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大西 健夫
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半乾燥・乾燥の世界は初めてだった.温暖湿潤な日本の気候とは正反対な気候の中では,自然に対する人間の働きかけ方が全く異なると感じた.日本の場合,自然は豊かなもので,その豊かな自然の旺盛な生命力を人間が"切りおとしていく"という感じなのに,中国内蒙古で見た半乾燥・乾燥地域では,単純ではあるが同じように旺盛な自然の生命力を最大限活かし,人間がそれらを"積み上げていく"という感じだった.黄河からの水は,長さ180mの頭首工から取水され,広大な面積の農地を潤している.幹線用水,支線用水,末端用水といくつかの階層に用水路は分かれているが,それらの用水路の両岸には,主として護岸のために柳やポプラのような樹木が延々と植えられている.そして,さまざまな作物が作られている.これらは全て人間の力(主としてここでは黄河からの潅漑であるが)によって活かされた'自然'であり,人間の力のすごさというのを実感した.一口に半乾燥・乾燥地域といっても地域により異なった様相を呈していることを想像すると,他の地域についても知りたいと思うようになった.
また,中国内蒙古農牧学院の学生と行動を共にしたことは今回の研修旅行でのもう1つの大きな収穫だったと思う.1週間の研修旅行期間中はバスでの移動時間が長かったが,それだけに移動中に多くのことを話すことができた.それも,農牧学院の学生が,みんな日本語あるいは英語が非常に上手だったということがコミュニケーションを可能にしたのだと思う.特に,大学院修士課程3年生の白貴蓉(Bai Gui Rong)さんとは,流行,慣習の違い,将来のことなどいろいろ話した.白さんは,モンゴル人(内蒙古には,モンゴル系の人が多い)だ.モンゴルでは,羊や牛の乳から作った乳製品が非常に重要な食料で,白さんは,よりおいしい乳製品をつくるための乳酸菌の研究をしている.研究の動機が自分達の生活の中から自然な形ででてくるのは,うらやましいことであり,研究に対するパワーをもらった.白さんをはじめ農牧学院の皆さんありがとう!
日本からの参加者も含めてここで出会った人たちとは今回一回限りのつきあいではなく,今後も何らかの形で交流を続けていきたいと思っている.
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