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   わたしの研究紹介 - 平易バージョン [2004年06月]
- わたしは,竹下伸一(たけした しんいち)です.
   宮崎大学農学部で助手をしています.
    正確には,地域農業システム 学科
            生産環境システム学 講座
              地域水環境工学 研究分野 
           に所属しています.

 -  ここでは,わたしが日頃研究していることを,
  なるべくやさしい言葉で説明しています.

 -  中学生や高校生が,大学で何を勉強しようか
  しらべるとき,それから大学の2年生・3年生が
  これからどこの研究室に進もうか迷っているときに,
  なんとかこのページにたどりついてくれることを願っ
  ています.
- 私の専門は水文学(すいもんがく)です.
  • 水文学とは,空から降ってきた雨が,どういうふうに陸地を移動していくかを調べる学問(がくもん)です.たとえば,降った雨がどうやって,どのくらい地面にしみこむか?とか,木や作物にどれくらい吸収されて,蒸発(じょうはつ)していくか?とか,雨が降った後,川の水の量はどういうふうに変わっていくか?といったことを調べます.
  • 水(雨)は,人間や動物・植物などの生命(せいめい)にとってとても大事なものです.でも,昔に比べて近ごろは,水の動き方などが変わってきています.
     たとえば,たてものや道路ができると雨がしみ込まなくなります.だから,雨が降ったときにたくさんの水がいっぺんに川に流れてくるようになりました.それから,木がなくなるとあまり蒸発しなくなりますし,私たち人間がたくさんの水を使うようになったので,ときどき川の水が無くなってしまうようになりました.
     それだけではありません.地球が温暖化(おんだんか)したり,都市化(都市化)が進むと雨の降り方そのものが変わってくるといわれています.
  • このような水の動き方の変化は,私たちの生活に大きく関係する環境問題(かんきょうもんだい)として,とても注目(ちゅうもく)されています.だから,水の動き方をしらべる水文学は,これからのわたしたちにとって,とても大切な学問です.
  • 関連memo
- わたしが主に調べていること(研究テーマ)は大きく分けると4つです. - 1.ため池のもつ様々な働きについての研究
  •  たんぼや畑は,お米ややさいなどをつくっている場所です.また,たんぼや畑は,そのほかにも,洪水がおこらないように水をためたり,土の中にたくさんの水をしみ込ませたり,まわりの温度をすずしくしてくれたりしているのではないかと言われています.このようなお米ややさいなどを作る以外の様々な働きを,”多面的機能(ためんてききのう)”と言います.たんぼや畑の作物に水をあげるために作られる水路やため池にも,この多面的機能があるのではないかと言われています.
  •  そこで,わたしは,ため池が持っていると言われている3つの多面的な機能をくわしく調べています.その3つの機能とは,”洪水緩和機能(こうずいかんわきのう)”,”土砂流出防止機能(どしゃりゅうしゅつぼうしきのう)”,”気候緩和機能(きこうかんわきのう)”です.
    • 洪水緩和機能”は,ため池が洪水にならないように水をためてくれたり,水の量が増え始める時間を遅くしてくれる働きのこと.
    • 土砂流出防止機能”は,激しい雨でたくさんの土がいっぺんに流れてしまうのを防ぐ働きのことです.
    • 気候緩和機能”とは,ため池がまわりの暑い空気をすずしくしてくれる働きのことです.
  •  このような多面的な機能についての調査を,大阪府岸和田市や,奈良県郡山市,滋賀県野洲町にあるため池で調べています.


- 2.流域(りゅういき)に降った雨が川に流れていくまでを見ていく研究
  • 山(森林)や田んぼ・畑,町の中に降った雨が,どれくらい土の中にしみ込んで,どれくらい蒸発して,どれくらい川に流れてくるかをコンピュータを使って計算します.また,そのときに水質がどのようになるかも計算します.
  • それから,森林(しんりん)や田んぼ・畑が減って建物(たてもの)が増えたとき,川の水の量がどうなるか,蒸発量がどう変わるかといった様々な環境の変化水の動きをどのように変えていくかを実験(数値シミュレーション)して予測したり,確かめたりして,将来どうすればいいかを考えていきます.

- 3.地面から水がどれくらい蒸発しているかを宇宙から調べる研究
  • 液体の水が太陽からエネルギーを受けて,気体に変化することを蒸発(じょうはつ)といいます.それから,植物が生長するときに,葉っぱから蒸発していく水を蒸散(じょうさん)といいます.これらがあわさって蒸発散といいます.
  • この蒸発散(じょうはっさん)は,森林や田んぼ,畑,道路といったように地面の違いによって,とても大きく違ってきます.それから,同じ山でも,その山の向きなどによっても変わってきます.それから,雨が降ってから,何日経ったかによっても蒸発散は違ってきます.
  • このように地面がいろいろに違う広い場所からの蒸発を調べる方法として,宇宙(うちゅう)にある人工衛星(じんこうえいせい)を利用する方法がさいきん注目されています.毎日の天気予報(てんきよほう)に使われているのと同じような感じです.
  • わたしは,いろんなところで蒸発散を実際に調べてみて,そのとき宇宙からどう見えていたかを比較したりしています.こうやって,いつか宇宙からみただけで,ある場所の蒸発散を知ることができるようにいろいろと調べています.
- 4.地域(ちいき)の気温や雨の降り方が長い間に変わってきているかを調べる研究
  • 近ごろ,地球が温暖化(おんだんか)していると言われています.それから,都市では森や田んぼ・畑がなくなってどんどんと道路や家がたったおかげでまわりよりも暑くなったりするヒートアイランドがおこっていると言われています.
  • そこで,本当に気温が暑くなってきているかどうかを,京都市で調べてみています.
  • それから,昔からアメリカなどでいろいろと調べられた結果,周りに比べて気温がとくに高いと,突然雨が降ってきたりすることなどのいろんな影響が出てくると言われています.そこで,京都市でもそういったことがおこっているのかを調べるために,長い間の雨の記録を調べたりもしています.

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