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用語集
水田灌漑 水理学 土壌物理・土質力学 水文学

水田灌漑


作物体の表面から大気中に放出される水分の量。

一つの作物について生育期間中の総蒸散量を作物の全乾物重量で割った値。

水田の土壌面および湛水面からの蒸発量。

作物体からの蒸散量と耕地(水田および畑)面からの蒸発量の合計値。降雨や灌漑で 耕地に給水された水のうち、これだけが大気中へ消失する。使われる単位は通常mm/d で、我が国における水田の日蒸発散量の最大値は6~mm/d程度。

蒸発計からの蒸発量。これは、水田や畑などにおける蒸発量や蒸発散量とは異なるが、 これらの値の動向を調べる参考になる。

灌漑期間中に耕地に降った雨水のうち作物の栽培に利用できるものの量。

水田に供給された水のうち、浸透によって稲の根群域外へ失われる水量。その内容は、 畦畔等を通して隣接する排水路や水田へ侵出する横浸透量と耕盤を通して下方へ浸透す る縦浸透量に分けられる。

耕地で必要な水量から有効雨量を差し引いた残り、すなわち耕地へ灌漑すべき水量。 純用水量=減水深−有効雨量である。

支配区域内の全ての耕地へ純用水量分の水量を届けるために、幹線用水路や支線用水 路へ取り入れるべき水量。用水を送水、配水する途中で失われたり使われたりする水量 (施設管理用水)を純用水量に加えたもので、粗用水量=純用水量/(1−水路損失の 割合)と表現される。

水田における蒸発散量と水田浸透量の和を水深単位で表したもの。通常、単位として mm/dを用い、日減水深という。




 水理 HYDRAULICS


制止した水が、面に対して、垂直に作用する力。その大きさは、水面までの鉛直距離 がhのとき、単位面積当たりρghとなる。

流水または射出水が固定した面に衝突するときその面に働く圧力。これは水と固体と の相対速度によるので、静水中を固体が運動する場合も同じである。

流れの中の各点での流速の大きさおよび方向が時間的に変化しない流れ。

定流において場所によって通水断面や流速が変わらない流れ。等流は通常、一様断面 の一定勾配水路で生じる。

流体粒子が前後左右の相互の位置関係を乱さず、流れ方向に平行に移動するような流 れ。レイノルズ数が開水路で約500以下、管水路で約2000以下の場合に起こる。

流れの内部で流体塊の不規則な混合がある流れ。レイノルズ数が開水路で約500以上、 管水路で約2000以上の場合に起こる。一般水流はほとんど乱流である。

開水路の流れのうち、長波の伝播速度よりも流速が小さい流れ。

開水路の流れのうち、長波の伝播速度よりも流速が大きい流れ。

流れに沿う一つの線を考え、この線の接線方向が接点上の水の運動方向を指すような 線。定流では水の運動経路である流跡線と一致するが、不定流では一致しない。

単位時間に通過する体積(流量)を通水断面積で割った値。

非圧縮性で粘性のない完全流体の定流の全水頭は、各流線に沿って一定であるという 定理。しかし実際のパイプラインや開水路では流れに沿って粘性や乱れのために損失水 頭が生じるので、ある区間の上流側断面の全水頭は下流側断面の全水頭に区間の損失水 頭を加えたものに等しくなる。

大きい水槽の側面のオリフィスからの自由流出にベルヌーイの定理を応用すれば、水 槽水面からオリフィスの中心までの鉛直距離をH、重力加速度をgとし、損失水頭を無 視できるものとして、流速はv=2gHとなる。これは鉛直距離Hを自由落下した物体 の速度に等しい。

流れにおいて流体摩擦抵抗や形状抵抗などのために失われるエネルギ損失を水頭で表 したもの。

流れにおいて水の粘性や運動の乱れのために相隣る水分子の間に起こる摩擦。

開水路の流れについて水路底を基準面と考えたときの単位重量の水の全エネルギ。

E = v2 / 2g + z + p / w

開水路の流れにおいて流量を一定とするとき、比エネルギを最小にさせる水深。ある いは比エネルギを一定とするとき、流量を最大にさせる水深。これより大きい水深の流 れは常流、小さい水深の流れは射流である。

開水路で等流の場合において水深が限界水深の時の勾配で、これより勾配が緩やかで あれば常流、急であれば射流である。

水槽の底または側壁に設けた穴で、その全面から水が流出するもの。

下流の流れの状態に支配されない流出。水門から射流として流出する場合や、パイプ ラインから大気中に流出する場合などがその例である。

パイプラインの一点にガラス管を立てると水はその点の圧力水頭に相当する高さまで 上昇する。パイプラインに沿ってこの水面を連ねた線を圧力水頭線(動水勾配線)とい い、その勾配を動水勾配という。開水路では水面勾配に当たる。

流れの方向に直角な横断面またはその面積。

パイプライン、開水路の通水断面において水と接している周辺の長さ。

パイプライン、開水路の流れにおいて通水断面を潤辺で割った値。

液体をその液面の高さより高い所へ一度持ち上げた後、低い所へ移すための逆U字 形の管。その管の特徴は、管内の水圧が大気圧より小さくなることであるが、最低水圧 でも絶対圧は0より大きい。

パイプライン、開水路の平均流速公式において壁面の流水抵抗を表示する係数で、一 般にnを用いて表す。壁面の凹凸の程度を粗度と言うが、粗度係数nの値は粗度のみで 決定されず流れの状態によっても変わるので、水路の状態に応じて経験的な数値が決め られている。

開水路の不等流の計算の際、常流では下流端、射流では上流端が境界条件となる。途 中で常流から射流に変わる場合には、その断面で限界流速・限界水深が生じ流量が規定 され、上流側の常流と下流側の射流に対する共通の境界条件となる。このような断面の ことを流況を支配するという意味で支配断面という。

常流の流れは途中で堰があると上流の水面が堰上げられ(堰上げ背水)、また下流に 落差工があるとその位置で水面が低下しその影響で上流の水面も低下する(低下背水)。 このような下流の流れの状態が上流に影響する現象。

流れが射流から常流に移り変わるときに、表面に渦を発生しながら急激に水深が増加 する現象。

跳水において、水深h1の射流が水深h2の常流に移り変わるとき、h1とh2を互いに 共役水深という。

流れの中に一点(x,,z)を考え、その流速の成分をu,,wとすれば、流れの運動 が渦を伴わない場合、u = dφ/d x , v = dφ/d y , w = dφ/d zとなる。このφ(x,y,z) を速度ポテンシャルという。

流れの中に局部的な真空状態が発生する現象。

流れに関する無次元量。長さh、流速v、重力加速度gと置くときのFr = v /gh をいう。開水路の 流れにおいてhを水理学的水深(h= 通水断面 / 水面幅)とすれば、 Fr <1のときは 常流、Fr >1のときは射流である。

  粘性に関する無次元量。長さl、流速v、動粘性係数νとおく時の e = v・l/ ν をいう。パイプラインではlに管径(D)を取り、層流と乱流の限界レイノルズ数は2000

 程度で、開水路ではlに径深(R)を取り、限界レイノルズ数は500程度で、共にこれ より小さいときは層流、大きいときは乱流である。


土壌物理・土質力学

 SOIL MECHANICS

骨材・土などの粒状体は、一般に大小の径の粒子が混在しており、この粒子の粒径分 布状況を粒度といい、粒度を示すために粒度試験を行い、結果を図示したものを言う。 土の場合の粒度を示す曲線は、横軸に粒径を対数目盛で取り、縦軸には通過百分率を取 ってプロットしたもので粒径加積曲線とも言う。

含水量の変化によって、土は流動性や硬軟の状態が変わり、また土の変形に対する抵 抗に大小があるが、この程度を表す言葉。

非常に含水比の多い粘性土は含水量の減少に従って、液体 ~塑性体 ~半固体 ~固体 へと土の状態が変化するが、この変化する境界の各含水比の総称。

液性から塑性状態の境界の含水比。

塑性から半固体状態の境界の含水比。

半固体から固体になる時の含水比で、この値以下に減少しても土の体積が減少しなく なる限界の含水比のこと。

粘性土が塑性を表す範囲の含水比を定量的に示した指数。I p=液性限界WL−塑性 限界Wp

液性限界(WL)と塑性限界(Wp)を基準として現在の含水比(W)の状態における 細粒土の流動性の程度を表す指数。I L =(WWp)/( WLWp, I Lが0に近い ほど硬く、1に近づくほど軟らかい。

現在の含水比(W)の状態における相対的な硬さを表す指数。Ic=(WL W)/I p

土に含まれる水分の質量(mw)をその土の炉乾燥質量(ms)で割り、百分率で表し た値。w=mw/ms*100(%)

土の間隙中で、液体(水)が占める体積Vwに対し、液体と気体(空気)の占める全 間隙の体積Vvとの比を百分率で表したもの。

粘着性のない砂質土の締まりの程度を示す指数で、Drで表す。e:与えられた状態 の砂の間隙比、emax:最も緩い状態の砂の間隙比、emin:最も密な状態の砂の間隙比、 Dr=( max −e)/( max −emin )。Drが1に近いほど密であり、0に近いほ ど緩い状態にある。

土中に全水頭に差があると重力水が流れるが、この水頭の等しい点を結んだ線を等ポ テンシャル線、この線に直行して流れる水の経路を流線といい、ポテンシャル線と流線 がほぼ正方形になるように描かれた図形を言う。

土中を水が浸透するとき、浸透水が土粒子に加える力。

浸透水の浸透力により土粒子を移動させて、地盤内に水孔を作る作用。堤防などでは 下流側付近に起こり逐次上流を侵食し洗掘する。

飽和砂に上向きの浸透力が急に作用し、砂粒子の重量より大きな圧力となり、粒子間 の有効応力が0になると、砂粒子は上昇水流中に浮遊して液状化の状態になること。こ のときの動水勾配を限界動水勾配という。

飽和している砂質土に急に振動や水圧が作用した時、土粒子間の有効応力が0になっ て、せん断抵抗を失い液体状になる現象。

軟弱地盤などで根切り工事をした場合に、土かぶり圧の減少、被圧地下水による浸透 力による押し上げ、下層土のせん断破壊による回り込み等によって根切り底面の土が膨 れ上がること。

水で飽和した土にある時間連続的に圧縮加重を加えると過剰水圧が生じ、これによっ て土中の水が排出されてその量だけ土が圧縮される現象。

土に外力が作用すると釣り合う応力が生じる。せん断を生じるような力に対抗して土 の内部に生じるせん断応力がある限界値に達すると大きなずれを伴う変形を生じる。こ の現象をせん断破壊といい、この時のせん断応力をいう。

土がせん断変形などの形状変化をしたときに、体積変化する現象。緩い砂質土や正規 圧密粘土では体積が減少する(負のダイレンタンシー)。密な砂質土や過圧密粘土では 体積が増加する(正のダイレンタンシー)。

締め固めエネルギーを一定にした場合、その土が最大の密度に締め固まるある一定の 含水比。その時の乾燥密度を最大乾燥密度という。

土中の空気間隙が全くないと仮定した場合(飽和時)の土の乾燥密度と含水比の関係 を示す曲線で、締め固め曲線に併記することが多い。

水文 HYDROLOGY


対象とする流域全体に降る雨量の平均値。雨量計で観測されるのはその地点に降った 雨量(地点雨量)で、対象地域全体に降る雨量を面積雨量という。流出でよく扱うのは 面積雨量であるが、これは直接測定することができないので、地点雨量を加重平均する ことによって算定する。

雨の強さ。ある時間内の雨量をその時間で割った値をその時間の(平均)降雨強度と 呼び、時間の長短に関わらずmm/hの単位で表現することが多い。

水がその表面で水蒸気に変わる現象を蒸発、植物体を通してのそれを蒸散という。水、 土、植物などが混在する地域からの蒸発を厳密に区別して扱うことは難しいので、すべ てを合わせたものを蒸発散と定義し、一括して扱う方法が採られる。

蒸発面と大気中の水蒸気圧が等しいときの蒸発量。平衡蒸発量は蒸発散位の下限値と 考えられる。

土中にしみ込みうる(雨)水の最大強度。表面近くの土壌水分の分布に左右される。・損失雨量 rainfall loss

降雨の中で直接流出にならなかった雨量で、遮断量、土中浸透量、窪地貯留量の合計 値とみられ、本来は流域の雨水保留量と呼ばれるべきもの。

降水または融雪によって河道に流出する水量。流量または降水量の単位で表現され、 後者を特に流出高と呼ぶこともある。

流域単位面積当たりの流量で、通常1km2当たりのm3・s−1単位で示す。対象流域 で流量観測地を欠く場合、類似性格の河川の比流量に基づいて、最大流量の概略値を推 定することができる。

水位、流量、流速、流砂量など水に関する諸量の時間経過を表現する図。流量ハイド ログラフの極大値をピーク流量という。

降水のうち、地表面を直接流下して河道に達する水。大・中出水時のピーク付近の流 量の主要部分を占めると考えられている。

降水のうち、表層部に浸入した後、地表面近くの良透水層を流下し、あるいは浸入点 より下流側で地表に出て河道に達する水。中・小出水時のピーク付近の流 量の主要部 分になっているものと考えられている。中間流出をごく地表面付近を流下する速い中間 流出と、地層境界や断層面に沿って流出する遅い中間流出に区分することもある。

地表面よりかなり深い良透水層や帯水層を流下して河道に達する水。干天が続く場合 の河川水を構成する。亀裂や腐朽根に沿って流出する水を速い地下水流出(または遅い 中間流出)ということもある。

洪水流出解析の対象となる流出で、表面流出と速い中間流出の和に相当するもの。全 流出量から基底流出を差し引いたものとも見られる。

降水の出水直前の流出成分。直接流出以外の流出水に対する総称で、多くの場合は地 下水流出に遅い中間流出が加わったもの。場所によっては湧水や湖沼からの流出水も含 まれる。

ある期間内における流出量と降水量との比率。

流量のハイドログラフのピーク流量発生時点以降降水がなく、流域貯留量の漸減に伴 い流量が単調に減少していく部分。

流域の力学的最遠地点に降った雨水の擾乱が流域の最下流端に伝播する時間。従って、 流域の表層条件・流路密度などの流域特性や降雨特性によって左右され、流域固有の値 ではない。

地層水のうち自由水面を持つ地下水。不圧地下水は陸地に広く分布し、地質的には沖 積層、洪積層はもとより中・古生層、火成岩などの岩石の割れ目や風化地帯に広く存在 する。また一般の井戸として多く利用されている。

帯水層の上下に不透水層を持ち加圧されている地下水。被圧地下水は深井戸によって、 農業・工業・上水道その他にも利用される。

上下を不透水層で挟まれた透水層が河川などの流水と交わったとき、透水層内に生じ る流水を言う。一般には河床下の地下水を言うが、正しい意味の伏流水は被圧地下水の 一部にあたる。

水で飽和されている透水層。




1年のうち355日はこれを超える水位(流量)。

1年のうち275日はこれを超える水位(流量)。

1年のうちこれより低い日数と高い日数が等しい水位(流量)。または1年のうち185 日はこれを超える水位(流量)。平水位は年平均水位と必ずしも一致せず、一般にそれ より少し低い水位。

1年のうちその水位になる日数が最も多いもので、普通、平水位よりいくらか下位に 当たる。

毎年1〜2回起こる程度の出水時の水位(流量)。

数年に1回起こる洪水時の水位(流量)。

1年のうち95日はこれを超える水位(流量)。