Rhapsody in Blue

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ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」についての解説

 ・・・
  「ラプソディ・イン・ブルー」ほど、その旋律に、あふれる独創性と、そのリズム上、
 和声上のインスピレーションのゆえに、全世界の人々のこころをとりこにしてしまった
 アメリカの作曲家はほかにいないのです。
 ガーシュインは、ジャズを学ばなければならなかったミョーとは正反対の立場にありました。
 ガーシュインは、交響曲を学ばねばならなかった・・・(中略)

 彼らは、同じ走路の両端から、それぞれ対向してスタートをきっていたのです。
 つまり、ガーシュインはニューヨークのティン・パン通りから、一方ミョーは、エッフェル塔
 のむこうのはるかに洗練された街からというわけです・・・(中略)

  ミョーが細心の注意をはらった使い方をしたあの同じ「グッド・イブニング・フレンド」
 のフレーズを、ガーシュインはいったいどのようにあつかっているか、ちょっと見てみましょう。
 「ラプソディ・イン・ブルー」の場合もそれがぜんたいの主要なモチーフとなっているわけ
 ですが、それは次のようにでてくるのです。

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 ここには洗練された点はなにひとつありません。また別のところでは、かれは標準どうりの、  類型的な、つぎのような反復進行をもってくるのです。

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 あるいはまた、こういうぐあいです。

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  リストやチャイコフスキーがすでに使い古したテクニックが、そのまま正直にもちいられて  います。しかし、一つの楽想を展開させようとするとき、それが彼の実際に知っていた唯一の  方法であったわけです。  たとえば、つぎのような美しい旋律を展開させる場合、

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 またも彼は、同じ反復進行にたよざえるをえないのです。

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 そして形式といえば、各部がつぎつぎとカデンツァによってまんぜんとつながれているに  すぎません。このとおりです。

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  ごらんのように「ラプソディ・イン・ブルー」は、各部分のくぎりが非常に明確であり、  また不規則なうつりかたをしているので、カットしたり、各部を入れかえたり、半分を  省略したり、逆から演奏したり、あるいはピアノとかオルガン、バンジョー、カズーなど、  なにをつかっても演奏することができるのです。  しかしどうあつかおうと、それが「ラプソディ・イン・ブルー」である事実はかえようが  ありません。  なぜでしょうか。  それは「旋律」がそれほどすばらしいということなのです。そこに見られる独創性は、  これからも新鮮さをうしなうことはないでしょう、・・・(以下省略)

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