循環形式

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循環形式とは

パターン化されたコード進行は色々あります。

すでにブルース形式、これは1コーラスが12小節、については勉強しました。
もう一つの代表的なパターンが循環形式というものです。
ビーバップ時代に特に多くのジャズミュージシャンがとりあげ、格好のアドリブ素材としています。
循環形式は、{  I - VI7 - IIm7 - V7  }、このコードパターンを基本にして循環します。

1コーラスが32小節で、8小節循環+8小節循環+8小節サビ+8小節循環、
この「8小節循環」の部分は、コードパターンを4回繰り返します、{ I - V7 - I }を含む。
「8小節サビ」の部分は、{  VII - III - VI - II - V  }、これは完全5度進行(Perfect 5th)です。
循環形式の典型的パターンはこうなります。

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Bbキー循環形式


Bbキー循環形式は、{  I - VI7 - IIm7 - V7  }、
つまり、{ Bb - G7 - Cm7 - F7 }、これで循環する。

サビの部分は、{  VII - III - VI - II - V  }、
つまり、{ A→D→G→C→F }、完全5度進行です。

完全5度進行(Perfect 5th)は、「完全5度下がる=完全4度上がる」わけです。
B→E→A→D→G→C→F→Bb→Eb→Ab→Db→Gb→B



これがBbキー循環形式です。

 Bbキー循環形式のコード♪ MIDI=3.1kbyte

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I Got Rhythm

1世紀前に生まれた作曲家ガーシュイン、彼が創作した曲を想像してみましょう。

こんなモチーフ、しかも左右対称形の単純なメロディを思い浮かべた。
このメロディをBbキー循環コードに対応させてみる。

 

 

もう一つの単純なメロディを思い浮かべた。
このメロディをサビ使ってみる。

 

 

とりあえずできたが、いま一つJazzスイングしていない。
ガーシュインは考えた。
いや、眠ってしまった。。。
うと、うと、、、
うっとおとお、とおとお〜お、
うっとおとお、とおとお〜お、

Oh, my God !

I Got Rhythm

これがそのリズムです。

 

 

では聞いてみましょう。
2コーラスまとめてMIDIにしてあります、つまり32小節の倍の64小節。
前半の1コーラス32小節はスイング前、そして後半32小節はスイングした I Got Rhythm です。
聴き比べて下さい。
 循環形式の例 I Got Rhythm♪ MIDI=6.7kbyte

ガーシュインの名誉のために言っておきますが、彼のオリジナルの譜面はもっと洒落ているんです。
オリジナル作品は、ガーシュイン生誕100年にまとめてあります。

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循環形式によるアドリブ

循環形式の典型として、"I Got Rhythm" をとりあげましたが、

これと全く同じコード展開でジャズミュージシャンたちはアドリブをします。
では、ビーバップ風のアドリブの雰囲気をつかむために、「ジャズ・エチュード」の本から、
Bbキー循環形式の適当なアドリブ部分を抜き出して1コーラスだけ示します。

この中には、あれ、クリスマの曲でないの?といった一節が聞えます。
ジャズでは、同じコード進行であるテーマを巧みにはめて、インプロヴァイズによる「音」の
ジョークを見せることがよくあります。
「盗作!」などとめくじらを立てる人はヤボとみなされる。
 Example from Juzz Etude MIDI=4.0kbyte

さて、盗作!を心配しなくてよいなら、あなたもできるぜ。

こんなモチーフ、しかも左右対称形の単純なメロディを思い浮かべた。
このメロディをBbキー循環コードに対応させてみる。

 

もう一つの単純なメロディを思い浮かべた。これをサビ使ってみる。

 

とてもよく似て見えますが、メロディ音にすると全く違うんですね。
分かります? 日本唱歌「しょうじょう寺」と「Fly me to the Moon」

でお楽しみに!
 Ponpoko to the Moon by BokerTov MIDI=3.8kbyte

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ガーシュイン生誕100年

September 26, 1898 Jacob Gershovitz is born to Russian-Jewish immigrants in Brooklyn.
Latter to become George Gershwin. July 9, 1937 George dies at the age of 38.


ガーシュインは主にミユージカルの歌として150曲以上の名作を残しています。

例えば
 1917  Rialt Ripples
 1919  Swanee  
 1924  Rhapsody in Blue
 1926  Fascinating Rhythm
 1928  An American In Paris
 1930  I Got Rhythm 
 1934  Summertime 
 1935  Porgy and Bess

これから数曲♪をMIDIで紹介しますが、少しだけ解説します。
ガーシュインの最初の作品は、1913年、つまり15才の時。当時アメリカは禁酒法の時代で、
ラグタイムが全盛のころ、もちろん、まだジャズという音楽が発展する前の時代です。


「Rialt Ripples」はラグタイムですが、スコット・ジョプリンの正当ラグタイム形式からは、
発展した形であり、もうすでにこの頃からジャズ的なフレーズを使って作曲しています。
ここで紹介するものは、友人Mさんのピアノ生演奏(1989)のMIDI保存版です。
 Rialt Ripples G.Gershiwin
 and Donaldson
MIDI(18k)2分22秒

「Rhapsody in Blue」、これはガーシュインがミユージカルの歌手のための作曲者、
および上流社交界での名ピアニストとしてあるていど名前が知れていた時期に、
大作として発表したものです。
ここで紹介するものは、友人Mさんのピアノ生演奏(1988)のMIDI保存版です。
なにせ8分半以上もの長い演奏で、当時のパソコンソフトの限界より曲の最後の部分が
オーバフローしているのが残念です、ご了解下さい。
 Rhapsody In Blue Jazz
 Gershwin
MIDI(52k)8分29秒

「I Got Rhythm」 は、1930年のブロードウェイのミユージカル「Girl Crazy」のために
ガーシュインが作曲した中の一つです。今ではジャズで一般化している「循環形式」の典型ですが、
すでにこの頃にそのジャズの形ができあがっていたと考えてよさそうです。
ミユージカルのために歌詞のついた歌バージョンと、ガーシュインが自分で演奏するピアノソロ
のバージョンとがあります。歌バージョンの方は、短くはないイントロではじまっています。
それぞれ聴き比べて下さい。
ここで紹介するものは、ガーシュインの譜面をパソコン入力してMIDIデータとしたもの。
 I Got Rhythm song
 Gershwin
MIDI(7k)1分17秒
 I Got Rhythm piano solo
 Gershwin
MIDI(8k)1分25秒

「Summertime」 は、1934年にブロードウェイのミユージカル「Porgy and Bess」のために
ガーシュインが作曲した中の一つです。現在に至るまで、ほとんど全てのジャズミユージシャン
が取り上げています。
ここで紹介するものは、ガーシュインのオリジナル譜面ではなく、ビバップ調のアドリブのものを
パソコン入力してMIDIデータとしたものです。
フルートやトランペット、サックスなどでのジャズ練習に適しています。
 Summertime /Be-Bop Jazz
 Gershwin
MIDI(7k)2分41秒

ガーシュインのピアノソロのバージョンをあと3曲。
ここで紹介するものは、ガーシュインの譜面をパソコン入力してMIDIデータとしたものです。
 Nobody But You jazz 1919
 G.Gershwin
MIDI(8k)1分11秒
 Do It Again jazz 1922
 G.Gershwin
MIDI(10k)2分09秒
 Oh, Lady Be Good jazz 1924
 G.Gershwin
MIDI(11k)1分50秒

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参考

「 バーンスタイン音楽を語る 」全音楽譜出版社(初版1972年)

 この中に、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」について譜面付きで解説している記事があります。
 こちらをご参照下さい。
ガーシュイン生誕100年で単行本が出版されました。

「ガーシュイン」 Ean Wood 1996 
日本語訳、全364頁、これがヤマハミユージックメディア社から1998年7月に出版。

第5章「ラプソディ・イン・ブルー」の中に、「Rhapsody in Blue」の発表会について
エピソードが書かれているので少し引用してみます。

 プログラムの詳細は次の通り。
  1 ジャズの本当の形
  2 コメデイーいろいろ
  3 コントラスト−正統的作譜とジャズ
  4 現代的作による最近の曲
  5 ジズ・コンフリート
 休憩
  6 借りたテーマに味付け
  7 ポピュラーメロディーをセミ・シンフォニーにアレンジ
  8 ヴィクター・ハーバートのセレナーデ集
  9 スタンダード・セレクションをダンスリズムに改作
 10 ジョージ・ガーシュインのラプソディ・イン・ブルー 
 11 クラシックの分野で
 (中略)
 あまりにたくさんの作品と同じ管弦楽の音色で、退屈が広がっていた。そんなとき、
 ラプソディ・イン・ブルーがそれを一変させる。
 クラリネットのもの悲しい上向いたフレーズが鳴り響いたとたん、聴衆は、、

このプログラムの詳細を読むと、10ラプソディ・イン・ブルーは、
「ピアノ、ジョージ・ガーシュイン オーケストラ伴奏」
そして、11 クラシックの分野では、何と
「威風堂々(Pomp And Circumstance)」サー・エドワード・エルガー
だったのですね。

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magic


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