10月10日。いよいよ首都東京に入った。さすがにすさまじい交通量だ。江戸川沿いのサイクリングロードを利用して北へ走る。柴又の辺りで道をそれると、そこが帝釈天だった。北海道の根室あたりにいる頃に、渥美清さんが亡くなったことを知った。ショックだった。

　私の旅の原風景の一つだったからだ。どこへでも気の向くままに赴いて、いろんな人に出会い、いろんな出来事を重ねていく。そんな旅の姿にあこがれたものだった。
　私はいつから旅にあこがれるようになったのだろうか。旅の何にあこがれたのか。私にとっての旅の原風景（？）は、ナウシカのユパであり、銀河鉄道９９９のメーテル＆星野哲朗であり、ムーミンのスナフキンである。
　では、彼らのどこにあこがれるのか。彼らは皆強い。周りに慕われる存在である。頼れる人なのだ。なぜ強いのか、なぜ頼れるのか。それは、旅を通して様々なものを見、聞き、出会ってきた経験から自然に生まれるものなのだ。私は、そういうものになりたいと願った。だからこそ、旅を切望した。現在、私は旅をしている。果たして、私がかつてあこがれたような旅人になれているだろうか。