BONO's page -> マイ・研究室 -> 保管ページ ->

   自然生態系の維持保全に配慮した農村整備のあり方について [1997年]

 河川・水路整備や農村整備等の公共土木事業はこれまで、生産機能や利用効率を重視して計画が行われてきた。そして多くの場合、建設された公共施設間に相互の関連性が乏しく、往々にして地域固有の生態系や文化の破壊、農業をはじめとする地場産業や地元商店街の崩壊、安らぎのある生活空間の阻害をもたらしている。こうしたことを踏まえ、これからの農村整備の計画にあたっては、従前の生産機能に配慮しつつ、

  @計画地域の水環境における生態系の健全性を取り戻し、安全で質の高い生産物の生産基盤と人の健全な生育・教育環境を提供すること

(地域生態系の健全性)

A歴史や文化に裏打ちされた地域の個性を高め、地域住民にとっても都市住民にとっても魅力ある水環境を創造すること

(地域の歴史・文化) 

B快適な生活条件の整備と多様な就業機会の創出に向けて、各種施策の有機的連環を形成すること

(地域施策の有機的連環)

C計画への住民参加を進め、住民のエネルギーを地域づくりへと結集させ、住民の地域への愛情を醸成して健全かつ活力ある地域社会を形成すること

(計画への住民参加)

など、ターゲットを総合的にして進めることが大切である。

 ここで強調しておきたいのは(施策の有機的連環)と(計画への住民参加)である。
 水辺空間整備の構想・計画・工事の一連のプロセスで最も重視すべきことは、事業の導入をきっかけにして地域住民の間で活発な議論を起こし、地域(集落レベル、市町村レベル等)の将来ビジョンを、じっくりと練り上げていくことである。
 本当に大切にしなければならない”地域資源”は何か、その”地域資源”をどのようにして磨いていけば、地域はより美しくなり魅力的になるのか。そうした中で、対象となる水辺空間をどのように位置づけていくのかが大切になる。


[前画面に戻る]

▲ページトップへ

Copyright(C)1998 Shinichi Takeshita.All Rights Reserved.