崩される感覚を味わう.
そして,本当のリゾートというものを体験してみたくなる.
いつか,星野氏の関わったリゾート地で,ゆっくりと休日を過ごしてみたいと,思ってしまうほど力を持った講演会でした.


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