--発表用資料--


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1998.7.25 東京農工大学大学院 連合農学研究科
(宇都宮大学配属)博士課程1年 鈴木研二


「豊かさと発展の価値観を問う」




自己・修論紹介:水利・水文学。農村調査に基づいたタイ東北地域の天水田稲作に関する修士論文。キーワード:東北タイ、天水田稲作、自給稲作、稲作安定性、安定性評価指標。

【序】
1.出発点としての東北タイ 〜修論作成を通じて考えたことと学んだこと〜
1.1東北タイは貧困地帯か?:東北タイの紹介文にいつも出てくる「貧困地帯」という表現。貧困はあっても飢餓はない。貨幣経済と現物経済。
1.2劣位農村地域の抱える問題:都市への憧憬・貨幣経済優先により首都バンコクへの人口移動(日本の中山間地域と同様)。季節的な出稼ぎは伝統的。
1.3豊かさの指標:所得水準、栄養水準、医療・教育水準。経済的従属関係。単一指標から複合指標。

【破】
2.偏った価値観・判断基準 〜人々は何を拠り所にして、何を欲しているのか〜
2.1人々の生活観は経済至上主義・拝金主義に支配。消費者・業者の好みに合わせた生産物(迎合型社会)。例)まっすぐなキュウリ。物質文明の限界と精神文明の脆弱化。
2.2情報・数字の弊害:支配的な数字による判断、本来は間接的判断基準であるべき。例)糖度やビタミン含有量、初任給。
・多い情報量:情報の氾濫。単一基準から複合基準による豊かさの評価指標(多すぎるとどこで効いているのかわからない)。
・少ない検討項目:情報量が多い割には(多いから?)偏った基準による盲目的な判断。
2.3発展至上主義:経済成長(率)などの「指標」の根底には発展に対する固定観念。

【急】
3.今後の展望 〜価値観の転換、均衡ある価値観の採択〜
3.1発展追求型社会に対する疑問:伝統的社会の利点、良き停滞。貨幣経済以外の部分は尊重しなくていいのか?そもそも発展しなければいけないのか?
3.2豊かさの価値観:豊かな農村像の描写も重要であるが、それを指向する価値観がなければ意味がない。豊かな生活とはどのようなものなのか?
3.3二項対立:都市と農村(地域格差の問題)、商業的農業と自給的農業(生産と消費の問題)、農業生産物における量と品質の問題。これらを部分的に解消する方法は?



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