暦について


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ケルト民族たちは樹木を敬い大切にしていた。
そのことは月の動きを元にした暦にその月を象徴する樹木を充てていたことからも伺い知れる…と、その各月の樹木について書いてゆくつもりであったのだが、ネットや書物で「ケルトの暦」を調べてみるといくつかの疑問が浮かび上がってきた。
その第1がケルトの年初(つまり1月1日)はいつに当たるのか、ということである。
というのも、検索でヒットした大半が「ハロウィンがらみ」のものであったからだ。
そこには当然のごとくに「古代ケルトでは10月31日が沐Nの終わりとされていて…」という記述がされている。
ハロウィンの起源は主題からますます外れてゆくのでここでは書かない。(興味ある人はココ(別ウインドウが開きます)など詳しい)
問題は「年初はいつか」である。
いや、だいたいハロウィンの起源とされている10月31日というのはどこの暦のことをいうのであろう?
 

現在の暦とケルトの暦

ご存じの通り現在の暦はグレゴリオ暦である。
これは1582年10月4日でそれまで基準としていたユリウス暦をやめ、翌10月5日を新しく10月15日として翌年のイースターの日を修正するに至ったという現在進行形の暦である。
(※つまりイースターの日に合わせることを第1にした訳だ。ただし、この日をもって全世界がこれを採用したことではもちろんない。現在グレゴリオ暦を採用している国でも1900年あたりまでに徐々に、ということである。ちなみに日本は1872年からユリウス暦、1900年にグレオリオ暦にそれぞれ移行した)
※部の若干の補足→イースターは325年キリスト教会初の公会議であるニケーア公会議で「春分の後の最初の満月からすぐの日曜日」と定義された。そしてこの「太陽が真東から出て真西に沈み、昼夜の時間が等しくなる日」である「春分点」が誤差の関係でどんどんズレてしまい、16世紀ともなると誰もがおかしいと感じるほどにしまった。そのためズレを修正すると共に閏年の設定に訂正を加えたのがグレゴリオ暦という訳である。

その暦で現在行われているハロウィンなのであるが、だいたい10月31日という日、これが古代ケルトの暦でも存在したのであろうか?
暦のことを調べてゆくと、月末が31日という月が特殊な事情で生まれることになったというのは割とポピュラーなこととはいえ、普通に考えても2月の日数の特殊性と大の月が8月より順番が入れ替わっていることなどに疑問は及ぶはずである。
ここで「古代ケルト」とはいつ頃をいうのか?という問題もよぎるところだが、これもハロウィン関係のページで明らかにされていた。
紀元前5世紀ごろ、つまり一説にケルト文明の最盛期とされている時期である。
ということはグレゴリオ暦はおろか、その前のユリウス暦(紀元前46年制定)よりはるか以前のことだ。

考えられるのは、だいたいその時期(季節的に)だったのを現在の暦に当てはめているのではないかということで、これはそもそもハロウィンの元となった Samhain という日が「冬至」と関係の深いものであることからも推測される。
(ずばり「古代ケルトの冬至である」としている文献もあった)
または10月31日という日付も10番目の月の最後の日、という意味合いだけであれば完全ではないものの納得がいく。
 

暦の歴史

では現在の冬至(12月22日頃)がそもそもどうしてその日になったかという「年初」の制定はどうなのだろう。
暦の起源は古代エジプトとされている。
現時点で知られているものは8種類あり、最も有名なのがシリウス暦と呼ばれるものだそうだ。
これは当時の人が「ソティス」と呼んでいたシリウス星が太陽に最も近づき約70日姿を消したあと、日の出直前に現れるとまもなくナイル川の増水が始まるという現象が確認されることにより生まれた暦だといわれている。
エジプトではナイルの氾濫は「穀物の蒔き時」を意味していたとされ、そのため正確な暦が必要だったのである。
この暦は沐Nが365日(一説によるとより細かな端数日数まで)という現在の暦の原型とされているものである。
ただし実際にファラオが使用した公式の暦は端数が切り捨てられたために少しずつズレてゆくことになる。
ちなみにこのズレ、すなわちシリウス星の「日の出前の出現」を年初とした年が再び一致するまでには1460年を要する。
そのため、きちんと重なった記録日から逆算することによりこの暦の採用は紀元前2781年あるいは紀元前4241年頃であると推定されている。

ただしこの説には異論があるようだ。
沐Nに約1/4日ズレると知りながらそれを修正しなかったのは「正確な一年の周期を求めていなかったからだ」とし、またナイル川の毎年の増水を観測したことから沐Nが365日という日数を求めたのだという逆説的見解である。
そしてシリウス暦が1ヶ月を30日(×12+5付加日)としているのは太陰暦から発達したものだと指摘している。
 

太陰暦

ここで太陰暦(純太陰暦)について確認しておこう。
暦に使われる月の位相変化(満ち欠け)は朔(新月)から望(満月)を経て再び朔になるまで(あるいは望から望)のひと月(朔望月)である。
この周期は多少変動するので平均を取り29.5306日として、約29日と半日ということになる。
ただし1日を半分に分ける訳には行かないので、29日の月と30日の月を(だいたい)交互にして沐Nを12ヶ月としたのが太陰暦である。
しかしこれでは沐N、つまり季節が一巡する毎に約11日のズレが生ずることになる。
シリウス暦の前に存在したとされる太陰暦ではこの実際の沐Nとのズレがあったがために別に360日の暦が作られた訳である。
(この360日の暦も「時間」の概念を考える上で興味深いのだがここでは割愛する)
そしてさらに足りない5日を足してシリウス暦が作られることになったとされている。
なにしろエジプトでは「季節を合わせる」ことが大事だったからだ。

ただし、太陰暦は祭儀のため併行して用いられていたようだ。
朔望の変化がひと月と合うように決められているので毎月必ず1日は新月、15日は満月であり、これは夜の照明が乏しかった時代の人にとって目安を付けるに便利であったろうと思われる。
もしくは夜の神秘性、月の魔力を生かせる暦だったという推測も容易だ。
ケルトの歴史も文字による直接の記述が微量であるがために大方は神話・伝説の中にこめられているのと同様である。
 

ユリウス暦

さて次に暦の歴史で重要とされているのは先に出たユリウス暦で、こちらも太陽暦である。
カサエルが古代エジプト暦を参考にして作らせたとされているのだが、もう一つの支流である上流の暦としてローマ建国をなしたロムルスが作ったというロムルス暦(紀元前753年)がある。
これは沐Nが304日で月の数も10月までしかなく、あとのおよそ2ヶ月は日付がないという非常に変わったものであった。
ただこの文章を書くにあたって調べられた限り(調査はまだ現在進行形であるが)、「そうなっていた」という大前提がまずあり(一説によると「冬ごもりのため」らしいが)、どうしてそうなったかの明確な理由は見つけられていない。
ともかくもロムルス暦は31日の月が4つ、30日の月が6つの沐N304日、年初は春の適当な新月というアバウトな暦であった。

しかしローマ2代目の王ヌマ(ユマ)はその暦を改定し(紀元前710年)、10月のあとに2ヶ月加えて沐Nを12ヶ月とすることとした。
朔望月の約29.5日を12倍した数354日にさらに偶数を嫌ったために1日を加えて355日を沐Nとまず決め、また30日の月を29日にすること、そうして残った57日を新たに作った2ヶ月に29日、28日とそれぞれ割り当てた。
また、年初は同じく春分の日近くの新月の日である。
しかし一太陽年365日に10日ほど足りないために2年毎に20日ほどの閏月を挿入することになった。
(この時期はいまひとつウラが取れていないのだが一説にローマ5代目の王タルクイニウス(紀元前534−509)の時ではないかといわれている。閏月の入れ方もフェブルアリウス(現在の2月にあたる月)の第23日と第24日の間という説と、22日と23日という月を入れることにより平均366.25日の沐Nを持つ暦としたという説が今のところ見つけられているが、どちらとも不確かな情報であることをお断りしておく)
 

太陰太陽暦

さて、閏月を挿入することで太陰暦のズレを補正したものは太陰太陽暦と呼ばれている。
つまり基本は太陰暦で、ズレた分を然るべき時期に「ひと月」組み込むことで閏月を含む沐Nは13ヶ月となる。
日本の旧暦が太陰太陽暦であるので、身近な暦と言えば言える。
挿入するタイミングはギリシャの天文学者メトンが発見した(紀元前433年)「19太陽年に7回の閏月」が高い精度を持っていたそうだ。
もっと精度の高いものとしては76年に28回閏月を挿入する四分法が中国で、また同じものがカリッポス法という名前で古代ギリシアで用いられていたという。

がともあれ、ヌマ暦以降において355日を補正する方法は2年に20日あまりの月を入れるということであったということだ。
その後紀元前153年には、ヌマ暦で新たに加わった月をそれまでの1月の前に持ってくることが行われた。(これは後年「ヌマ暦の改革」と呼ばれた)
月に付けられた名前「ヤヌアリウス」がローマの門神ヤヌスに由来し「はじめ」を司る神だったからで、この時点で年初は現在の1月となった。

こうした過程を経てユリウス暦にたどり着く。
基本は古代エジプト暦なのだが過去のローマ暦が絡んでいるために「ひと月」の決め方に独特の複雑さを持っている。
この複雑さはその後、ユリウス暦を微調整したオクタヴィアヌスも加担(?)することになる。
彼は養父カサエルが自分の誕生月(7月)をそれまでの Quintilis から Julius に改称したことに倣い、同じく誕生月だった Sextilis(8月)を自分の尊称から Augustus に変えるとともに、30日(つまり小の月)だった8月を31日にして以降の月の大小を逆転させた上、その足りなくなった分の日数は2月を減らすことで補ったといわれているからだ。

このような経緯を持つとはいえ、ユリウス暦自体の規則は太陰太陽暦から解放されたため単純である。
「沐Nを365日とすること」と「4年に1度閏年を置き、それは2月の末に閏日として1日付加する」という2点だけ。
そして気になる年初なのだが紀元前46年カサエルは暦の改定の際、約3ヶ月分ズレていた季節と暦を一気に合わせ(そのためその年の沐Nは445日となっている)、冬至からすぐの新月を翌45年の1月1日としたという。
ユリウス暦は太陽暦なのでこの年の冬至直後の新月という決め方には意味がないといえるが、太陰太陽暦を採用しなかったものの年初だけは前の暦の法則にしたがったというところであろうか。
この暦から冒頭にも書いたように現在のグレオリオ暦に改暦され、現在に至る(いわばグローバルスタンダード暦)。
以上、ざくっとケルトの暦を読み解くのにヒントになりそうな周辺諸国および時代の暦をあげてみた。
 

古代ケルトの暦

多くのサイトで紹介されているハロウィンの起源である Samhain であるが、これはやはり「おおよその日付」であるには違いない。
つまり現在の暦に直せばだいたいこのあたりといった目印である。
そしてその目印はほぼ「太陽・月の動き」から付けられたとみてよいだろう。

ケルトの暦として紹介されているもののうち一番古いのが Samhain を扱うものである。
何が根拠かは不明なのだがどのサイトでもたいてい紀元前5世紀頃ということになっている。
そののち紀元前1世紀末頃、コリニーの暦というものが使われていたとされている。
これは遺跡の発見により研究が進んでいるものだ。
また、Beth-Luis-Nion 暦という月名に樹木の名前を充てたものは別名 The Ogham Calendar (別ウインドウが開きます)と呼ばれ、これも碑文などに残されているものだ。
オガム文字の使われていた時代から紀元後3〜6世紀頃と推測される。
ただし、コリニー暦もオガム文字も石に刻まれた文字という形での推定であるので実際に使われていた(おそらくは口承で)時代は不明だ。

ケルトの歴史はキリスト教が布教され(紀元後5世紀〜)、6世紀から8世紀にかけて花開いたケルト修道院文化の黄金時代も含めると長いように思うが、カサエルがローマ軍を率いて制圧する紀元前52年頃には終わったとみる向きもある。
もしくはケルトの中核を為したドルイドがその力をなくしたとき、ケルトは衰退したと考えることも可能だろう。
それならばコリニーの暦も Beth-Luis-Nion 暦も同じくらい古くから使われていたと考えられる。

それでは個々にみていこう。
Samhain というのは今ではケルト4大祭祀のひとつ、とされている。
現在の暦で10月31日であるが、ケルトでは1日の始まりは日没からなので翌11月1日までを含む。
他の3つはそれぞれ Imbolc(2月1日)、Beltane(5月1日)、Lughnasad(8月1日)である。
こうして日付を並べるといやがうえにもその規則性に気づく。
そしてこれらの日付の元となるものが太陽の運行である。
すなわち Quarter Day と呼ばれていた節目が冬至、春分、夏至、秋分で、それぞれユール(Yule)、オースターラ(Ostara)、リーザ(Litha)、メイボン(Mabon)と名付けられている。
これに対してケルト4大祭祀の日は Cross Quarter Day と呼ばれる。
沐Nを8つに区分(多少いびつではあるが)していた訳である。

Quarter Day は人間の手でどうなるものではないが、Cross Quarter Day はその名の通り Quarter Day をそれぞれ二分する日であったと共に、季節の区切りでもあったと思われる。
その中でもサウェン(Samhain)とベルティナ(Beltane)は重要であったらしい。
ハロウィンの起源といわれる「沐Nの終わりと始まり」の区切りであるサウェンはベルティナを対にした沐Nの「夏」と「冬」の分かれ目でもある。

これらの事柄で明らかになるのはこの暦はおそらく太陽暦であることと沐Nを8つに区分していたという2点であろうか。
太陽暦を使うからには沐Nがおよそ何日であったかは理解していたと思うが、それを適当に区切るもの、つまりは「月」がどのように設定してあったかが不明である。(現時点での資料では)
ケルトの神話や伝説でも月は太陽と同じく神聖なものとされていたと推測出来るが、その数え方については月齢に合わせたのか、後述の Beth-Luis-Nion 暦のように13ヶ月としたのか、あるいはまったく別の数え方があったのかが明らかでないのだ。
 

コリニーの暦

次にコリニーの暦であるが、これは太陰太陽暦で少々複雑である。
5年周期の暦で沐Nに30日と29日がほぼ交互に(途中逆になるところもある)12回繰り返され、1年目の頭(もしくは5年目の最後)と3年目の6ヶ月後(冬期の終わり)に閏月(30日)が挿入される。→参考サイト(別ウインドウが開きます)
年初の月は Samonios もしくは Samon とされているが、これは Samhain の名残であろうか?
時期的には現在の10月から11月の頃らしく、Samonios の第1日目は現在の暦で10月15日となっている。
多少中途半端な気もするが、夏と冬という大きな(春と秋を考慮しないという点で)分かれ目とすると納得出来る日付かもしれない。
天文的な意味ではなく、農耕や牧畜のための「年初」であったのかもしれない。

Cross Quarter Day を中心とした暦とは逆に、月に関しての細かい取り決めがある反面、Samonios を冬の始まり、Giamonios を夏の始まりとする他は冬至などの記述がない。(もちろん現時点での推測)
閏月の入れ方がかなりいいかげんなので(ざくっと計算しても5年周期毎に約6日ズレてゆく)月齢は合わせられても(もちろん完全にはムリだが)冬至点、春分点などの問題をこの暦に組み込むことは難しかったのかもしれない。(しつこいようだがあくまで推測)
 

樹の暦

最後に Beth-Luis-Nion 暦であるが、「樹木名を取り入れた」暦としては2種類に大別されるようである。
ひとつは沐Nを13ヶ月に分けたものでこれはひと月を28日として13ヶ月(つまり13種類の樹木)としているもの。
もうひとつは沐Nを36期に分け、さらに前述の Quarter Day にあたる日には特別な樹を充てて全40期としたものである。

実際のところ後者についての資料はあまりない。
Beth-Luis-Nion 暦というのも前者を差すようだ。
充てられる樹木名および該当期間は地方によって多少相違があるようであるが一例を示す。

  Japanese Name English Name Gealic Name Dates
1 カバ Birch Beth 24 Dec-20 Jan
2 ナナカマド Rowan Luis 21 Jan-17 Feb
3 トネリコ Ash Nion 18 Feb-17 Mar
4 ハンノキ Alder Fearn 18 Mar-14 Apr
5 ヤナギ Willow Saille 15 Apr-12 May
6 サンザシ Hawthorn Huath 13 May-9 Jun
7 ナラ(樫) Oak Duir 10 Jun-7 Jul
8 セイヨウヒイラギ Holly Tinne 8 Jul-4 Aug
9 ハシバミ Hazel Coll 5 Aug-1 Sep
10 ブドウ Vine Muir-Muin 2Sep-29 Sep
11 ツタ Ivy Gort 30 Sep-27 Oct
12 アシ Reed Ngetal 28 Oct-24 Nov
13 ニワトコ Elder Ruis 25 Nov-22 Dec

なお、28×13ということで沐Nに1日足りない。
現代の暦で12月23日で一説には「冬至」とされているが、その日を年初として(つまり年初月は29日として)いる暦もあった。
また、これら月々に充てられる樹木(Lunar Trees)とは別に Solar Trees として5つの樹木が充てられている。

  Japanese Name English Name Gealic Name Dates
1 モミ Silver Fir Ailim 21 December(Winter Solstice)
2 ハリエニシダ Gorse Ohn 21 Mar(Spring Equinox)
3 ヒース Heather Ur 21 Jun(Summer Solstice)
4 セイヨウハコナギ Aspen Eadha 23 Sep(Autumnal Equinox)
5 イチイ Yew Ioho 21,22 & 23 Dec(Winter Solstice Eve)
 

さてオガム文字(別ウインドウが開きます)はケルトの最初のアルファベットと言われている。
縦横、それに交わる斜線といった「文字」というよりは「バーコード」のような形である。
ただし、ほとんど現代のアルファベットといってもいいコリニーの暦がすでに紀元前1世紀頃のものとされているので「ケルト民族が作り出したものとして最初の文字」という意味合いであろう。
アルファベットがまず伝わり、そこから充てられた文字ということになる。
紀元後3〜6世紀というと、まだまだ神話や奇跡の時代である。
神々と人間の仲介をした者とされているドルイドが祭祀や占いの際にオガム文字は用いられていたとされているが、「肉体」より「言葉」の力をケルトは尊んだのでその具現化である「文字」に魔力があると信じられていたのは想像に難くない。
また、暦と同様にオガムのそれぞれの文字には樹木が充てられていたという。

さてもう一方の「樹の暦」であるが、非常に複雑で(なにせ40期もあるので)これを暗記するだけでも大変だったろうと思える。
なお、この暦を "The Celtic Tree Calendar" というタイトルで出版した Michael Vescoli は前記の Beth-Luis-Nion 暦の文字は「月の満ち欠けを数える数字」とも指摘している。
13の月(Lunar Trees)に充てられているのはすべて子音なのだが、それに Solar Trees のうち(こちらは5つの母音が充てられている)4つを加えて30日としていた、そして加えられなかった5つ目の子音を閏日の1日に充てているのではないかとしている。
Beth-Luis-Nion 暦は1ヶ月28日の暦であるのでこの指摘は矛盾することになるのだが、Beth-Luis-Nion 暦に限らず、ケルトに関するあらゆることは推測するしかない。

しかし元々はこの "The Celtic Tree Calendar" を総括するだけのつもりであったものを、「ケルトの暦」でいろいろ調べてゆくうちにますます疑問が深まり、上記のいわば「謎を解く欠片」を集めることとなった。
そしてその「ケルトの暦って何?」という答は正直なところまだ出ていない。
断片的な事実は分かる。
だがそれらをつなぎ合わせるにはまだまだ材料不足といったところか。

最後に当初の予定であった "The Celtic Tree Calendar" の一覧表を記し、ひとまずこの文章を締めくくり、今後あらたな情報が入手できればその都度追加してゆくこととしたい。

(2002.05.05)

  Japanese Name English Name

Scientific Name
Dates
1 ナラ(樫) Oak Quercus 21 March
2 ハシバミ Hazel Corylus 22-31 March
3 ナナカマド Rowan Sorbus 1-10 April
4 カエデ Maple Acer 11-20 April
5 クルミ Walnut Juglans 21-30 April
6 ポプラ Poplar Populus 1-14 May
7 クリ Chestnut Castanea 15-24 May
8 トネリコ Ash Fraxinus 25 May - 3 June
9 シデ Hornbeam Carpinus 4-13 June
10 イチジク Fig Ficus 14-23 June
11 カバ Birch Betula 24 June
12 リンゴ Apple Malus 25 June - 4 July
13 モミ Fir Abies 5-14 July
14 ニレ Elm Ulmus 15-25 July
15 イトスギ Cypress Cupressus 26 July - 4 August
16 ポプラ Poplar Populus 5-13 August
17 ヒマラヤスギ Cedar Cedrus 14-23 August
18 マツ Pine Pinus 24 August - 2 September
19 ヤナギ Willow Salix 3-12 September
20 シナノキ Lime Tilia 13-22 September
21 オリーブ Olive Olea 23 September
22 ハシバミ Hazel Corylus 24 September - 3 October
23 ナナカマド Rowan Sorbus 4-13 October
24 カエデ Maple Acer 14-23 October
25 クルミ Walnut Juglans 24 October - 11 November
26 イチイ Yew Taxus 3-11 November
27 クリ Chestnut Castanea 12-21 November
28 トネリコ Ash Fraxinus 22 November - 1 December
29 シデ Hornbeam Carpinus 2-11 December
30 イチジク Fig Ficus 12-21 December
31 ブナ Beech Fagus 22 December
32 リンゴ Apple Malus 23 December - 1 January
33 モミ Fir Abies 2-11 January
34 ニレ Elm Ulmus 12-24 January
35 イトスギ Cypress Cupressus 25 January - 3 February
36 ポプラ Poplar Populus 4-8 February
37 ヒマラヤスギ Cedar Cedrus 9-18 February
38 マツ Pine Pinus 19-29 February
39 ヤナギ Willow Salix 1-10 March
40 シナノキ Lime Tilia 11-20 March

 

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