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   内田和成:20の引き出しと仮説思考 [2006年10月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講
今回の講演者は,ボストンコンサルティングの元社長の内田和成氏.
ついこの間,「仮説思考」という本を出版し,話題になりました.

今回の話もその「仮説思考」をベースとしたお話.
といってもこの仮説思考は,研究者とくに自然科学者にとってはいまさら言われるまでもないあたりまえの考え方.仮説思考ができない,できていない人を研究者と呼ぶわけにはいかないくらいです.

しかし,ビジネスの世界や一般の人々にはなじみのない考え方.
顧客とのつきあいの中で,ボストンコンサルティングの仕事の速さ・正確さに対する質問を数多く受ける中で,内田氏は何が他社と違うのかを思いめぐらせ気がついたのが,この「仮説思考」だったそうです.

経歴を見ると,内田氏はどうやら工学部出身.なるほどなって感じがします.


要は,少ない情報の中でもまずあらかじめ答えを予測してしまうこと.そしてその答えが合っているかどうか,検証を進めながら情報を集め,仕事をしていくこと.これが仮説思考型の仕事.

このメリットは大きく3つあるという.
1.情報の洪水に溺れるリスクが少ないこと.
2.スピードアップ,仕事の質の向上がはかれること.
3.他人に(の)仕事が見えるようになること.

答えを検証するために情報を集めるようになると,漠然と情報を集めるよりも効率的になるのは,言われるまでもないことですね.
そうすれば,スピードは当然上がるし,回数を重ねていく毎に最初の答えの正答率が上がっていくため,仕事の質も向上する.

なにより一番のメリットは,3番目の他人に仕事が見えるようになることだと私は感じました.
自分がいまどういう課題に直面していて,それの答えはこうなるだろうと予測していると言うことを語ることができれば,経験のある人にはその答えの妥当性を判断してもらえるし,そうでない人からでも関連する有益な情報を提供してもらえる可能性が広がる.
これは1番とも関連するけれども,とても大きなメリットであると感じました.

それからこの仮説思考の話とは別に,自分の中にネタの引き出しを作っておくことを推奨していました.常に20個ぐらいのメイントピックを自分の中に作り,それに関連する小話・たとえ話を集めていく.そしてそれを積極的に自分の商談・プレゼンの中に織り込んでいくこと.
良い比喩は,ときに論理的な説明よりも雄弁に物事を語ることがありますね.

つねに自分のアンテナを張って情報を得ておくことの大切さを説いていました.


繰り返しになりますが,この「仮説思考」は私にとってはとてもなじみ深いもの.いまさら言われなくても・・・って感じだったのですが,こうやって整理されると自分でも気がついていなかったことがたくさんあるなと感じましたね.
それに,この「仮説思考」を学生さんにぜひとも身につけてもらわなくてはならない立場として見ると,このように簡潔にまとめたものは理解の最初のとっかかりとなるので,教える際の参考になります.

今回もまた,なかなか興味深い有益な講演会でした.

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