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専門用語PART2



問 土壌の保水特性を粒度特性・土粒子特性・間隙特性より説明せよ。

1.粒度特性

砂質土では毛管保水が中心となっており、高い吸引圧に対して弱く急激に含水率が  低下するが、粘質土では比表面積が広いため表面保水が卓越しており、ある程度高い  吸引圧に対しても含水率を維持できる。

2.土粒子特性

粘土粒子が水中にはいると平坦な表面は負の電荷を持ち、そのため極性のある水分  子は土粒子の表面に吸着して吸着水膜ができる。これが厚ければ粒子間の反発力は大  きくなり、その分水を給水して体積を増大させようとするため、ますます保水性は高  くなる。また薄いと今度は吸着力が大きくなり、綿毛化しやすく保水性も高い。

3.間隙特性

   土壌水分特性曲線が描くように、砂質土のような粗い間隙では吸引圧は小さく保水  性は低いが、粘質土のような微細な間隙では吸引圧が大きいため保水性は高い。





問 降雨流出に関する主要な成分(表面流出・中間流出・基底流出)について、ハイドログラフの模式図を用いて特徴を説明せよ。


1.表面流出

これは地表に達した雨水が直接地表を通って河道に入るもので、大部分は降雨時に流出する。この成分は他の流出成分より時間的に早く流出するので洪水ピークの重要部分となる。

2.中間流出

これは雨水のうち、いったん地中に浸入した水の一部が比較的浅い土層内で側方に流動し、山腹などから侵出して河道へ流出するもので、流域の透水性に支配され時間的には表面流出より遅れて流出する。

3.基底(地下水)流出

地中深く浸入した水が地下水面に到達し、地下水位を上昇させより緩やかに河道に  流出する成分で、1,2に比べて流出に要する時間は最も長い。

4.河道降水 channel precipitation

河道内に降った雨が河水として直接流出するもので、普通は表面流出分に含めるが  河道の大きい場合は区別して扱う。

それぞれの河川における流量の発生状況から得られた累加度数曲線を流況曲線といい

発電などの利水計画では流況曲線から水位が定義されている。1年のうち355日がこれ より下がることのない水位。

水田において浸透量と蒸発散量を併せた値。すなわち1日の間に消費した水位のこと。

水文量xがある値aを超える確率をaの超過確率といい、ある値bを超えない確率を bの非超過確率という。またある値xに関する超過確率と非超過確率の和は1となる。

比較的地表に近い浅層地下水は不飽和部の土壌を通じて大気と接しており、地表から の浸透水や揚水の影響を受けて、その水面は自由な形状を持つ。このような自由地下水 面が上部境界となるような帯水層を不圧帯水層と呼び、その水面が地表面に出るところ では湧泉が見られる。

帯水層の上下部にシルト層や粘土層などの不透水層(制限層)を持つ場合、ここでの 地下水は水面形を形成することができず圧力を受ける。もし帯水層の周辺で急激な地下 水の揚水があると、帯水層中の水の移動だけでは水の補給が間に合わなくなり、制限層 中の地下水が絞り出されて、制限層が収縮し地盤沈下が発生する。

帯水層中を流れる浸透流量は、断面積と両端にかかる水圧の差に比例し、浸透路長に 反比例する。

透水係数は試料の間隙構造および流体温度によって左右される係数で、ダルシー則の 比例定数を示す。

これは含水率あるいは土壌中の吸引圧の関数として与えられ、粗粒土では細粒土に比 べて低吸引圧状態では不飽和透水係数は大きいが、吸引圧が大きくなるにつれて急激に 小さくなる。

土壌中の化学ポテンシャルは実用単位として、大気圧下でそれと平衡する純水の圧力 水頭に換算し水柱高さ(cm)で表す。土壌水を扱う上でこの値は非常に広い範囲を取 るので、一般にその常用対数を取って表示し、これをPF値と呼ぶ。PFは土壌水の状態 を定量的に表す絶対的尺度で、静止平衡状態にあるあらゆる部分のPF値は等しい。

土は多量の水を含むと流れ出す液性状態から、水分の減少につれて塑性状態、半固体 状態を経て固体状態へとコンシステンシー状態を変える。液性から塑性への境界を液性 限界(liquid limit)、塑性から半固体への境界を塑性限界(plastic limit)、半固体から固 体への境界を収縮限界(shrinkage limit)、あるいはこれらをまとめてコンシステンシー 限界と呼ぶ。

流れの各点において流速・圧力などが時間的に変化しない流れを定流、変化する流れ を不定流という。流れの各断面での流量は定流では一定、不定流では時間とともに変化 する。

定流のうち流速・通水断面が場所的に変化しない流れを等流、変化する流れを不等流 という。等流は断面形が一定の人工の開水路か管路においてのみ実現されるが、一般の 自然水路や河川では断面形が場所によって変わるので不等流となる。

流体の運動状態を微視的に見れば、層流は流線が安定して整然とした流れ、乱流は流 線が乱れて混乱した流れである。この流れの状態を支配するのはレイノルズ数と呼ばれ る無次元数で、管路の場合は管径dによってReVd/υ(V;流速υ;動粘性係数) と表されRe>4000では乱流、Re<2000では層流となり、この中間値では不安定層流ま たは乱流となる。そこで一般にRe=2000を層流が維持される限界レイノルズ数と見な す。また開水路の場合は径深Rによってレイノルズ数をReVR/υで表し、その限 界レイノルズ数はRe=500となる。

開水路の流れでは、流れの運動に対する重力の効果の程度によって常流(重力の影響 を強く受ける遅い流れ)と射流(重力の影響の弱い速い流れ)に分けられる。この流れ の状態を支配するのは、フルード数と呼ばれる無次元数FrV/√gD g;重力加速 度、D;水理水深、V;流速)である。Fr<1であれば常流、Fr>1であれば射流である。 Fr=1の時を特に限界流といい、一般に不安定な流れであり、堰の頂上付近や水路の段 落部などで常流から射流に移り変わる点で局所的のみに発生する。

ある現象に最も影響のある無次元数を満足するように相似率を作る。あるいは現象を 支配している方程式が解っているときは、模型と実物に対するこの式が全く同一式にな るように相似率を定めること。一般に管水路ではレイノルズ相似率、開水路の摩擦を無 視できる流れではフルード相似率を、摩擦を無視できない流れではマニング公式を利用 した相似率が用いられる。

流路底面には流れによるセン断応力、すなわち掃流力が働く。掃流力が一定の限界値 を超えると砂が移動し始める。この値が

である。

常流の流れは途中で堰があると上流の水面が堰上げあれ、また下流に落差工があると その位置で水面が低下しその影響で上流の水面も低下する。