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   立花 隆:科学ニッポン最前線 [2006年4月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講
今回の講演者は,超ビッグネーム.ジャーナリストの立花 隆氏です.

もう紹介するまでもない人物ですね.マスコミなんかでは「知の巨人」なんていわれてます.

1.危機に立つ日本の科学技術
2.大きな夢もある
3.サイエンス・メディア・ウェブサイト
  SCIでやってきたこと

の三部構成を予告して話し始めました.

まずは,科学技術白書の資料を基に,日本の科学技術の危機を訴えます

日本の知的生産力が弱くなっているいう.科学技術論文の発表数と引用数が,アメリカに比べて圧倒的に低い.ヨーロッパ諸国に比べても低い.
そうはいってもここ数年,論文の数は増えてきている.でも引用数はあがっていない・・・.誰からも評価されない論文が増えているのだと.

何故か?

考えられるのは,研究費が足りないこと.
研究費総額で見ると,日本はアメリカに次ぐ世界二位.GDP比でみると世界一位.

金は十分にある.では,研究者の質が悪いということか??

いやまて.研究費の中身を見てみると・・・
政府負担の研究費は,先進国の最下位レベルなのだ.
日本の研究者の研究費は,もっぱら民間頼みなのだ.
ということは,
金儲けに直結する応用研究には金がまわるが,基礎研究には金がまわっていない.

実際,研究分野の中で日本が強いのは,材料や化学といった分野に限られる.
時間がかかって,お金儲け出来ないような研究,たとえば人類の起源を探るとか,地震のメカニズムを探るとか,人間の脳を探るとかいった“金にはならないが大切な研究”に十分なお金と時間が投入されていない.

しかも,独法化などの影響で,その傾向はさらに強まっていると立花氏は嘆く.

さらに,学校教育における数学・理科の基礎学力の低下が,研究者層の厚さをどんどんと削っていると同時に,文系人の理科力不足が国民の科学への目を紡ぐ悪循環を引き起こしていると嘆く.

科学技術立国を目指すとうたいながら,その基礎地盤をどんどん削りつつあるいまの現状を変えなければならない.
科学を支える人間を支える国民の支えが必要なのだと訴えたところでタイムアップ.


そう.最初の予定の1だけで講演時間が終了してしまいました(笑)


その後,質疑の時間にいくつか興味深い質問がされましたが・・・
立花氏は,興味のないことにはまったく意見を持たれない方なのですね.
「それはよく知りません」「あ〜.それはわかりません」という返事のみ.

私も若手研究者の育成についての問題点等の意見を求めたのですが,
「あぁ〜.私はそれには興味がないのでわかりません」
で終わってしまいました.

話を聞いていて,巷で「知の巨人」といわれるこの人は,実は「科学ネタが大好きなおじさんジャーナリスト」なんだなっという印象を持ちました.

科学技術を容認し,一生懸命大衆に訴えてくれる姿勢はとてもありがたいですが,ややイメージが先行しているきらいがありますね.この人の立ち位置を,私たちがしっかりと認識した上で,彼の意見を見聞きする必要があるかな・・・そんなことを感じた今回の講演会でした.


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