要約「10% HUMAN」


終章 21世紀の健康 (p295 - 312)

終章の主要ポイント

 - 個人としての姿勢
 - 抗生物質
 - 食生活
 - 出産と授乳
 - 10%Human



個人としての姿勢

基本姿勢
私たちの体は、共生微生物を含む共同体として機能するようプログラム化されている。さらに、自分がマイクロバイオータを整えて育て、世話をすることができる。赤ん坊のマイクロバイオータは、その親(特に母親)が決めているのだ、という自覚をもとう。
以下、きちんと考えて選択しよう


抗生物質への姿勢

抗生物質への姿勢
抗生物質は命を救う薬であり、多くの状況でリスクよりも利益がはるかに上回るが、不必要な使用は避けるべきである。 医者から抗生物質を出すと言われた時に質問してみるとよい
(1)この病気がウィルス性でなく細菌だという確率はどのくらいでしょうか? (2)抗生物質を使うと明らかに良くなる、回復スピードが上がると思われますか? (3)抗生物質を使わず、自分の免疫力だけでに任せた場合、どんなリスクがありますか?


食生活への姿勢

食生活への姿勢
もし植物繊維の摂取を増やそうと選択した場合、あせらずゆっくりと時間をかけて移行した方がよい。脂肪、タンパク質、単糖が中心の食生活に適応した細菌が多くいる腸内に、いきなり大量の植物繊維が入ってくると望ましくない作用が出ることもあるからである。もし胃腸障害のある場合は、食生活を変える前に医者に相談すること。
知っておこう
(1)野菜や豆類は繊維が多く、糖分は果物より少ない。 (2)果物はジュースにしたりブレンドすると繊維分が減る。 (3)果物は人体のカロリーとなり、エネルギーとして消費、あるいは脂肪として蓄積される。(果物の主成分である単糖は、人の酵素で簡単に分解されて小腸から全て吸収されるので、大腸まで届かずに、大腸の細菌のエサには貢献しない)


出産と授乳への姿勢

出産と授乳への姿勢
あらかじめ自覚して準備しておくこと。
まず、出産計画を立て、パートナー、医者、助産婦に伝えておくこと。 経膣出産がベスト、やむを得ずに帝王切開の場合は、「赤ん坊に母親の膣の微生物を移す」という行為を考えるように。第7章の帝王切開の項目を参照下さい。
授乳や母乳についての情報はWHOウェブサイトなどにたくさん見つかるので知っておくこと。 完璧にできなくても自分を責めないように。 私たちは「バイ菌」に対してそんなに神経質にならないこと。赤ん坊が日々の暮らしで出会う細菌の大半は有害ではなく、むしろ赤ん坊の免疫系を教育し強化するのに役だっている。抗菌剤入りスプレーやティッシュを使うことの方が、かえって有害であるかもしれないから。


10%Human

10%Human
2000年、人類はDNAの暗号を解読した。このヒトゲノム解読に比べて、 マイクロバイオーム解読の方は人々をそんなに魅了することはないようだ。 しかしマイクロバイオーム解読が人々の「暮らし」に与える影響はヒトゲノムのそれよりはるかに大きい。 マイクロバイオータはある意味一つの臓器だ。 この臓器が他の臓器と違うのは、固定化されていないこと。 私たちは、自分の遺伝子は選べないが、微生物の遺伝子は選ぶことができる。
ヒトゲノムプロジェクトが教えてくれたことは、遺伝子は特定の状態に「なりやすいか、なりにくいか」を決めるだけのこと。 つまり遺伝子には生まれつきの差はあるが、 生活方式、食事、危険要素への遭遇などの環境によって、実際の育ち方が決まる。その育ちに深く影響するのが共生微生物の遺伝子群、つまりマイクロバイオータである。
注意:マイクロバイオームは個々の遺伝子DNAを意識して使う単語、マイクロバイオータは遺伝子群つまり集団を意識して使う単語
細胞の数にして、10%Human
(1)両親からDNAを受け継ぐ、これが 10%、 (2)残り 90%は、両親(特に母親)から引き継ぐマイクロバイオータである。
(なお、遺伝子の種類数で比較すると、0.5%Human ヒトゲノム=2万1千個、マイクロバイオーム=440万個)




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ここからは付録、後でゆっくりご覧下さい!


終章の詳細項目

 - 社会としての姿勢 / 医療面
 - 社会としての姿勢 / 食生活
 - 社会としての姿勢 / 出産と授乳


社会としての姿勢 / 医療面

医療面
抗生物質を減らすために: 患者の病状が何かを見分けることに時間がかかっているために、容易に万能な抗生物質が使われる現状がある。糞便、尿、血液といったサンプルから、感染の原因を数分 / 数時間で特定できる迅速診断キットの開発が望まれる。
予防として: 目的を絞ったプロバイオティクスを摂取して、常在菌の防衛力を高めれば、黄色ブドウ球菌、Cディフィシル、サルモレラ菌などの病原体がコロニーを形成するのを防げる。
未来像: パーソナライズド・メディスン(個別化医療)、個人のマイクロバイオータを理解し、それをモニタリングしながら健康状態をチェックして、リスクが見つかれば改善計画を立てるというような医療システム。


社会としての姿勢 / 食品面

食品面
イギリスの標語「果物と野菜を一日に少なくとも5点食べよう。」 オーストラリアの標語「めざせ2&5(毎日2点の果物と5点の野菜)。」 これらは、肉食系の生活からダイエット面での改善はみらてているが、植物繊維よりもビタミンとミネラルに焦点があてられている。
これに乗じて、食品メーカでは一日に何点というノルマに対応して、トマト、ピューレ、フルーツジュース、など幅広い食品に点数シールをつけている。果物に注目を集めているが、穀類や種子類、木の実はすっかり無視されている。 「もっと植物を食べよう」という標語の方がよいのでは。


社会としての姿勢 / 出産と授乳

出産と授乳
助産婦、産科医、保険師は帝王切開と母乳についての最新知識をつねに更新しておくべきだ。赤ん坊のマイクロバイオータに与える影響を知っておかなければならない、当の母親にも知らせる必要があろう。





終章のガッテン・ポイント

(1)個人の姿勢として、抗生物質、食生活、出産と授乳についてきちんと考えて選択しよう、 (2)食生活を改善する上で、植物繊維についてよく知っておこう、 (3)出産に備えて、出産計画を立て、パートナー、医者、助産婦に伝えておくこと、 (4)マイクロバイオームが「暮らし」に与える影響はヒトゲノムのそれよりはるかに大きいということ。




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