脂肪細胞が炎症を起こすケース |
発 見 者 |
パトリスカニ(ベルギーの大学の栄養代謝学の教授)が、脂肪細胞が不健康になるメカニズムを発見した。
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し く み |
step1:腸内に住む「粘膜好き微生物」が減少
step2:リボ多糖(LPS)が血液中に入り込む
step3:脂肪細胞が炎症を起こして
step4:エネルギーが脂肪細胞に詰め込まれる
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step1 の説明:粘膜好き微生物「アッカーマンシア・ムシニフィラ」
(ムシニフィラ=粘膜好き)
粘膜好き微生物がびっしりと張り付いて層を作る。実は、この微生物が人の遺伝子に信号を送って粘液分泌を促し、できた粘液層に付着する。
こうして、人体の内部にリボ多糖(LPS)の侵入を防いでいる。
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step2 の説明:健康な人は、腸内細胞全体の4%が粘膜好き微生物で占められるが、BMI値が高い人ほど、この微生物が少なくなって層は薄くなる。肥満者に至ってはほぼゼロとなり、LPSが侵入して血液中に入る。
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step3 の説明:肥満者の血液中にリボ多糖(LPS)が入って濃度が高まると、脂肪細胞が炎症を起こして、脂肪細胞は分裂できない状態になる。
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step4 の説明:健康な人がエネルギーを貯蓄する場合は、脂肪細胞が活発に分裂して新しい脂肪細胞に蓄えるが、肥満者の場合は、脂肪細胞が分裂できず数少ない脂肪細胞に多量の脂肪を詰め込むはめになる。
ここには免疫細胞が多く集まっていて、まるで感染症と戦闘中のようだ。
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食事療法による治療 |
マ ウ ス 実 験 |
太ったマウスに「粘膜好き微生物」を加えたエサを与えると、健全細胞が増えて、体重が減る。レプチンの感受性も高まる。
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痩せたマウスに高脂肪なエサで太らせると、「粘膜好き微生物」は減ってくる。この太ったマウスに植物繊維を加えたエサを与えると、「粘膜好き微生物」は再び増えてくる。
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第4章で「粘膜好き微生物」のエサについて説明。
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