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   竹中平蔵:「少子化と構造改革」 [2005年11月]
                                  -講演会聴講レポート in 宮崎大学学園祭
宮崎大学の学園祭の一環として,竹中平蔵氏を招いての講演会が催されました.

さきの内閣改造で,総務大臣・郵政民営化担当大臣に任命されたばかり.
今回の入閣後はじめての聴衆での講演とあって,みなさんの関心は高かったようです.

学園祭の一環とあって,ホールの前よりステージ側は学生達の席.その他一般人は,後方の席となっていました.

竹中氏のお話も,メインターゲットを学生にしているためか,なるべくわかりやすい言葉で,たとえ話も豊富に入れて,今の内閣が行っている構造改革の中身を講演,というよりも解説していました.


日本はこの100年間で30〜35倍も生活水準を高めた,世界的にも類を見ない国家であると.
そのベースとなったのは2つ.
・人間の力.
・社会システムを巧みに変化させたこと.

人間の力とは,技術力であり,資本の蓄積であって,すなわち教育によって育まれた国民の力であると.明治維新において福沢諭吉が学問を薦めたことが,大きく花開いたのであると.

それから,戦後生まれた終身雇用・年功序列という社会システム.これは高度経済成長に上手くマッチした.それ以前は,ひとりの人間が生涯同じ職に 就くことは皆無であった社会.しかし,それはそれで上手く成り立っていた.日本は常に社会システムを上手く変えながら,進んできた社会なのだと.

そしていま.まさに変革の時.
1989年の冷戦終結後,世界のマーケットは従来の西側諸国27億人の状態から,一気に60億人に広がった.しかし,一方で競争相手が格段に増えた.
今こそ,さらなる競争が必要なとき.でも,人口が減っていく.
少子化対策は確かに必要.でもそれが花開くには数十年後.いま出来ることは,人口減少社会で世界と互角に戦っていくことができる社会システムの形成.

民間に出来ることは民間に.
地方に出来ることは地方に.
それぞれが,それぞれの立場で競争しながら,延びていく社会へ.

総論賛成.各論反対.それでは先に進まない.
競うべき相手は国内の誰かではなく,世界なのだと早く気づいて下さい.



そういう内容の講演でした.

その後の,質疑応答では,やはり学生を中心に多くの疑問が投げかけられました.

Q:勝ち組と負け組が出るのは仕方ないことなのですか?

A:社会が高度になる中で,多様性が生まれるのは仕方ない.というか良いこと.
 もちろん不平等の再生産は絶対止めないといけない.
 大切なのは,誰にでもチャンスがあるというシステム.失敗しても再挑戦できるシステムを作ること.自助自律.自分を助け自分を律することが出来て,初めて他者を助けることが出来るのでは?

 “では”っと,彼は聴衆に問いかけました.

  競争しないで,(長い目で見て)いいことってありますか? と.


Q:大学の担う役割とは?

A:これまでの,国民皆教育が成し遂げた成果は計り知れない.しかし,これからはそれに多様性を組み込まなければならない.平等な普通の教育を提 供しつつも,いままで世界が経験したことの無いような,高度な社会をますます進んでいかなければならない中で,必要な競争の力とチャンスをうむ教育を.

 ここでも彼は我々に問いかけました.

“さて,競争相手のいない競争はあり得ません.
 では,宮崎大学のライバルはどこですか?” と.


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個人的に,今講演会のポイントは,

・批判はあるが具体論はでてこない.
・競争(多様性)は悪いことか?
・チャンスは平等.

この3つじゃないかと思いました.


小泉内閣を支える大黒柱らしい講演内容,そして質疑応答の数々.
さすが,政治家ですね.話がやわらかく,かつポイントを突いていて,うまい.
聴衆の多くがうなずいているシーンが多くありました.

私たちにもとても良い刺激になりましたが,なにより学生にはいい勉強の機会になったと思います.


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