2.河套灌区の灌漑と排水

   河套灌区の全体的整備は,1985年に決定された「黄河内蒙古河套灌区水利規画」に基づいて着実に進められている.

(1)三盛公枢組
 バイノール盟トウコウに1961年全長326mの三盛公枢組が完成された.三盛公枢組は,黄河に設置した分水堰,北岸への総幹線用水路取水工と水力発電設備,南岸幹線水路への取水工,第1幹線水路への取水工,取水用堤防等よりなる.河套灌区の主要部へは,全長230kmの北岸総幹線用水路へ取水し,総幹線用水路から12本の幹線用水路で灌区全域に配水される.本流分水堰の長さは325.9m,底高は1049.5m,設計流量7200m3/Sである.北岸総幹線用水路の水門は長さ105.4m,水門底高1051.1mである.常時水位1055mの黄河水を通常565m3/S取水し,高水時620m3/Sである.
(2)用水路系統
 用水路系統は,7レベルに区分され,総干渠1,干渠13,分干渠47,支渠300,闘渠1056,農渠2575,毛渠16000余となっている.総干渠は灌区南縁を長さ229km走っている.設計流量565m3/S,可能灌漑面積71万haであるが,現在の通水能力450-510m3/Sで48万haを灌漑している.干渠は13本,一干渠が三盛公枢組上流から取水しているほかすべて総干渠から取水している.用水路整備率は1983年の整備水準規格と比較し,末端にいたるほど低い.計画水路本数に比較し全体では,18.2%の進捗率である.なお,用水路系の全灌区における送水効率は43%と推定されているので,末端圃場への灌漑水量は約450mm/yearとなる.
(3)排水路系統
 排水路系統も,用水路と同じく7レベルに区分され,総干溝1,干溝12,分干溝49,支溝183,闘溝566,農溝1553,毛溝9200となっている.総干溝は北部狼山より烏梁素海まで灌区北縁を長さ204km走っている.烏梁素海へは,揚水機場を経て排水される.さらに烏梁素海南端から水門を経て黄河まで24kmの排水路が掘削されている.原則自然流下方式であるが,地形が平坦で排水効率が悪い地点に限って排水ポンプを設置している.烏梁素海への排水ポンプ場への設計流量55m3/S,最大排水流量100m3/Sである.総排干溝の年間平均排水量は,5.0億m3,黄河への年間平均排水量は3.0億m3前後である.
 排水路整備率は1983年の整備水準規格と比較し,末端にいたるほど低く,用水路よりもさらに低い.全体の水路本数は計画と比較し,12.6%の進捗率に留まっている.
 

 
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