○水田における水管理まつわる豆知識や基本的事項のメモ
- 水田での管理の基本
- 水田での管理の柱は,施肥と水管理.
- 水田の主な管理は以下の通り.
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- 水管理
- 水の役割:
- イネの生理作用(蒸散・光合成など)に必要な水分を供給する
- 水の持つ大きな保温力を利用して苗を低温から守る
- 畑地雑草の発生を抑える など
- 水田にたたえた水は,葉面からの蒸散のほか,田面からの蒸発,地下浸透・漏水などによって消費される.
- この水分消費は水深の減少量−減水深−で表される.
- よく茂ったイネ群落からの蒸発散量は,晴天日で1日4〜5mm(10a当たり4〜5トン)になる.
- 田植えから収穫までに雨水以外で灌漑に要する水の量(用水量)は,ふつう10a当たり1,200〜1,500トンといわれる.
- 灌漑水を多く必要とする時期は,田植え期およびその直後,穂ばらみ期から出穂期にかけて.
- とくに開花期の水不足は不稔もみの発生をおおくする.
- 移植直後の水管理:
- 移植直後の苗は,はじめ根が少ないので,活着するまでのあいだ,体内水分の損失を防ぐために,苗が水没しない範囲で深水とする必要がある.
- 活着後の水管理:
- 浅水のほうが生育が盛んになるので,1〜3cmの水深で管理する.
- 中干し:
- 土中に酸素をおくることによって還元化をおさえ,有害物質の生成を防いで根を健全にする目的で行う.
- 中干し後の水管理:
- 一般に,間断灌漑がおこなわれる.
- 湛水と落水を数日毎に繰り返す方法で,適度に酸素を供給し,根の力を落とさないようにするのが目的.途中の出穂・開花期に,花水とよばれる湛水がおこなわれるほかは,落水時まで間断灌漑をつづけるのが理想的.
- 落水:
- 登熟が進んで穂が傾きはじめるころからおこなう.
- 収穫作業に都合の良いように水田を乾かすのが目的である.
- 灌漑水の温度調節
- 本田初期が低温期に当たる地域や冷水田(20℃以下の低水温)では,地温が低いため根の発達や養分吸収が抑えられ,生育・収量が著しく低下する.
- 幼穂形成期から出穂期までの適正な温度環境は,気温は昼間30〜35℃,夜間25〜30℃,水温25℃以上が望ましい.
- 水温を高める方法:
- 水田に入れる前に水温を高める方法
- 貯水池の表面の温かい水を引いたり,水田の一部を使って温水池を設ける.
- 水口付近に回し水路をつくって水温を高める方法もある.
- 水田に入れてから水温を高める方法
- 水温が高くなりすぎると根の老化を早めるなどの影響があるので,盛夏には冷水をいれて地温を下げることもある.
- 関連書籍や情報源
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