In 1996,Reports - Around of Japan by bicycle -


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北海道を旅するということ


の北海道は旅人でいっぱいだ。人がいっぱいならスタイルも様々。ただの観光バスツアー、家族旅行、若者のグループ旅行、ライダー、チャリダー、トホダー、JRラー、ヒッチハイカーみんなそれぞれだ。初めての人もいれば、2から3回目の人、毎年来ている人もいる。
 なぜそうみんな夏になると北海道へ来るのか。自分もそんな旅人の一人となって考えてみた。
 まず風景が違う。本州では味わえない大陸的なスケールがある。気候が違う。夏なのに夏を感じさせないさわやかな風がある。そしてひと味違った名所がある。
 しかし、風景や名所などは1回やそこら見てしまえば、まず充分なはずだ。何も毎年来てみることはない。(写真を撮りつづけるなどするなら別だが)しかし2〜3回、ひどい人になると毎年やってくる人がいるということは、それだけではない何か異なる魅力があるということなのだ。
 じゃあ何があるのか。

 れは出会いだ。こうして旅人がたくさんいるということではないだろうか。北海道を旅しているという仲間意識が、お互いの心を接近させる。
 北海道は広い。だからやってくる人たちの多くは、1ヶ月や2ヶ月といった期間でやってくる。中には1週間や10日という人たちもかなりいるのだけれども。
 そういった長い期間の中で旅をしていると、出会いにも幅がでてくる。同じ顔に何度も出会うのだ。出会う旅に再会を喜び、またさらに仲を深め会う。そうしたことでただ漠然と美しく広がっていた風景に新たな意味が付け加えられていくのだ。
 この出会いこそが僕らをあつくさせる。

 イダーやチャリダーの中には、会社を辞めてきた人、学校を辞めてきた人、アルバイターになっている人が多い。彼らもまた出会いを求めてやってくる。出会いの中から何かを見つけるために。これからの自分を探すために。
 そしてそういう彼らに出会えることを夢見て、新たな旅人がやってくるのだ。
 その繰り返しなのだ。
 毎年来る度に、出会う顔が違う。顔が違えば、同じ場所で同じ風景を見ていたとしても意味が異なるのだ。
 この楽しさにとりつかれたものたちは、また北海道へと足を運ぶ。


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