竹下 伸一

 
   程ごとの詳しい内容は、参加した学生全員で分担し各自で報告してもらうことになっているので、ここでは個人的な感想を書こうと思う。
 回の中国内蒙古自治区・研修旅行のメインは3つあったように思う。内蒙古農牧学院の学生達との交流、河套灌区の各種灌漑施設の見学、そして中国内蒙古の観光である。
 蒙古農牧学院は、内蒙古だけでなく中国においても最も古い大学の一つで、農業経済、牧畜、水利工学など農業に関わるあらゆる分野が研究されている。学生達は農家出身の者が多く、経済的にも恵まれていないなか、それぞれが努力して大学へ通っているだけに勉強への並々ならぬ意欲を感じ取ることができた。また日本との関わりも深く、学生達は語学の授業で英語もしくは日本語を選択しているほどだ。したがって学生達の日本に対する興味は大きなものであった。研修旅行の最初のプログラムは彼らとの交流であった。学生達と実際に話をしながら、農牧学院の各種施設を見学した。私は英語は得意ではないし、ましてや中国語は全くしゃべれない。自分の語学力のなさをこのときほど感じたことはなかった。しかし、しゃべれないからとせっかくの交流の場を無駄に過ごす方法はない。しゃべれないなりに筆談とボディランゲージを駆使し、それぞれの専門分野のこと、学校のこと、学生生活のことなどを語り合うことができたことに満足している。日本側の学生達の多くは、農牧学院の学生の積極的な姿勢に終始圧倒され、受け身になっていた様子だ。しかし、こうした機会を得られたことで各自が、語学や専門分野に対する勉強への意欲を沸き立たせることができたようで、それが一番の収穫ではないかと思う。
 牧学院のあるフフホト市から約6時間をかけてバスで河套灌区へと移動した。比較的湿潤な東部から、徐々に乾燥地・半乾燥地の西部へと移動していく。バスから眺める風景の変化に皆目を奪われていた様子だ。河套灌区は黄河中流域に位置する120万fの大規模灌漑地域である。管理局で灌漑の概要を聞き、その後三盛公頭首工、鳥梁素海、総用水路、排水路、東北管理所、林業試験場を訪ねた。いろいろと見学をしてみて塩害問題が確かに存在すること。その対策が十分にとられているのかが、説明のなかからいまいちつかめなかったこと。リーチングした排水を全て末端の鳥梁素海へと流し、黄河にそのままの状態で戻していることなどが気になった。また末端の圃場レベルでの水利システムが不明瞭であるのも気がかりな点として残った。ただ広大な灌漑地域全体で、効率の良いコンクリートなどを使用するわけには行かない経済事情などを痛感した。こういった地域で活かされる技術の開発こそ、われわれが研究して行かなくてはいけないことなのではないだろうか。
 動のバスのなかでゆったりと流れる景色を眺め、内モンゴルの大草原、鳥蘭布和砂漠、黄河などを実際に肌で感じ、面積115.6万km、人口2,200万人の住む内蒙古の自然と人間の営みを見てきた。今回はじめて海外へ赴いた私には、何もかもが新鮮で、驚きに満ちたものであった。そしてどんなところにでも住んでしまう人間のすごさを感じた。
 の研究対象地域は、乾燥地・半乾燥地だ。しかし、わたしは研究対象地域はおろか、乾燥地・半乾燥地というものを目にしたことがなかった。しかし、今回の研修旅行を通じてわずかながらも、その実態を目で見て、体で感じることができたのが私にとっての最大の収穫である。
 のような機会を作っていただいた方々に、厚くお礼を申し上げたい。また、道中おこる様々なハプニングにもかかわらず、最後まで無事旅を終了することができるよう取りはからっていただいた佐藤先生、中村先生、冀さん、陳さんそれに内蒙古農牧学院の先生方に感謝したい。

 
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