2011年9月8日〜9月10日
上高地から槍ヶ岳。
上高地バスターミナル - 明神 - 徳沢 - 横尾 - 槍沢ロッヂ - 天狗原分岐 - 槍ヶ岳山荘 - 槍ヶ岳山頂
下りは同じコースを戻る。

出発は7日の深夜。名古屋駅から夜行バスに乗って松本へ。
平日のためか乗客は8人しかおらず、バスも大型じゃなくて寸詰まりのやつ。
揺れるのでなかなか寝付けない。松本まで4時間半くらいしか無いため「うとうとした」という感じでしかない。
5:00頃
松本駅到着。
名古屋ではTシャツ一枚だったが、さすが長野、寒い。長袖シャツを上に着こむ。
寝不足のはずだが、徹夜明け特有のけだるさは感じない。少しは寝られたようだ。ま、どうせ本格的な山道は二日目だし。

とりあえず朝食をとれる場所を探す。
駅前に24時間営業のマクドナルドと松屋があった。朝マックにする。
駅で上高地行き電車バス乗り継ぎの往復切符を買ってホームへ。

上高地線、新島々(しんしましま)行きの電車に乗る。この写真は着いたとこだけど。

新島々でバスに乗り換え。

8:20頃
上高地バスターミナル到着(上の地図では左下の端)。
この地点で標高1500メートル。この標高でこれだけの広さの平地というのは、日本では他に類を見ないとか何とか。
ちなみに鈴鹿山脈最高峰は1247メートル。それより高い。
売店が開いていたので、おやきを買ってエネルギー補給。朝食からすでに3時間経過しているのだ。

9:00
出発。天気は晴れ。朝の上高地を歩き出す。
箱根とか軽井沢とか蓼科みたいにごちゃごちゃと開発されておらず、風光明媚なだけが取り柄という印象。登山関係なく観光に来るだけでも楽しそう。
大正池からバスターミナル付近は歩きやすく舗装されている。でもトイレは有料、ゴミは自分で持ち帰る。観光地の気安さと山のルールが同居している。

有名な観光名所の河童橋。
平日の朝だからか、人は少ない。……と思ったのは後になってからのこと。
この時はこんなものだったけど、帰りにここを通った時(土曜の昼)には人が溢れかえっていた。

とりあえず河童橋の上から写真を撮る。
上高地の紹介でよく見かけるアングル。

梓川を左手に見ながら上流へと歩く。
バスターミナルから上高地最奥部の横尾まではおよそ11kmの距離。
真平らというわけではないが、時々ちょっとした起伏がある程度の砂利道。ハイキングコースといったところか。
バスターミナルを出発して道を行くと、おおよそ1時間おきに明神、徳沢、横尾といった集落がある。集落といっても山荘が数軒あるだけだけど。

梓川に合流する支流を橋の上から。

9:40
明神到着。トイレだけ済ませて先へ進む。


進むに連れ変わっていく景色に見とれながら歩く。これだけでも来た価値があった。
観光で上高地に来る人にも、歩いて見ることをお勧めしたい。徳沢まででもせいぜい往復3〜4時間である。



10:20
徳沢到着。
このへんで荷物を降ろして休憩したくなった。
ソフトクリームを食べているグループが居たので、釣られて買い求める。
ここまで長袖シャツを着ていたのだが、脱いでTシャツ一枚に戻る。ついでに日焼け止めを腕に塗る。油断をするとすぐ真っ赤に焼けるのだ。

さらに歩く。

11:30
横尾到着。
ここで昼食。カレーライスを食う。

横尾からこの橋を渡ると涸沢へ向かう道である。奥穂高、北穂高に行く人はこちら。

横尾山荘の前を通ってすぐ、この分岐を右に行くと蝶ヶ岳、左に行くと槍ヶ岳である。
というわけで左へ。
上高地はここまで。ここら先は登山道ということになる。
と言っても、もうしばらくはこれまでと似たような道が続くのだが。

じょじょに登山道っぽくなり、じょじょに勾配がきつくなり、息が上がってペースが落ちてくる。

沢を渡る橋の上から。川というより沢になってきた。

13:15
この日の宿、槍沢ロッヂに到着。

ロッヂのロビー奥から玄関方向を撮影。

ロッヂ2階の様子。


寝室。二段ベッド(?)の下の層。
枕1つが1人分のスペース。
槍沢ロッヂは団体でない限り予約不要。来た客は全て泊める(山小屋は基本的にそう)。だから客が多い日にはこの寝室が全て埋まる。
この日、幸いにも両隣は空きであった。

ロッヂの庭から木々の隙間の向こうに目的地が見える。
ここから約6kmとは思えないほど遠くに感じる。

ここは槍沢の水を引いており、豊富に水が使える。だから山小屋には珍しく風呂に入れる。
石鹸は使用禁止だが、お湯に浸かれるだけでずいぶん違う。
この日はこんなにいい天気だったのに、翌日の天気予報は雨。
進もうか帰ろうか悩む。
Webの天気予報は9時頃から晴れるという。80歳近い爺様(15歳から山に登っていたとか)は、ラジオによると1日中雨だという。
2日目。雨天。
5:30 からの朝食を済ませ、レインウェアを着て外に出る。
出るまで悩んでいたが、雨が上がることを信じて登ることにする。
結論。爺様が正しかった。最後まで雨。
この日、外の写真は無い。カメラは防水でないし、視界は100メートルくらいしか無いので。
天狗原分岐を越え、高度を上げていく。
気温は低い。濡れて体が冷える。
体を濡らすのはレインウェアの隙間から入り込む雨か、はたまたゴアテックスの限界を超えた汗か。
それでも体を動かしているうちは寒くない。長い休憩無しでも歩き続けられるペースはだいたい分かっている。
ジグザクに進む登山道を見上げると、ずっと上に先行パーティのレインウェアが見える。それより先は白く霞んで見えない。
あそこまで登るのにどれだけかかるのか。あそこまで登ってもまだ着かないのか。うんざりする。
うんざりしたので目の前だけを見た。
足、痛くない。体力、まだある。寒さ、まだ着込めるものを残してる。腹は減ってきたが、まだ食料は残ってる。
大丈夫、まだ余裕がある。生きて歩いてればそのうち着く。
そんなセルフチェックで自分を納得させて歩き続ける。
ある曲がり角で先行パーティに追いつきそうになった。
「ここを曲がればもう5分も無い」という声が聞こえる。
え、そうなの? 上を見ると、槍ヶ岳山荘の大きなシルエットが、いつのまにか。
13:00頃、だったか?
槍ヶ岳山荘、通称肩の小屋に到着。
いろいろ乾かしたいが、乾燥室はすでに満室。レインウェアと靴を乾燥室に持っていけたのは夕方のこと。
それでも一晩で乾かせるのは山小屋泊まりのありがたいとこ。テント泊じゃこうは行かない。
シャツは着たまま乾かすことにする。
談話室で昼飯にする。持ってきたのはドラッグストアで売っている棒状のケーキのようなクッキーのような食品。
槍ヶ岳山荘内部。槍沢ロッヂと似ているのは同じグループだからか。


3日目。雨は上がり、日が昇ると朝もやが晴れていく。
朝食後すぐ、気の早い連中はもう頂上を目指し出発している。渋滞する場所なので、少し出発を遅らせることにする。
6:00
荷物をいくらか置いて身を軽くし、朝もやの残る山荘を出発。

槍ヶ岳山荘全景。標高3000メートル以上の場所に建っているにしては大きい。

昨日はまったく見えなかった槍の穂先。
槍ヶ岳山荘から標高差100メートル。距離200メートル。往復1時間、らしい。
これ登るのかよ……。

……登るのかよ。

次に掴む岩、次に足を掛ける岩を、ここまで真剣に考えて登ったのは初めてだ。
上達すればもっと容易なルートを見つけられるのだろうか。
足場を考えながらも、頭の中で「三点保持」「石を落とさない」と繰り返す。
最後の梯子を登り切ると。


このたった8畳間くらいの広さの岩場が、周囲数km同じ高さに何もない、空に突き出した見晴台。

標高3180メートル。日本で5番目に高い場所。

ちょっと分かりにくいがブロッケン現象。これが見られるとは思わなかった。

頂上から見る槍ヶ岳山荘。

頂上に居られる時間は長くない。後からどんどん人が登ってきてしまう。
登りで苦労したんだから、当然降りも同じくらい苦労する道理。
半分くらい下ったあたりで後ろから「ラーーーク!」の声。全員振り返る。
誰かが石を落としたらしいが、幸いにもすぐ止まったようだ。

8:00ちょい前。
山荘に置いた荷物を回収して下山開始。
上高地バスターミナルまで22kmの距離を降る下山地獄。
最後に振り返り、この強烈な存在感を放つ山を撮っておく。
来るときこれが見えてたらもっと元気に歩けたかもね。
