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この日は呼和浩特から河套潅区内の臨河という街まで300km以上の道のりをバスを使っての移動であった。高速道路を使い、まずは包頭まで向かった。道路から見える周りの景色は緑も多く,右手(北側)に見える陰山山脈の山々にも鮮やかな緑が見られた。遠くから見るそれは,山肌一面に芝生が植えられているというような風景であった。だが,山麓部分の谷線と交差する土地には砂が堆積し,扇状地のような地形を形成していた。これは秋から冬にかけての風雨の影響によって作られたものだという。このことを聞き自然条件の厳しさを感じた。一方,左手側(南側)は平野と表現してもいいだろう。広大な畑が存在しており,ネギ・スイカ・トウモロコシそしてひまわりが栽培されているのが見られた。また,畑地と畑地の間にはいくつか集落が見られ,周辺では羊の飼育が行われていた。標識や合流の仕方が日本のそれと変わらない高速道路を猛スピードで飛ばし、昼ごろに包頭に着いた。 包頭で昼食を摂った後は市内を少し散策することになった。歩道を歩いていると,街路樹にスプリンクラーを用いて潅漑されているのが見られた。また,広大な敷地に色とりどりの花々が植えられた公園が設けられており、街の中心部はきれいに整備されていると感じた。しかし,ただ広いだけに人間の割合が少ないように思われた。 包頭を後にして臨河を目指す。ここから道路の状況が悪くなり,激しい揺れの中,最高の技術を持った運転手さんによる素晴らしいドライブが始まった。市街地を抜けるとすぐに農村風景へ戻り,道路の北側は草地,南側は農地に比較的はっきりと分れていた。周りの景色はどんどんと乾燥帯に近づくように変化していった。山の緑は徐々に減り岩肌らしき姿になり、背丈ほどあった草の丈は低くなっていく。左側(南側)の農地も所々は耕作がなされているが,作物の植えていない土地では羊やヤギが放牧されていた。また,車窓からはよくわからなかったが,左側のずっと先には黄河が流れており、私たちはその流域の農地の中を通っていたのだ。さらに西へ進むに連れて,農地の合間には地表面に集積されたと思われる塩類が見られ、この地域の問題点の現状を目にすることができた。 河套潅区内に入ると,見違えるように整備された農場が現れた。農地は樹木で区切られ、また用水路も頻繁に見られ,保全のために,用水路の両側には植林が施されてあった。農地の合間には砂が動かぬように防風林が植えられていた。道路に平行して排水路も見られたが,水はほとんどなかった。また,この辺りの家畜は,放牧とは違う状態での牧畜を行っている様に見られた。潅区内を進むに連れて,用水路・排水路共に,小さいものから大きなものまで施されているのを見ることができ、この景観はすべて人の手によって創られ,さらにほとんど全てが人力のみで創られたことに,人間の生活を営むための"力強さ"を垣間見たように思える。 この日は移動のみであったが,バスの窓から見る景色だけでも半乾燥帯から乾燥帯への気候の移り変わりや、この地域で農業を行なうことによる問題点を視覚的に感じ取れた。そしてあまりにも水を目にしなかったため、水のある風景を見て,物理的に大切なのはもちろんだが,精神的にもとても重要な働きをしており、かつ非常に大切なものであることを強く感じた。 |
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