In 1996,Reports - Around of Japan by bicycle -


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旅の終わり

 12月22日。高知県物部川に残る山田堰跡の公園。すばらしく晴れた朝。何となくゆっくりしたくて出発を遅らせた。もう何度目かの高知市を抜ける。高知市から愛媛県松山市まで続く国道33号線に乗り、仁淀川沿いの公園でテントを張った。早めにテントを張ったので、久しぶりに薪を拾い集め、火を付けた。 翌日。雨がパラパラと降っている。良く冷え込んでいる。残すところあと1泊。気合いを入れてこぎ出す。四国らしい山並みのなかを川と平行して道が続く。愛媛ナンバーの車が増え、スキーやスノーボードを載せている車が目立つ。風が冷たい。本旅最後の峠、三坂峠(標高720m)に挑む。頂上に立つと目前に松山市が広がった。もうあとすこしだ。がんばれば、今日中にだって帰り着くことができる。しかし、帰るのは明日だ。はやる気持ちを抑える。峠を下りた河原の公園で最後のテントを張った。

よいよである。
帰ってきたのだ。どれだけこのときのことを思い描いてきたことか。ようやく明日、最後を迎える。

想と違って、かなりすっきりとした気分だ。紀伊半島であった大阪のライダーのような気分は全くない。これには自分でも驚くほどだ。もっとじーんとくるものがあって、もしかするとゴールでは涙を流すのではないかと思っていたのに。

ぜ、こんなにもすっきりした気分でいられるのか。それはきっと、私の帰りを心待ちにしてくれている人たちがいるという実感があるからだろう。そして何より、私自身が彼らとの再会を心待ちにしている。だからこそこんなにも心が軽やかなのだ。

う、私の故郷はまぎれもなくここなのだから。


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