ダイヤモンドってどんな宝石?




 ギリシャ語で征服不能を意味する「アダマス」という言葉から生まれたダイヤモンド
という名前の石は、古代ギリシャの時代から愛の象徴でした。ギリシャ人たちは
ダイヤモンドの輝きを、いつまでも変わらない愛の炎と信じていたのです。
何千万年もの昔、地中の奥深く想像を絶するような圧力と熱を受けた純粋な炭素が
やがて結晶し、それが長い年月の内に火山の爆発や地殻変動などによって、地表の
近くに押し上げられてきたダイヤモンドですが、その生い立ちはいまだ神秘のベールに
包まれ、正確には分かっていません。

1カラット(=0.2グラム)のダイヤモンドの原石を取り出すために、なんと平均250
トンもの鉱石を採取しなければならないばかりか、その内宝石に適するのはわずか
2割に過ぎません。しかも原石をカット、研磨することによってさらに半分程度に
なってしまいます。
こうしてようやくひとの目にふれる訳ですが、ダイヤモンドが貴重な理由が
ここにもあります。

ダイヤモンドの美しさに大きく貢献しているのがその高い屈折率です。
屈折率とは光が異なった物質を通過する際どの位折れ曲がるかを示すもので、
大きいほど曲がり方も大きくなります。
光のスピードはそれが通る物質によって異なりますが、真空を通るのに比べてどの位
遅くなるかを示したものです。屈折率が大きいと、適切にカットされた宝石では光を
有効に内部で反射してより多くの輝きを得ることが出来ます。
ダイヤモンドよりも屈折率の大きい石はありますがそれらは硬度が低く、硬度7以上の
宝石の中ではダイヤモンドの屈折率(2.417)は最大です。ダイヤモンドのすばらしい
輝きはこの高い屈折率のおかげです。

 ダイヤモンドの硬度は10/Mohsで、もちろんあらゆる物質の中で最高の硬度ですが、
このMohs方式は単に硬さの違う物質を順番に並べただけであり硬度の絶対値を示す
ものではありませんが、実際はRosiwal方式によると硬度9のコランダム
(ルビー、サファイア)の140倍の硬さを備えています。ちなみに、地球を構成して
いる物質のうち最も多いのが石英で、その硬度は7です。空気中のちりの成分も
同様ですから、硬度7以下の物質はちりによっても傷つくわけで、いずれ磨耗して
いく運命にあります。したがって宝石として長期間の使用に耐えるには、硬度7を
越えることが望ましいわけです。

 ダイヤモンドは無色のものが一般的ですが、実は様々な色があります。イエロー、
ピンク、ブラウン、パープル、グリーン、ブルー等、通常ほのかな色合いですが
スペクトルの色がすべて揃っています。イエローやブラウンに比べてピンクや
ブルーは非常に希少性があり極めて高価です。 本来色については個人の趣味趣好もあり、
いちがいに何色が価値があると決められるものではありませんが、採取される量の違い、
つまり希少性の差が価格の差となっています。
一部の商品に濃いブルーのダイヤモンドが使用されていますが、これは天然の色
ではなくtreated blue つまり天然のダイヤモンドに放射線処理を施して着色
したものです。といっても表面に塗料を塗ったようなものではなく、成分自体に
科学変化を起こして色を変えているので、使用と共に変色していくということは
ありません。もちろん天然のブルーに比べてはるかに価格が安いのは言うまでも
ありません。

ダイヤモンドだけにあてはまるわけではありませんが、宝石であることの条件に
3つの重要な要件があげられます。

1つは美しさ、1つは耐久性、1つは希少性です。

ダイヤモンドはそのいずれをも高いレベルで満たしています。



ダイヤモンド目次に戻る