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今回の中国研修旅行に参加したことで、私は、とても貴重な財産を得ることができた。特に印象に残ったものを3つ挙げてみたい。 1つ目は、沙(砂)漠に行ったことだ。私は沙漠の緑化の研究について関心があり、研究を始める前に、自分の体で砂漠を体験したかったからである。実際に砂漠に立ってみると、地平線の先まで続く大きな砂浜にいるのではないかと、錯覚に陥ったほど砂浜に似ていた。目を凝らして足元を見ると、小動物の足跡や、蛇が移動したとみられる跡を見ることができた。このような殺伐とした環境の中に必至に生きる生物の強さを感じることができた。また、塩害を見ることができた。よく見ると、その表面だけ、パリパリとわれていて白っぽくなっており、その塩をつまんで舐めてみると確かに塩辛かった。それから、私たちと共に付き添ってくれた王が拾った小さな貝を2つほど分けてもらった。彼女の説明によると、この砂漠は、かつては海だったそうだ。彼女に分けてもらった貝は、ケースの中に大切に保管してある。 2つ目は、草原に行ったことである。景色は素晴らしく、見渡す限り草原であった。馬やラクダに乗れたことも良かったが、さらに素晴らしかったのが夜の星空であった。視力が両眼で0.2の私でもはっきりと見ることができ、星の数も青森の夜空とは比べものにならないくらいの星の数だった。また、流星を見ることができた。あまりにも一瞬なので、あれでは願い事など思い出す暇もないくらいだ。あの星空を、不登校の生徒や、生きることに自信を失っている人たちに見せてあげたい。きっと心の中のもやもやしたものが消え、生きるエネルギーを与えてくれるのではないか。 3つ目は内モンゴル農牧学院の学生と共に時間をすごせたことだ。彼らは心から私達を歓迎してくれた。特に仲良くなったのが、モンゴル族出身のグルド、金山、白貴蓉、アーチャン、楊志彪、それから漢族出身の王萠萍の6人である。モンゴル族出身の彼らは、日本語を勉強しており、読みと書き、会話がとても巧く非常に驚いた。彼らの話によると、モンゴル語と日本語の文法が非常に似ているために理解しやすいのだそうだ。またモンゴル族の習慣や文化、言語を教えてもらい、通訳にも協力してくれた。さらに驚いたのが、彼らは酒に強いということだ。彼らと夕食を共に食べているときに、アルコール度45%の酒を金山、グルド、楊志彪は水のようにのみ、空になったコップを見せて「利根川も飲め」と言い、ためらっていると、白貴蓉は私に「郷に入ったら郷に従え」とわざわざ日本のことわざを用いて私にきつい酒を飲ませた。彼らは実家に帰ると冬の寒さに耐えられるように60%以上の酒を飲むのだそうだ。もはや、私の限界を超えた世界である。 また、王萠萍は英語を勉強しており、ノリはほとんどネイティブスピーカーと変わらなかった。移動中のバスの中で私は彼女のとなりに座ったために、英語で会話をせざるおえなくなった。最初は緊張して耳が慣れずに聞き取ることができなかったが、時間がたつにつれて、彼女の英語についていけるようになり、自分の意見も英語で話せるようになり会話が成立するようになってきた。そして彼女と共にデパートに行った際には、私は、彼女の話す内容の8〜9割を理解できるようになり、また私が話した意見やジョークも、ほとんど通じるようになった。まさか中国に行ってこんなに英語を話せるようになるとは思わなかった。そこで文部省に忠告したいのだが、彼らは、日本や、英語圏の国へ行ったことがないのに、これだけの会話をする力をつけている。日本は、今の英語教育では世界に取り残される。改善を急ぐべきではないのだろうか。 最後に、こんなに素晴らしい旅行ができたのも、佐藤先生、中村先生、陳さん、冀さん、農業土木学会のみなさん、内モンゴル農牧学院のみなさんのおかげです。多謝! |
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