本日の講演者は,放送作家:秋元康氏でした.
彼のことは今更説明するまでもないかも知れませんが,一応述べておくと・・・
「ザ・ベストテン」や「おしゃれイズム」「うたばん」などの番組を企画・構成,映画でも最近「着信アリ」をプロデュース.また美空ひばりの「川の流れのように」をはじめとする多くのヒット曲を世に送り出しています.
今回のテーマはプロデュース論.とくに自分の幸せをプロデュースするための方法を語っていました.
プロデュースというと多くの場合,なにかを企画し作ることをイメージしますが,
彼に言わせるとそうではなく,“客観性”であるという.
プロデューサーとは,当事者に変わって,その人をいかに客観的に見てアドバイスすることなのだという.
そういう意味でいうと,昨今よくいわれる「セルフ・プロデュース」というのは本来矛盾するもの.主観と客観を上手に分けてみるなんてことは本来無理.
見えている自分は,経験の中にしか存在しない.自分の想像の範疇でしかものが見れない.
沢田研二がヒットしたのは,彼が本来望まなかった衣装・スタイルを糸井重里がプロデュースしたから.
自分で気が付かないところにこそ,勝機がある.
だまされるということは,その人の想像の範囲外であるということ.
信頼できる人に騙されてみる・・・.
それが本当の意味でのセルフ・プロデュースであると.
そう念を押しながら,彼は人を物をプロデュースするためのコツをいくつかあげていった.
ひとつ.記憶に残る幕の内弁当はない.
幕の内弁当が好物だという人はいない.ハンバーグ弁当やチキン南蛮弁当が好物である人はいても.なぜなら,中庸すぎて特徴がないからである.一品は記憶に残る.
“あの○○”がつくような一品を作ること.みんなに好かれようとしすぎないこと.
ひとつ.人の行く道の裏に,花あり.
マイナスはチャンスファクター.今流行っていることを今から始めることほど,バカなことはない.みんなが良いといっているものを,今更良いと言ったところで誰も注目しない.
ひとつ.止まった時計は1日に2度,正確な時計を刻む.
これは上とほぼ同じことですね.
時計を合わせようとすると,かならず少しだけ遅れる.遅れた時計は1日じゅう間違った時間を刻み続ける.あわててはいけない.
ひとつ.時代はケーキのようなものである.
時代と共にケーキ屋の店頭に並ぶケーキの種類は変わってきているように見える.しかし,よく見ると変わっているのは,上のデコレーションだけ.ベースのスポンジはほとんどかわらない.おいしいケーキはスポンジがうまいのだ.
ひとつ.情報はたまるものだ.
情報はサプリメントではない.毎日の食事なのだ.不足している分を補ったところで,身にはならない.自然に取り込み自然に溜まった情報こそ,自分にとって役に立つ情報であると.自分の器に載らない情報は消えていくだけだ.
ひとつ.人脈はドミノ倒しだ.
売れるタレントはマネージャーの熱意で決まるという.マネージャーが,本気で売り込みたいと思っているタレントには,その彼or彼女を惚れさせるだけの魅力をもっているということを証明しているのだと.
自分にとって一番身近な人を倒す(惚れさせる)ことができなければ,遠くにいる人を倒すことは出来ない.
ひとつ.説得は納得だ.
自分が納得できない言い方なら,他人も納得できるわけがない.
そうして.人をプロデュースしながら自分も幸せになるには.
“根拠のない自信もつこと”
であるという.
根拠がないから好きに発想する.
根拠がないから好きに行動する.
この世の中には正解はない.正解は自分で作るのだと.
そうして,呼吸するように生きることで,今そこにある幸せを見つけることができるのだと.
今回も,幸運にも質問する機会を得ることが出来ました.
私の質問は
“就職活動に悩む学生に,自分を売るコツ,自分を客観的に見るコツを指導するとしたら,秋元氏ならどうしどうしますか?”
というもの.その答えはこんな感じでした.
“自分の売りを作りなさい.
僕は何でも出来ます!という人はいりません.
いまこんな時代だからこそ,“コレしかできない!”っというのがはっきりしてるほど,使う側も適所を見つけやすい.人は,実はジグソーパズルなんじゃないかって思います.ココしかはまる場所がない.だからあなたが必要なんだと思ってもらえることが大切なんだと.
まずは嫌われる勇気を持とう.
そのとき初めて自分らしさが出てくるのだ”と.
ビジネスの話というよりも,幸せになる方法論的な内容の講演会だったように思います.
まるでフォレスト・ガンプのような,語呂のいい言葉が沢山出てくるところが,さすがに放送作家っていう感じでした.
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