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   有機物の酸化と還元について [1997年]

< (1 )有機物の酸化とは<  
<  有機物は多くの場合水分を含むため燃えにくいが、乾燥すれば燃える。言い替えれば酸化する。実際の酸化反応は、好気性バクテリアが酸素を用いることで行われる。<  <  <  

< (2 )有機物の還元とは<
<  酸素がないと有機物は分解されないのかというとそうではなく、酸素の無い環境で有機物を分解する嫌気性バクテリアによって分解される。この場合、酸素が用いられずに分解が進むので還元分解と呼ばれる。<  

< (3 )水質に与える影響
<  閉鎖された水域で、分解されていない有機物を多く含んだ泥が底にあるとする。このような泥の中では、有機物の分解によって酸素が消費され還元状態となるために、植物プランクトンに利用されやすい形態のリンや鉄が水中に溶け出す。
<  河川からの流入がある湖沼では、河川から流入してきた粒子状のリンが湖底に堆積し、底泥中の酸素が少なくなるためにリンが溶出し、アオコなどが大量に発生する原因となる。

< (4 )家庭排水との関係
<  台所や風呂などから排水された家庭排水には、多くの有機物が含まれている。これらが河川に流入すると藻類やバクテリアにより分解される。バクテリアの分解力にも限界があるため、排水量が多いと分解できない残留物がでる。これらが湖沼などに流れるとアオコの大量発生の原因となる。

< (5 )養殖漁場における現象
<  <  養殖漁場のような閉鎖性の強い海域では、外界からの海水の供給量が小さい。よって太陽光によってあたためられた海水は、密度差によって上層と下層の海水が混合されにくくなる。
<  この結果、水中への酸素供給がなくなる。餌などの濁りの影響もあって光が届かないことなどや、水中の脂質分の影響など、いくつかの理由によって海草が生えにくいため、< 酸素生産もほとんど行われない。< よって、底質の有機物は酸化分解されず還元状態のまま堆積していくことになる。これは、極度の酸欠状態を生み、養殖産業に悪影響を与えかねない状況となりうる。<  <  <  


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