「雄牛とラクダ」第3回

 セム系特有と思われる文法上の類似性は?


  • 形容詞、名詞の連語形について
  • 応用問題
  • 構文中での動詞の位置、時制について
  • 人称代名詞の用法について
  • まとめ

    形容詞、名詞の連語形について

    このテキストには形容詞が一回も出てこないのですが、似たような
    使い方で「名詞の連語形」というのが使われています。
    


    応用問題:形容詞と連語形が混在するケース


    応用問題:連語形を使って新しい意味の熟語を作る


    構文中での動詞の位置、時制について

    主語(S)、動詞(V)、目的語(O)
    という構文が、テキストではどうなっていたかをチェックしてみます。
    
    第1行:動詞(あった)主語
    第2行:動詞(あった)主語
    第3行:動詞(あった)主語 関係詞(who) 動詞(助けた)目的語
    第4行:動詞(疲れた)主語 接続詞(and) 動詞(座った)目的語
    第5行:動詞(恐れた)主語 関係詞(that) 動詞(耕す)目的語
    第6行:動詞(言った)主語 関係詞(that)+主語 動詞(殺す)目的語
    第7行:動詞(聞いた)主語 接続詞(and) 動詞(恐れた)目的語
    第8行:動詞(起きた) 接続詞(and) 動詞(働いた)目的語



    「秋葉原」を「あきばはら」となまるタイプ

    セム語の動詞の変化は、一般に、英語に比べて複雑で多種ですが、
    その中に面白い変化をする動詞があります。
    例文の動詞#12「アシュタガラ=働いた」、これがその一つで、
     語根は(sh+G+L)「シァガラ=作動させた」ですが、
     再帰の意味を表す動詞変化では接頭語(i+t)がついて
     (i+t+sh+G+L)「イタ+シァガラ」となるべきところが、
     (i+sh+t+G+L)「イ+シャ+タガラ」→「イシュタガラ=働いた」
    となります。
    
    ★ヘブライ語では、「ヒトパエル態」の動詞で同じ変化があります。
    例えば、語根は(sh+G+L)「シァガル」では
     (h+t+sh+G+L)「ヒト+シァガル」となるべきところが、
     (h+sh+t+G+L)「ヒ+シャ+タガル」→「ヒシュタガル」
    となります。
    

    人称代名詞の用法について

    セム系の人称代名詞には、「独立形」と「非分離形」があります。
    「独立形」というのは、どの国の言語にも存在する普通の人称代名詞でが、
    「非分離形」というのは、他の単語の語尾変化として使われる形です。
    

    「独立形」の人称代名詞

    まず、「独立形」について他の言語と単語の発音を比較してみます。
    ★よく混乱するのが、
    「he」と「she」です、これはヘブライ語で「フー」と「ヒー」ですから。
    
    
    さて「独立形」の人称代名詞は主語にしか使えませんが、
    一方、「非分離形」の方は所有挌や目的語として使えます。
    

    「非分離形」の人称代名詞

    この「非分離形」というのは、他の単語の語尾変化ですが、三つあります。

    「非分離形」の人称代名詞についての補足


    まとめ

    今回はこのテキスト例文を基にして、特徴的な文法 (名詞の連語形、動詞の位置、人称代名詞)を調べ、 アラビア語とヘブライ語には類似性が多いことが分かりました。

    第1回から第3回までのまとめ要約:

    アラビア語とヘブライ語の違いはきっと方言の差程度であろう、 東北弁と大阪弁あるいは沖縄弁の違いのように。 文字については明らかに違うが、これもほとんど日本語の「かな」と「カタカナ」 の差でしかない、のかもしれない。

    これでテキスト「雄牛とラクダ」は終わりです。


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