今回の演者は,コンサルティング会社:ボストンコンサルティンググループ日本代表の水越氏
今回のテーマは,“ツールの使い方”講座といったところか.
昨今,アルファベット3文字で表された様々なコンセプト,フレームワーク,モデルといったビジネスツールがあふれている.でも,それら自信では決して,着目している問題の答えは出てこない.
その中身をよく知らないがために,過剰な期待のもとに,簡単な解決策を求め,多くの時間とお金を使ってしまう.
ツールを使うメリットはずばり2点
1.頭を整理すること
2.議論のための基礎となること
多くのツールで,複雑な課題の中身を分解する作業を行う. これは,さまざまな関連事項の位置関係を整理するのに役に立つ.そうして,関連事項が整理されると,同じ目線・同じ言葉で議論ができるようになってくる.この効能はどんなツールにも共通している.
では,これらのメリットを活かして,何をするべきなのか?
それは,“現状認識”であると水越氏はいう.
現状認識とは,以下の4つに集約されるという.
・自分たちの特性
・自分たちの位置づけ
・自分たちの競合相手
・自分たちの進化の方向性
複雑な課題にぶつかったとき,往々にして自分たちの現状認識がどこか間違っていることが多いという.
基本的に私たちは,過去の経験から現状を認識する.それもほとんどの場合,成功した経験から判断する.物事がうまくいくときというのは,他の様
々な要因が作用していることが多い.でも,失敗したときは,そのほとんどが自分の問題がもとになっている.すなわち,失敗体験は,原因を特定しやすく,改
善しやすい.でも,そこになかなか気づけないから,認識を謝るのだという.
現状認識のコツは2つ.
・取り組んでいる問題解決に見合ったデータ分析:セグメンテーションという.
・徹底的した,分解作業:因数分解という
これらの作業に大切なことは,決してデータから出発してはならないということ.なるべく現場から情報を広い,多角的に見つめること.
あくまでツールであることを,頭に置くこと.
見落としがちですが,大切なことですね.
水越氏は,どこか誠実さが漂い,落ち着きのある雰囲気で,ときおり見える思考の深さにハッとさせられることもしばしばでした.
多くを盛り込みすぎず,講演内容が良くまとまっていたので,いつもたくさんメモを取る私でも,今回はそんなにメモをとらなかった.でも,メモを見ると講演内容がよくわかる・・・.すばらしいですね.ちょっと感動しました.
今回は,“ビジネス”ツールの扱い方の話ではありましたけども,自然科学の研究者である私にとっても,分析技術やデータの扱い方に置き換えて聴くことができ,とても刺激になる講演でした.
[前画面に戻る]