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   青木豊彦:夢の実現で地域活性化を [2006年5月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講
今回の講演者は,株式会社アオキ代表取締役の青木豊彦氏.
・・・といっても,わからないですよね.きっと.私もそうでした.

この方,東大阪市の町工場の力を結集して,人工衛星「まいど1号」を打ち上げようとしている団体の元・会長さんです.これならわかる人も多いですかね.メディアにも良く出てますし,CMもずいぶん流れましたね.

東京・大田区と肩を並べるほどの技術力をもつ中小企業がひしめく東大阪市.しかし,中国の技術力の向上と低コストに押され,不景気もあいまって,瀕死の状態に.

そんな自信を失った街に,もう一度誇りを取り戻そうと立ち上がったのが,青木氏を代表とする東大阪宇宙開発研究会を2002年にたちあげた.

はじめのころは,いろんなイヤミも言われたという.
 そんなことできるわけないだろっと.
 あんたの所は儲かってるからええわなぁっと.
そんなとき東大阪の職人達が,敵方である中国の生産現場を視察にいく機会があったという.そこで見たのは,そこで働いているモノづくりの若者達のキラキラとした目.
東大阪にないのは,この目なんだと気づいたんだという.


青木氏が代表を務める株式会社アオキは,従業員わずか30人たらずの小さな企業でありながら,アメリカ・ボーイング社の認定をうけるほどの高い技術力を持つ.

“空に使われるようになれば,その技術は最高だ”

との先代の言葉を,実行して見せた青木氏.
航空機関系の製品づくりは,通常の製品に比べ,基準が厳しく,高い管理能力が問われるが,3〜5年という先を見据えたものづくりなため,見通しが よく安定しているという.しかも,夢がある.若者を引きつけるモノを作れる.ローテクがあってのハイテクであることを実証できる.さらに高い空を飛ぶ人工 衛星こそ,象徴的なモノになるはず.その思いは徐々に広がりはじめると,修学旅行生達が街にやってくるようになった.

この若者達に夢を見させたい.
人の感性は磨けば,1/100レベルの水平も感じ取れるようになる.火花をみただけで材質を判断できるようになる.そんな技術のすばらしさとロマンを合体させるんだ.


“おっちゃんは,ほんまに,誇りある街にしたいんや”
“地域作りっちゅうのにはな,アホがおらなあかんのや”

そんな想いを,しゃがれた,コテコテの河内弁で語る青木氏.

“さぁ,わしらといっしょにアホなことやりまへんか?”

そういって話を締めくくりました.

他の講演者に比べると,その構成はお世辞にも上手だとは言えない講演でした.
でも,本筋から脱線しながら語る様々なエピソードの中に,たくさんの想いが詰まっていました.青木氏自身感極まって,涙声になる場面もしばしば.

肝心の人工衛星は,2005年に打ち上げられる予定でしたが,人工衛星が未完成なことと,日本の国産ロケットの相次ぐ失敗などもかさなってために まだ打ち上げられていません.人工衛星自体は今年度中に完成がホボ見込まれてますが,打ち上げはちょっと未定なんだとか.この熱いおじさんの想いをなんと かかなえてあげたいな.って思いましたね.

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