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   須藤実和:実践的マーケティングセオリー [2006年11月]
                                  -講演会聴講レポート in 慶応MCC夕学五十講
今回は,東京大学理学部大学院で修士号を取得後,博報堂などでマーケティング・コンサルティングに従事した後,大前研一が主宰する大前・アンド・アソシエーツに引き抜かれた経営コンサルタントの須藤実和の講演でした.

テーマはずばりマーケティングについて.
ひと昔はやったマーケティングですが,今また新たにマーケティングの重要性が高まってきていると言います.それは市場が成熟してきたため,売るた めの構造の再構築が必要なのだという.今や生活の不便・不足がほとんど解消.消費者の多くは買い時を迷っている.「今買わなくても」「すぐ良いのが出る し」「ちょっと待てば安くなる」今やすぐ必要なものがない.そんな中でモノを買ってもらわないといけない時代.

そこでマーケティング.それは顧客を満足させて利益を得ること,利益を得られる仕組みを作ること.大切なのは,最初にきちんと狙うべき顧客セグメントを決めることなのだという.これに成功している例として,雑誌「レオン」をあげて説明していた.

顧客のセグメントを決めたならば,世界観の提案をすることが次の仕事.
最も簡単な世界観の提案は,自己類似度を前提とした提案.たとえばセレクトショップが良い例.自分が良いと思うものを持ってくるだけですむ.ただ し,自分と同じ感性を持っている人がどれくらいいるのかという点に限界がある.最も難しいのは,大衆をターゲットにしたもの.ある程度世界観の先行感を持 たせる必要がある.

そこで大切なのが仮説思考.日常の業務の中で小さな変化に気づき,仮説を立てて検証していくことが大切なのだという.これに成功した例としてセブ ンイレブンのオフィス街の朝サラダ提案をあげていた.深夜に仕入れたサラダの売り上げの変化に気づいて,簡単な市場調査をしたのちオフィス街の店舗で早朝 のサラダの仕入れを増やしたところ大きな売り上げアップを実現したのだという.
でも,仮説思考で注意しないといけないのが,自分の感覚=顧客の感覚とは限らないと言うこと.あくまで客観的に,そしてアクティブに.


仮説思考を使って
 定着性:広い範囲での価値提案
 実質価値:選ぶ理由を作ってあげる
 時代性:気持ちに先行するものを提案
 ディテールへのこだわり:
  触れたときに小さな違和感を与えないきめの細かさが大切.
の4つに注意して世界観の具現化をしていくことで,成熟した市場でもビジネスチャンスはある.っといって講演を締めくっていました.


ターゲットを絞って,新しい価値観=世界観を上手く作り上げる・・・.なるほどなって感じがしました.マーケティングに限らず研究なんかでも新し い分野を開拓する際に使えそうな思考ですね.今回は話を聞いているうちにいろいろ応用的なアイデアが思い浮かんできました.なかなか刺激的な講演だったと 思います.


さて,講演とは関係ありませんが,今回はちょっと嬉しいことがありました.
実はいままで参加しているほとんど全ての講演会で,質疑の時間に質問をさせていただいています.昨日も質問を描いて東京会場にFAXで送ったら, 東京会場の司会の方が「いつもありがとうございます」っておっしゃってくださいました.小さいことですが,とても嬉しかったです.続けていれば良いことあ りますね.

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