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ナッシュ・カスタム製作レポート
この度、ナッシュ・カスタムを製作するにあたり、まず初めに申し上げたいのは、こういった本格的なカスタムを製作するのは、今回が全くの初めてであります。カスタムの技術も無ければ、専門の道具もございません。図面や正確なスケール等もございませんでしたが、ちょっとした技術や勇気により見事成功致しました。
その成功までの過程や、苦労等をまとめましたので、これからカスタムを専門の業者に頼もうと思っている方や、愛銃をさらに愛着ある物にしたいと思っている方は、ぜひこれを読んで、「自分の手」でカスタムに挑戦してみようと思っていただけるきっかけになれば幸いです。
<使用した道具の紹介>
- 金ノコギリ
- 釘ヤスリ一式
- セラミックヤスリ
- 耐水サンドペーパー #800
- 卓上万力
- 彫刻刀
<用意する物>
- ベース・ガン WA製コルト・ガバメント
(私は"WA/シブヤ・カスタムワークス"製作の限定銃「Wilson Custom LTDモデル」を使用)
- I.M.F.製ナッシュ・コンプ(Club−Michilleより購入)
- WAガバメント用純正カスタムパーツ コマンダー用カラードプラグ<シルバー>
- WAガバメント用純正カスタムパーツ ロング・リコイルスプリングガイド
- エポキシ系接着剤(コニシボンドの2液混合型「QUICK」を使用)
- ガバメント用ラバーグリップ(Club−Michilleより購入)
<製作過程>
- まず、ベースになる銃のスライドを、約3センチカットした。
カットする部分に、紙を巻いて正確な線を鉛筆でつけてから、線より2ミリほど前を、金ノコギリで切った。
- 切った時の曲がりを修正しながら、線の部分まで平らになるように釘ヤスリで削った。
このとき、一気に削らず、ちょっとずつ削り具合を見ながら気をつけて削る。線を越えてしまったり、予想に反して斜めになったりしてしまうからだ。
- 線まで正確に削れたら、今度はセラミックヤスリでザラザラ感が無くなるまで軽く削った。
大体削れたと思ったら、次は耐水サンドペーパーに水をつけ、つるつるになるまで削る。このときも削り過ぎと傾きに注意しながら削る必要がある。
- 削り終わったら、スライドについた削りかすをきれいに取り除いた。
細かい部分に入り込み、ブローバック等に支障をきたしてしまうので、完全に取り除く必要がある。
- 次にバレルをカットした。WAガバの場合、インナーとアウターが独立しているが、今回のカスタムの場合、両方カットすることにした。
いったんスライドにバレル等を組み込み、組み立ててからカットする線を決めた。アウターはスライド先端より約1センチ長めに、インナーはスライド先端と同じ位のところに油性マジックで線をつけた。バレルカット時には、アウターとインナーを別々にしてから、それぞれを卓上用万力でしっかりと固定して金ノコギリで切ると、正確に切ることが出来た。切るときは、スライド・カットと同様、約1ミリの余裕を見て切った。
- 切り口をスライドと同じ容量で削っていった。インナーの中に鉄粉が入らないように、少し削ったら鉄粉を取り除き、また削るという作業を繰り返した。
又、インナーの切り口の内側に出たバリをセラミックヤスリで取り除いた。
- インナーとアウターの間には、少し隙間があり、インナーバレルにはその隙間によるインナーバレルのぐらつきをなくすドーナツ型のプラスチック製のリングがついていたが、バレルカットしてしまうと、そのリングはカットした部分と一緒に取れてしまうため、カット後に取り外し、少しリングの内側を削って内輪を広げ、使用するカットバレルの先端にエポキシ系接着剤で取りつけ、その後アウターバレルを取りつけた。
- スライドのリコイルスプリングプラグ取りつけ穴に、コマンダー用のカラードプラグを取りつけた。
このとき、カラードプラグが少し窮屈で、強く押し込むと取りつけ穴がほんの少しだけ広がり、スライドを引くとフレーム部内側とこすれてしまうので、プラグの穴の内側をヤスリで、又は外側の出っ張りの部分をカッターか彫刻刀で削ると良い。(図1を参照)
- バレル、リコイル・スプリング類(ナッシュ・コンプに同封されているリコイルスプリングガイドはモデルガン用なので、カラードプラグ同様あらかじめWA製の"ロング・リコイルスプリングガイド"を用意しておく。)を全て組み込み、アウターバレルの緩みなどが無いかをチェックした。
コンプを着けるともう取り外しが出来ないと思わなければならないからだ。又、リコイル・スプリングは約2センチ短くしなければならない。組み込んだ後、銃を組み立て、作動チェックをした。問題が無かったのでコンプ取り付けに移った。
- ナッシュ・コンプの箱に同封されているテーパード・アウターバレルは、そのままではスライドとこすれて窮屈なので、外側の部分を削る必要があった。
釘ヤスリで少し削り、その後セラミックヤスリ、サンドペーパーをかけて表面を滑らかにした。(図2を参照)
図2:赤い部分を削った。
- ナッシュ・コンプのマニュアルに「エポキシ系の接着剤で固定」と書いてあったので、コニシボンドの2液混合型「QUICK」という強力接着剤を使用した。
接着剤をアウターバレル表面と、コンプのテーパード・アウターバレル内側に割り箸で薄く塗り、銃にスライドストップをかけ、バレルに装着した。この接着剤は非常に乾くのが早く、とても強力なので、すぐに調整する必要があった。スライドを戻し、コンプとスライドの隙間や位置を調整したら、再びスライドストップをかけて乾かした。
- 約半日乾かし、完全接着し終わった後、Rサイトと、可変ホップの調整をした後、続いてグリップの交換をした。
ラバーグリップはそのままでは着けられなかったので、アンビ・セイフティの部分の窪みと、マガジンウェルのアーム部分の窪みを、彫刻刀を使って削り取りつけた。
<苦労した点>
- スライドカット後に、ヤスリで微調整をするのがなかなか上手くいかず、最後の手段として、包丁用の研磨石を使って平らにした。
- テーパード・アウターバレルとスライドとの相性がなかなか合わず、削って調節するのにだいぶ時間がかかった。
- グリップを削るとき、ラバー製なので彫刻刀の刃がはじかれてしまい、なかなか削れなかった。また、下のスクリューの穴がほんの少し広いため、取りつけた後ぐらつきが生じたので、針金をリング状にしてスクリューの穴に入れてとめたら解決した。また、グリップ自体少しゆがんでいるため、どうしても多少の隙間が生じてしまった。
- ホップ調整後発射したら、かなり飛距離が落ちてしまっていたのには焦った。バレルが短くなったせいなのかと思い、Club−Michilleに相談したところ、「バレル切り口にまだ多少の引っ掛かりがあるのでは?」というお答えのため、早速もう一度バレル切り口の部分にサンドペーパーを巻いたWA製のバレルクリーニング・スティックで磨いてみたら、見事復活した。
- ナッシュ・コンプのフロントサイトは異様に大きいため、ボーマーのRサイトをだいぶUPさせてみたが、それでも足りなかった。結局狙いをつけるときは、Fサイトが星門から覗いたとき、少し出っ張る感じに狙いをつけたら何とかヒットした。左右の微調整も行った。
<その他>
- アウターバレルがインナーと独立していて、多少前後にぐらつくということを忘れてしまい、きっちり取りつけたつもりがそのぐらつきのせいで、コンプとスライドの間に約0.9ミリ前後の隙間が出来てしまった。
これは手で戻してあげれば隙間は消えるが、スライドがコンプに当たると、その衝撃でコンプが0.9ミリほど前進して隙間が出来てしまう。
でもこれは構造上仕方ないと思って、気にしないことにした。「美的」よりも、いまここにコンプがあると言うことだけで嬉しいからだ。
- また、バレルのカットにより遠くの命中精度は以前と比べてだいぶ落ちてしまった。グルーピングは恐らく、カット前より約4・5センチは誤差が出たと思う。
- ナッシュ・コンプは金属製なので、今までよりも銃本体の重量が増した。しかし、コンプのおかげでマグナの反動が少し軽減されたと思う。
- スライドを引くと、コンプ自体も多少後退するため、ロング・リコイルスプリングガイドが、ガイドホールから多少飛び出してしまうが、これもあまり気にならないと思う。通常時は問題無くホールに収まっている。
<最後に>
今回のカスタムは、一見難しそうにも思えますが、実は素人でも市販の道具だけで十分にカスタムが可能であるという事実を証明することが出来ました。
もちろん、もっと複雑なカスタムの場合を除きますが、この程度のカスタムなら、問題ありません。カスタムを自分でなし得た後の愛着感は、今までとは比べ物になりません。もう一生肌身はなしたくないという気持ちにさえさせてくれます。
カスタムを専門業者に頼み、高いお金を払う必要はありません。トイガンをたしなんでいる方なら十分にカスタムが出来ます。今回その証明が出来たと思っています。
これからカスタムを頼もうと思っている方、もう一度考えてみてください。きっと自分でも出来る程度の物があると思います。
今の銃に愛着が薄れた方、ほんの少しのカスタムでも、愛着は全く変わってきます。失敗を恐れず、逆に失敗を転機にして、自由なカスタムを皆さんも楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと素晴らしい物が出来あがるはずです。もちろん、そのためのお買い物は「Club−Michille」で!
<おまけ>
- カスタム前の原型ウィルソンです。
マガジンキャッチとトリガーは、普通のWAガバのものを取りつけました。
シルバーフレームと黒いキャッチとトリガーがなんとなくマッチしている感じです。
このマガジンについているマグ・バンパーは、Club−Michille掲示板にいらっしゃる皆様から薦められて作ったオリジナルのバンパーです。
ボール紙を何層にも重ね、黒の布テープでコーティングし、強力両面テープで取りつけました。
「ナッシュ・カスタム」製作レポート 完
文責:アクセル
mail to:harleking.inaba@nifty.ne.jp